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【次世代への手紙】変革期の今、成長の機会・スキルアップのチャンスは自分次第で無限大!──INITIAL 編

【次世代への手紙】変革期の今、成長の機会・スキルアップのチャンスは自分次第で無限大!──INITIAL 編

2024年卒から新卒採用を本格化したユーザベースグループ。本シリーズ「次世代への手紙」では、新卒メンバーを受け入れる各チームのリーダーが、次世代を担う新卒メンバーへの想いや、キャリアビジョンについてお話します。

第3回は、国内最大級のスタートアップ情報プラットフォーム「INITIAL」編。スタートアップ情報を武器に身につくスキルと経験、そして新卒メンバーに期待していることを、INITIAL事業 執行役員CEOの千葉に聞いてみました。

千葉 信明

千葉 信明NOBUAKI CHIBAINITIAL事業 執行役員CEO

慶應義塾大学経済学部卒。三井住友海上火災保険株式会社で代理店営業を経験後、株式会社CyberZにて新規事業立ち上げに参...

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目次

INITIALの今とこれから

まずINITIAL事業のこれまでの歴史について教えてください。

実はINITIALは、ユーザベースから生まれたプロダクトではありません。もともとは株式会社ジャパンベンチャーリサーチ(以下「JVR」)という会社で誕生しました。2017年にユーザベースがJVRをM&Aにより買収し、事業統合した背景があります。

JVRは2011年に設立されました。その前身となるのが、日本のスタートアップを活性化する目的で2009年頃に立ち上げられたNPO法人とのことです。

それまでに日本には、スタートアップ企業の情報をまとめたデータベースがなかったため、JVRは2012年に「entrepedia(アントレペディア)」という事業を立ち上げました。これがINITIALの前身のサービスにあたります。

もともとユーザベースはSPEEDAを運営をする中で、国内のスタートアップや上場企業のデータが必要だったため、SPEEDAはさまざまなデータサプライヤーと契約していたんですね。その中で見つけたデータ基盤がJVRのentrepediaでした。

JVRがユーザベースグループ入りした当初は、SPEEDAと直接統合せず、entrepedia単体を独立したプロダクトとして運営を引き継ぎました。

そして2018年から2019年にかけて、ユーザベースとJVRの組織統合を進めました。その後サービス名をINITIALに変更し、現在に至ります。2021年には事業をしっかりと拡大できたため、2022年はさらなる拡大フェーズに入ることとなり、採用数もこれまでにない規模になりました。

INITIALのビジョンは、「スタートアップをより身近に、挑戦者であふれる世界をつくる」です。

変化が激しい現代においても、より豊かな暮らしや個々人の幸せ、自らの挑戦を諦めずに追求していく、その可能性を信じて取り組んでいるのがスタートアップです。

スタートアップの成長には起業家だけではなく、VC、CVC、事業会社をはじめ、さまざまな支援者、伴走者が存在します。

INITIALは、スタートアップの世界をデータとコンテンツで可視化することにより、他人事ではない、より身近な存在にしていきます。そして新たな産業創出に携わる人を増やし、利用するすべての人の未来を切り拓いていく、その一翼を担いたい。

周りの人々が挑戦している姿を見て、「自分にもできるのでは」と思うことってあるじゃないですか。そうした想いが広がり、スタートアップがますます身近な、一般的な存在になっていく世界を目指しています。

このフェーズならではの働く楽しさはなんですか?

