ざっくり年表
2012年 CPT設立。グローバル企業情報、及びアジア未上場企業情報を提供開始
2014年 M&A情報を提供開始
2015年 国内未上場企業情報を提供開始
2018年 Dow Jones社と提携し、世界200ヵ国以上のニュース情報を格納
2019年 グローバルスタートアップ情報を提供開始
チームメンバー紹介
・太田智之(グループ執行役員 事業開発担当 兼 Business Develop Division Leader):UBS → Morgan Stanley → Uzabase(2017~)
・伊澤 太郎(Team Leader):Bain & Company → ビンガム(現アンダーソン毛利友常法律事務所。弁護士) → コロプラ(法務) →Uzabase(2017〜)
・Avril Zhang:THTI Holdings → Into → Zhongnan Capital → Uzabase(2019〜)
・仲川 英歩:ペイミー(FinTechベンチャー:関西支社長、事業部長)→ AnyMind Group(代理店:社長室、D2C事業)→ Uzabase(2022〜)
・久川桃子(Media Partnership Team Leader):Chase(FX)→ 日経BP(記者、編集者、編集長)→ NewsPicks(2015〜)、Uzabase(2022〜)
CPTってどんな仕事?
伊澤 太郎(以下「伊澤」):
業務に関する説明の前提として、SaaSプロダクト──経済情報プラットフォーム「SPEEDA」、B2B事業向け顧客戦略プラットフォーム「FORCAS」、スタートアップ情報プラットフォーム「INITIAL」における情報コンテンツの重要性についてお話ししますね。
ユーザベースのSaaSプロダクトを成立させる、最も重要な要素のひとつはデータ・コンテンツです。データ・コンテンツのほとんどは、パートナー契約によって他社から提供されています。たとえば新たにプロダクトや事業の開発に必要な仕様を検討するにしても、コンテンツの提供条件が、パートナーとユーザベース双方にとってメリットのあるものになっていることで、初めてそのコンテンツを実装することができます。
CPTではデータ・コンテンツを提供してくれるパートナーの探索、関係構築、交渉や、情報拡充に向けた戦略立案等を担っています。
僕たちの具体的な業務は主に3つ。ひとつめは、パートナー戦略立案と企画です。各プロダクトの事業CEOやプロダクトマネージャーと協力して、ユーザーのニーズをもとに情報拡充に向けた企画立案をします。
2つめは企画立案を受けて行うパートナー開拓や交渉、関係構築。データ・コンテンツ提供者やアライアンスパートナーの窓口として、アライアンスを締結する実務を担います。また、先方と信頼関係を構築し、最新の動向を把握することで、自社プロダクトやサービスの新たな価値を探ることも大切な仕事です。
さらに3つめは、情報ポートフォリオの最適化。提供するデータ・コンテンツを保有資産に見立て、現状のポートフォリオで十分に顧客価値を提供できているかどうかを分析・検証します。必要に応じて最適化の戦略立案を行い、パートナー契約の見直しや交渉などを行います。
Avril Zhang(以下「Avril」):
私はアジア地域の担当で、中国および英語圏のデータサプライヤー(以下、サプライヤー)との関係構築と予算管理、それにSPEEDAの新規データコンテンツの導入業務、さらには世界30カ国以上の証券取引所のデータライセンス管理も行っています。
プロダクトと顧客ニーズを理解したうえで、既存のサプライヤーからのデータやコンテンツの調達を管理することが、サプライヤーとの関係構築における主な業務ですね。
ひとつめの業務と並行して、新しいサプライヤーも探しているんです。彼らとの契約交渉から取引、契約の履行、データやコンテンツの受領とSPEEDAへの導入──これらが、2019年10月に入社してから日々取り組んでいるコンテンツ導入業務になります。
伊澤:
CPTの業務を一言で言うなら「パートナーシップを通じた事業開発」なんですけど、周囲からは分かりにくいと言われます(苦笑)。
