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多様な異能を活かし、テクノロジーで事業をさらに成長させる組織をつくる。NewsPicksプロダクト開発チームの今

多様な異能を活かし、テクノロジーで事業をさらに成長させる組織をつくる。NewsPicksプロダクト開発チームの今

2021年1月から新体制になったNewsPicks。今回は新体制で開発組織をリードするCPOの文字拓郎、CTOの高山温、VPoEの林孝之に、これからのNewsPicksプロダクト開発チームが目指す姿や現在の課題感などについて話を聞きました。

文字 拓郎

文字 拓郎TAKURO MONJI 株式会社ニューズピックス 取締役CPO

シンプレクスにて、大手銀行や証券会社向けプロジェクトの開発責任者を歴任。 デリバティブトレーディングシステム、リスク管...

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高山 温

高山 温ATSUSHI TAKAYAMA 株式会社ニューズピックス 執行役員CTO

イギリス・カナダで物理を学んだ後、2012年ピクシブ株式会社に入社。同社ではソフトウェアエンジニア、リードエンジニア、...

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林 孝之

林 孝之TAKAYUKI HAYASHI 株式会社ニューズピックス 執行役員VPoE

大学卒業後、大手住宅メーカーに入社し営業として戸建住宅販売に従事。その後、ERPパッケージベンダーでエンジニアに転身し...

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目次

「多様性×異能」でアジャイルかつスピーディーな開発組織に

まずは、現在NewsPicksのプロダクトチームがどのように運営されているのか教えてください。

文字 拓郎(以下「文字」):
もしかしたらNewsPicksはだいぶ大きくなったと思われる方がいるかもしれませんが、自分たち自身は、まだまだスタートアップだと思っています。我々は、「経済情報で、世界を変える。」というミッションに向かってサービスを運営しており、やりたいことはまだまだたくさんあるんです。もちろん一気に全てはできないので、どういう順番で開発を進めれば会社の成長につながるのか、経営陣も含めて議論し、優先度を決めて進めている状況です。

そのうえで、今期のミッションが決まると、そのミッションごとにチームをつくります。各々のチームにミッションがあり、ミッションを担うリーダーがいて、そのリーダーたちが大きな裁量を持って、それぞれのプロダクトを開発しています。チームに大きな裁量があり、メンバーのWILLと会社のやりたいことを掛け合わせ、ミッション達成に向かうことを重視した組織づくりをしています。

高山 温(以下「高山」):
技術的な観点で話すと、技術は新しいものがどんどん出てきますが、一方で流行り廃りが繰り返されています。その中で技術的に何を選ぶべきなのかの判断はとても重要だと思っています。会社の長期的な目標を見据えたうえで、どこに投資をすれば最も会社の成長に寄与するのか、正しく意思決定をしていく必要があります。

会社としては何が起きても絶対に長期投資をしなければならない領域があると思っていて、2020年は開発の生産性をあげる、開発者が開発をしやすくすることに投資をしてきました。また、我々が持つ大量のユーザー行動データという資産を活かすために、機械学習領域に注力しています。データを活かしたプロダクトづくりは、2020年からの重要なチャレンジの1つだと思っているので、その領域の技術を突き詰めているところですね。

林 孝之(以下「林」):
チームの文化という意味では、言われたものをただつくるのではなく、プロダクトチームが市場やユーザーを理解した上で仮説を立て、検証してリリースするというサイクルを、アジャイルに回せる文化にしたいと思って組織をつくってきています。

文字:
確かにもともとNewsPicksはエンジニアが主体的にビジネスに関わり、主導していくような文化がありますよね。たとえば前CTOが自ら広告事業を考えてつくり、事業化していったようなこともありました。法人向けの新規事業も、エンジニアがお客様のところに直接行って何をつくるべきかを考え、開発を進めてきました。

林:
一方で正直にお伝えすると、これまでビジネスの成長角度が非常に高いこともあり、ビジネスサイドの意向を組んで、ある種受身的に開発をするような部分も一部ありました。先ほど述べたような文化の醸成がまだまだ足りないなと。プロダクトチームが先を見据え、ビジネスとしての仮説を持って、ビジネスサイドをリードしていく──そんな関係性をもっと強めていきたいと思っています。

今の役員やリーダークラスにも、マーケット感覚を持ってプロダクトづくりに取り組める人材が増えてきているので、一緒にワクワクするものをつくっていきたいですね。

VPoE 林孝之
2021年から新体制となりましたが、プロダクトチームは今後どのような方向性に進んでいきたいと考えていますか?