変革期ならではの楽しさがあると思います。SaaSビジネスでは一般的に、立ち上げ期、成長期、成熟期という3つのフェーズがあると言われます。それを評価する指標のひとつがARRですね。

ARR(Annual Recurring Revenue:年次経常収益)とは、年間のサブスクリプション売上高の12ヶ月先を予測したもの。MRR(Monthly Recurring Revenue:月次経常収益)を12ヶ月分掛けて計算します。そのARR10億までが立ち上げ期、10億から100億が成長期、100億以上が成熟期とされています。

特に組織的な観点では、立ち上げ期の後半から成長期を経験することによって、自分の能力を高める良い経験が得られると思うんです。INITIALはまさにそのフェーズです。

私は2018年にINITIALにジョインしてこれまで関わってきましたが、ずっと「耐えてきた」感覚があります。立ち上げ期では、人数も少ない中、努力した結果が現れるまでには時間差がありました。でも、これからの成長期は行動と結果が直結していくようになるはず。立ち上げ期を経て、事業として大きく変化するフェーズなんです。

変化が大きいフェーズだからこそ、従来の方法を続けることが最適解ではない可能性もあります。プロダクトやセールス活動、マーケティング活動など、取り組み方を見直し、大幅に変える必要が出てくるかもしれません。

私たちはこれまで積み上げてきた知見やプロセスにも健全な疑いを持ちつつ、新しい方法で最高のパフォーマンスを発揮できるように取り組んでいる最中です。

このタイミングで新卒として働くのって、かなりユニークな経験が積めると思うんですよ。ユーザベースグループのさまざまな事業の中で、成長期への転換点を迎えているのがINITIALなんです。

急拡大する組織の中で、日々起こるハプニングに対する瞬発力や、柔軟な対応力を得られるはずです。成長期だからこそ、「セールスだからこれをやらなければいけない」といった役割の定義に、まだまだ余白があるんです。だから自分の意見を積極的に言ってほしいし、それが事業やチームの方針になる可能性も高い。それは新卒でも中途でも変わりません。

新しいことを仕掛けていく中で、裁量を持って行動を起こしていけるのは、今のINITIALの事業フェーズならではの楽しさだと思います。

事業成長を通して、ユーザベースのパーパスとどのように接続していますか。

ユーザベースのパーパスは「経済情報の力で、誰もがビジネスを楽しめる世界をつくる」です。私は未来に向けた活動は、基本的にポジティブなものだと思っています。上手くいく/いかないも含めて、それがビジネスを楽しむということだと思うんです。

自社で何か新しい事業を生み出すような活動を増やしたり、それをスタートアップと共創していったりすることや、そうした活動を通じてスタートアップ業界を盛り上げていくことは、ストレートに「誰もがビジネスを楽しめる世界をつくる」というパーパスに直結するのではないかと思っています。

自分の考えが形になるような創造的な活動って楽しいじゃないですか。逆に言うと、あらかじめ用意された完成図があって、それに従うだけであれば、単純な作業になってしまってつまらないですよね。

目指すビジョン/パーパスという大きな山があって、そこへの登り方を工夫しながら仕事をしていくって、自分たちにとっても楽しいことなのではと思っています。

組織を大きくする中で、キャリアパスは決まってくる

INITIALの事業に配属された新卒メンバーは、どんなチャンスやスキルが得られると思いますか。

スタートアップのトレンドは圧倒的に身につきます。これはポータブルスキルとしても大きいんじゃないかな。INITIALメンバーは、今どういうテクノロジーが流行っているのか、注目されているのかを常に注視しなければなりません。むしろこれが身につかなければ、INITIAL事業で活躍していくのは難しい。でも毎日INITIALを見てお客様と関わっていれば、自然と身につくので安心してください。

2つ目は、課題を抽出して顧客と事業に還元する力ですね。INITIAL Circle(ユーザーコミュニティ)など、お客様から率直なご意見やコメントをいただける機会が多くあります。お客様からいただいた忌憚のないご意見から課題を抽出して、それをきちんと事業やINITIALのプロダクトに還元する力が鍛えられます。

キャリアステップの話で言うと、新卒で入社して、INITIALで何かスキルを身につけて強くなって他社に行く。そういう王道のステップはあまり考えていません。

厳しい言い方になるかもしれませんが、学ぶだけってあんまり私は好きじゃないので。何を学ぶかよりも、自分が今何をやりたいか? を考えてほしい。

要するにキャリアステップよりも、こんなチャンスがあるんだよって言いたいですね!  INITIAL自体がこれから成長期に入るし、サービスももっと大きくしていくことしか考えていない。今のINITIALは主に投資家に向けたサービスなので、スタートアップに向けたサービスラインナップも増やしていきたい。