高山:
大きなところでは、多種多様な専門性を上手く活用して、次の強みにしていきたいと思っています。もともとNewsPicksは、編集部の記者もいれば、技術的なことを追求しているエンジニアがいるなど、多様なメンバーを抱える会社です。

その多様性を融合して一つのモノづくりをしていく、事業をつくっていくことを、もっと戦略的にやっていきたいと考えています。NewsPicksを含むユーザベースグループが大切にしているバリューの1つに「異能は才能」という言葉があります。そのバリューを追求し、多様性を強みにシナジーを深めるような組織にしたいですね。

足下の話だと、2020年秋にNewsPicksが始まって以来の大きなリニューアルをしたんですね。内容としては、機械学習を用いて全てのユーザーにレコメンドを主体としたコンテンツを見せるというもの。まだまだアルゴリズムの磨きこみが足りませんが、下地をつくったのは大きなチャレンジでした。次のフェーズとしては、アルゴリズムを磨き込み、競争力を持つまでに高めていくことだと思っています。

文字:
僕は2つ方向性を持っていて、1つはテクノロジーで事業を成長させる組織にしていきたいということ。もう1つはシンプルですが、つくっていて楽しい組織にしたいと思っています。我々が提供しているようなソフトウェアサービスの事業体として良い点はデータを使ってアジャイルに、実験主義的なアプローチをしていけることなんです。

ユーザベースグループのバリューに「スピードで驚かす」というものがありますが、もっとスピード感をもって実験と学習を繰り返し、より精度の高い戦略を構築して、プロダクトを磨いていく──そういったサイクルをもっともっと洗練させていきたいですね。

もう一つの「つくっていて楽しい組織」というのは高山さんと同じで、「異能を活かせる環境にしたい」にも繋がります。前職では「言われたものをつくるだけなのは三流」というカルチャーがありました。言われたものをつくっているときって、楽しくないんですよね。自分たちで何をつくりたいのか考えて、形にしていくカルチャーをもっと強めたい。そのためにも、メンバーの創造性や異能が解き放たれ、活躍する組織にしたいと思っています。

林:
そうですね。付け加えると、もっと異能が活躍するために、メンバーそれぞれがカルチャーを認知していることが大事だと思うんです。NewsPicksは多様性を受け入れ、オープンなコミュニケーションができるんだというカルチャーですね。

人の顔色を伺い、萎縮して個人の意見を発信できない場では、異能は活かされにくいと考えています。だからこそ自分の考えや個性を安心して発信できる、人ではなくコトを見てオープンにコミュニケーションができるようなカルチャーの認知を深めていきたい。自分の考えを自然に発言でき、個人のWILLが引き出されていく状態をつくりたいんです。

僕の持論は「多様性×強い個性×強い組織」。我々がそういった環境をつくり、プロダクトチームがビジネスの成長も牽引していくことで、ワクワクするチームにしていくことを目指しています。

CPO 文字拓郎

ミッションを達成するために、コンフォートゾーンを脱しチャレンジし続ける

話題を変えて、プロダクトに対する想いや、今後プロダクトをどうしていきたいか聞かせてください。

文字:
我々ユーザベースグループのミッションは「経済情報で、世界を変える。」です。サービスを通じてこのミッションを実現していくために、どのようにすれば良いか。僕は2つ方向性があると考えています。1つは世界を変える人、もしくは世界を変えたい人を増やす。もう1つは、その人たちの意思決定や行動に、何かしらポジティブな影響を与えていくという方向性です。

これらを実現していくためには、NewsPicksの根源的な価値である「コミュニティ」をもっと強くしていくべきだと思っているんです。僕は今のNewsPicksの課題を「均質化」だと考えていて。さまざまな分野から集まったビジネスパーソンの知見がコンテンツとして共有されている一方で、エンジニアリングやテクノロジー分野などのニッチな分野に関する知見は、まだまだ蓄積が足りません。

コミュニティとしてより多様で深みのあるものにしていくことで、これまで以上に多くのビジネスパーソンの方々に影響を与え、ミッションを形づくるサービスになっていくのだと考えています。これから2〜3年をかけて、これまでの均質的なコミュニティ──いわばコンフォートゾーンを脱して、多様なコミュニティ空間にしていく。それが我々の次の挑戦です。