ビジョンである「スタートアップをより身近に」という部分では、まだまだサービスラインナップが足りないと思っているので、今後も新規事業を生み出していきたいと思っています。

INITIALはスタートアップの領域なので、今までやっていないことや新しい感覚が非常に重要になってくる。逆にいうと、新卒メンバーには私たちでは考えつかないようなアイディアを生み出す可能性がありますよね。

自分が感じたことを「声」に出していこう

最後に、新卒の入社メンバーに向けてのメッセージをお願いします。

いい意味で、新卒と中途を区別する感覚はありません。もちろん社会人としての経験値の差はあるとは思いますが、むしろ「この人は新卒なんだ」「この人は中途なんだ」とパッと見て分からないような、そんな事業にしていきたいですね。

そのために皆さんに期待することとしては、臆せず声を出していこうということです。
INITIALのミーティングでも常に「声を出していこう」って言っています(笑)。

シンプルですが、自分が感じたことを声に出してほしい。そこに未来の可能性があるかもしれないので。

よく言われることですが、新卒メンバーには、分からないことをはっきりと分からないと言える特権もあるじゃないですか。若いメンバーからしたら、分からないことがあるのが当たり前。疑問や感じたことを常に声に出していくことを意識してほしいです。

あとは、とにかくお客様に会ってほしい。やはりINITIALを使うお客様がどのような人なのか分からないと、組織やサービスをつくることは難しいと思うし、すべての答えはお客様にあると考えているんです。

先ほど挙げたINITIAL Circleには、私も積極的に参加しています。とにかくユーザーをバイネームで分かるようにするような文化にしたいなと思っています。

INITIAL Circleの様子

なぜお客様に会うことが重要なのか。私の原体験を話しますね。私が2018年にユーザベース、INITIALに入った頃は、チームの規模も今よりもずっと小さい中で売上を伸ばさなければならなかった。事業計画があるけど、その達成に必要な人数がいない。それでも営業しなきゃいけない。

入社してからすぐ営業をしまくっていたんですが、既存のお客様に会うことをすっ飛ばしていたんですよ。私はIT業界にはいたけど、スタートアップ界隈出身ではないので、とにかくentrepediaを1件でも多く導入してもらうべく新規営業にフォーカスしました。

でも案の定、大半は断られるわけです(笑)。もともと8割受注するようなビジネスではないけど、「またちょっと今度」というか「年内はないかな」とか「いや、いいと思うんだけど予算がね」みたいな感じで、5〜7割は断られる毎日でした。

そうやって断られ続けると、INITIALって誰に必要とされている事業なんだろう? Nice to haveではあるけど、Must haveではないのでは? と感じるようになっちゃって......。自分がやっているプロダクトに対する確信というか、entrepediaって良いサービスなんだろうけど、もう伸びしろがないのではないか? と、プロダクトに対する自信を失ってくるんですよ。

そんな頃、とあるスタートアップ界隈のイベントに行ったときに、たまたまentrepediaのお客様がたくさんいて。名刺交換をしたときに「entrepediaなんだ! すごく使っているよ」とか「毎朝PCを立ち上げるときに、必ずentrepediaを開いてるよ」「これがないと仕事にならない」というお声をたくさんいただいたんです。それを聞いて、彼らにとって「なくてはならない、Must haveなプロダクト」なんだと、プロダクトに対する自信が持てるようになった。

その体験が今でも強烈に残っています。それ以降は営業していて「いや、ちょっと今回は難しいです」と断られたときにも、機会損失させてしまっている──INITIALを契約いただくことができなかったというのは、そのお客様にとっての機会損失をさせてしまっているなという気持ちになれました。そこまで自信を持てるようになれたのは、やはり既存のお客様のおかげです。

執筆:近藤 里衣 / 編集:筒井 智子 / デザイン:金子 華子
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