高山:
僕は個人的に入社当時から「自分がプロダクトで1番のヘビーユーザーでありたい」と思っています。「技術を突き詰める」という個人のミッションを持っているんですが、技術ばかりを追い求めてしまうとプロダクトの方向性と乖離してしまいかねません。だから普段から自社のプロダクトを誰よりも使い倒し、ユーザー体験を理解したうえで、プロダクト開発に向き合いたいんです。

林:
僕はアプリのユーザー体験をもっともっと高め、変革していきたいという想いを持っています。NewsPicksをリリースしてから一定の期間を経ています。リリース当時は先進的なサービスとして受け取っていただけたかもしれませんが、それが今のユーザー体験も同じかと問われると、おそらく違ったものになっているはず。

コンテンツドリブンで、メディアとしての役割を考えていく一方で、コメント機能のあり方が本当に今のままで良いのか? 機械学習のアルゴリズムをどう進化させて、個人の使いやすさを高めるか? などUI/UXを追求し、新しいユーザー体験をつくり出していく必要があると考えているんです。「NewsPicksって改善を続けながら、先端を走っているね」「面白いチャレンジをしているな」とユーザーの皆さまに思っていただけるようなブランドの醸成に貢献していきたいですね。

では、次のNewsPicksをつくっていく中で、抱えている課題はありますか?

文字:
大きな課題は、プロダクトの開発や変革のスピードが遅くなっていることですね。多くの事業を手がけていることもあり、1つひとつにかけられる力が減ってしまっていて、結果的にスピードが遅くなっていると感じています。この課題を解決するために、明確に足りていないのはシニアのエンジニアとデザイナーです。

高山:
僕もシニア層が少ないなと感じますね。NewsPicksは「自由主義」をすごく大事にしており、何事も強制されず自由にやれる環境です。一方で、その自由とセットで責任をしっかり果たしていく姿勢が問われます。それを高次元で持つシニア層のエンジニアに仲間になってほしいと思っています。

文字:
課題解決のもう一つの観点として、異能を増やすことですね。高山さんが入社し、プロダクト内でのデータや機械学習などの価値を高めてくれています。この動きはさらに加速させていきたいし、機械学習に限らず多くの異能を求めています。新しい視点が入れば入るほど、プロダクトの価値や既存の発想の枠を超えたモノづくりができるし、開発や変革スピードを高めていけるはずです。NewsPicksに新しい価値をもたらしてくれる異能を、もっと増やしたいなと思っています。

林:
僕が思っている課題もスピード感です。ビジネスの変化に柔軟に対応できるよう、開発のスピードをもっと上げていきたいなと思っています。NewsPicksはリリースから5年が経っているので、コードが冗長になっている部分や、視認性や拡張性の問題が内在していました。2020年はその解決策として、リファクタリングや開発基盤の改修にしっかり投資をして改善を進めてきました。

その結果、ある機能を改修する工数が1/5くらいまで圧縮され、しっかりと成果を残すことができました。ただ、やっぱり肌感としては、まだスピードが遅いと感じています。リファクタリングや基盤の整備は、ビジネス的にすぐに売上につながるようなことではないので、ある意味地味なんですよね。ビジネスサイドにも理解をしてもらいつつ、今後もエンジニアの生産性に寄与することをしっかり考え抜いて、中長期で開発スピードを高めていきたいなと思っています。

CTO 高山温

文字:
繰り返しになりますが、自由を何より重視する会社なので、常にチャレンジを楽しめる人がいいですね。ただつくるだけではなく、そのプロセスの中で何事も前向きに受け止めて、自分なりの創意工夫をして価値を生み出せる人であれば、楽しく仕事できると思います。

高山:
バリューの1つでもある「迷ったら挑戦する道を選ぶ」にならい、挑戦の道を選ぶ人は向いているかと。とにかく自由な環境なので、挑戦の機会はたくさんありますから。

林:
エンドユーザーと直接向き合い、自分たちの世界観を自らが定義し、それを楽しめる人ですね。逆に言うと、上から降りてきた要件に沿って黙々と開発するのが楽しい人は合わないと思います。ユーザーが求めているUI/UXはこれだ、ビジネスサイドの意図はこうだよね、と仮説を立て検証する──そうしなければ、NewsPicksで良いものはつくれません。裁量が大きく、”遊び”の幅が大きいコミュニケーションを取る組織なので、責任を持って自ら思考し、行動できる人が活躍できると思います。

本記事に登場するメンバーの中には、すでに退職・退任しているメンバーも含まれます(役職・所属組織名は当時)

編集:筒井 智子
Uzabase Connect