2022年1月から同じDivisionで一緒に働き始めた久川さん(久川 桃子/Media Partnership Team リーダー)は、「ユーザベース全体のコンテンツ戦略、商品戦略を考えているチーム」だと言っていましたね。CPT外の目線で言うと、「どんなコンテンツにすべきかを戦略的に考え、戦略に基づいてパートナー開発している」と伝えたほうがわかりやすいんじゃないか、って。
伊澤:
そうですね。我々はさまざまな国のサプライヤーからデータ・コンテンツの提供を受けています。サプライヤーと交渉するときは、先方の「SPEEDAと自社が競合するんじゃないか」っていう懸念に配慮する必要があります。
グローバルのサプライヤー企業は、日本国内でコンテンツを提供されるだけなら、競合関係にあるという意識は限定的です。けれど我々がグローバルでコンテンツを提供するとなると、彼らは「自分たちで直接売っていけるはずなのに、ユーザベースに提供することでその機会を失ってしまうんじゃないか?」と考えます。
なので、利用者層や用途の違いなどを先方に説明して、競合関係にはないことを理解してもらい、コンテンツ提供までの道筋を見つけていくことはすごく大切ですね。
実際、サプライヤーは自社利益を守るため、我々の用途や提供方法を確認してきますし、「こういった利用は認められない」などの利用制限を提案してきます。
サプライヤーは利用を制限したい。一方で、我々はお客様に広範囲の情報を提供したい。「じゃあどうするか?」というところですが、我々のゴールはお客様に価値を届けることですよね。なので、別の制限方法を提案するなどして、サプライヤーの納得を得ながら、お客様への提供価値を最大化することのできる着地点を探していくことになります。
相手には相手の事情がある中で、どうしたら情報の価値を最大限発揮できる条件を獲得できて、制約を最小限にすることができるか──ここに関してはCPTの専門性とスキルが発揮されるポイントですね。
伊澤:
この仕事の面白いところは、コンテンツ提供にあたって気をつけなければいけないことや、機能制限など──自分が勝ち取った条件によってプロダクトの仕様がガラッと変わることです。地味だから知られていないし、気づかれにくいんだけど、「実は自分たちが頑張ったことによって、この仕様でユーザーが利用できているんだ」っていう事実はめっちゃ嬉しいです。
たとえばあるテーマで検索したとき、企業データをひとつずつしか見られないのか、それをリストで見られるかでは、ユーザー側の使い勝手が全然違うでしょう? 仮に言われた通りに制限を受け入れたときと、制限を最小限にした現在では、結果的にプロダクトの姿が全然違うってことを知っているわけじゃないですか。プロダクトに与えるインパクトが大きい業務を担っていることに、とてもやりがいを感じますね。
チーム内外のコミュニケーション
Avril:
日本とグローバルでは条件が異なるので、主に私が担当するアジアのサプライヤーのお話をしますね。前提として、1国に対して1社ずつローカルサプライヤーが存在しています。私は東南アジアをはじめ、中国、韓国、オーストラリアまで、幅広くサプライヤーを管理しているんです。サプライヤーによって仕事のやり方も違えば、言語も違うので、コミュニケーションや関係維持がとても難しいですね。
また、サプライヤー契約によっては数ヶ月ごとにデータを購入する場合もあります。彼らとの関係を維持することで、データを安定的に供給しつつ、予算管理やコスト削減も同時に行っていきます。
Avril:
私は入社から2年間、中国の新しいサプライヤーとユーザベースの架け橋として、時には議論しながら新しい提携関係を築いてきました。その中でも特に大変だったのが、お互いのビジネスを理解しながらコンテンツ提供の契約を結ぶこと。あとは、非常に厄介な「規制」を気にしながら交渉することです。
契約条件の交渉では、ユーザベースのリーガルチームとサプライヤーの両方と議論する私は、板挟みになりがちです。両者のバランスをとって取引を成立させるのは本当に大変なんですが、苦労の末にSPEEDA Chinaへのデータ供給を実現できました。今ではデータやコンテンツに加え、現地の記事やレポートも提供できているんです。この経験には大きなやりがいを感じましたね。
伊澤:
念のため伝えておきますが、リーガルチームとはあくまでも協調関係ですよ(笑)! 彼らは彼らで規制を守ろうとしているので、規制のなかで何ができるのかを一緒に考えている感じです。
伊澤:
オンラインで調べたり人に聞いたり、それこそSPEEDAのFLASH Opinion(各業界のエキスパート複数名に、専門知識や業界動向について意見を求めることができる機能)を使ったりしながら調べます。
そこで知ったサプライヤー候補の企業とコンタクトをとって、データを提供してもらえる可能性がある場合はサンプルデータをもらうんです。その後はデータチームと協力して、ユーザーにとって本当に価値のあるデータ品質なのか、正確性・網羅性・更新性の観点から確認します。
さらに、我々の場合はデータをどのようにユーザーに届けるかも大切な観点です。なので、どういう仕様でデータを提供してもらえるかもチェックしますね。この点はプロダクトマネージャーと一緒に議論するんだけど、「ユーザーにどんな価値を届けられるか?」「このデータならユーザーに喜んでもらえるか?」が話し合いの根底にあるので楽しいです。
Avril:
CPTのメンバーの能力は、サプライヤーとユーザベースがWin-Winになるような「中庸の価値」を見つけることだと思います。内部的にも、外部サプライヤーにとっても、みんなにとって良い条件を見つけていく「架け橋」のような存在なんです。CPTは、全く異なる機能を組み合わせながら、ひとつのゴールを目指していくことに特化した、「異能は才能」を体現するチームだと思います。
Avril:
壁があることは確かだけど、みんなが英語を使って会話しようと努力してくれるから、そこまで難しく感じることはありません。みんなが「コミュニケーションを取りたい」と思っている限り、問題はないと思っています。
そういえば最近、社内のSlackにTranslation Botが入ったんです。英語話者としては「他言語の話者とも自由に話したい」という思いがあるので、とても助かります。それに、今回の取材のために社内の通訳をアレンジしてくれましたよね。会社からこうしたサポートがあることは、とてもありがたいです。
正直なことを言うと、ほとんどの情報が日本語で共有されるから、必要な情報を見落としてしまうことがあって大変なのも事実です。だけど、互いが辛抱強くコミュニケーションを取り続けていけばきっとうまくいくはずだ、と私は思います。
伊澤:
四半期ごとの振り返りと週次の定例、1on1がメインです。定例では通訳を依頼しているんですけど、Avrilとの1on1は頑張って英語で話しています。私の英語が上達するのと同時に、Avrilが僕の下手な英語を理解する力が上がったから、ちゃんとコミュニケーションできているんだと思います。
私は最初、1on1で全然うまく話せなかったんですよ。だけど事前に話したいことについてあらかじめ英語のドラフトを用意することで会話の精度が上がって、文法がめちゃくちゃでもある程度言いたいことを話せるようになりましたね。
Avril:
太郎さん(伊澤)の英語は上手ですよ(笑)! ちゃんと理解もできています。
正直、太郎さんにとって私との英語のやりとりが負担になっている気がして、日本語を頑張って勉強しなきゃいけないと思っていたんです。でも、お互いに言語を学んで相互理解に努めることは前提として、相手の言語でうまく伝えられなくても、お互いに伝える意思があればそれでいいと思えるようになりました。
これからもし日本国外のメンバーがチームに入ってくれるとしたら、まず伝えたいのは「入社そのものが、その人にとっても、ユーザベースにとっても、それぞれが成長するための大きなチャンスだ」っていうこと。
そのうえで、ユーザベースについて、SPEEDAについて、プロダクト・ビジネスについて、そしてチームの役割について──「インクルーシブな姿勢で多様な文化を理解し、学び続けてほしい」と伝えたいです。そうすることで、CPTで最高の結果を残すための、強いベースができるからです。
チームで挑戦しているイシュー
伊澤:
僕が最近チャレンジしているのは、顧客解像度を上げるために具体的に機能をつくってしまうことです。個人的には、ユーザーに漠然とインタビューをしても解像度は上がりにくいと思っていて。実際に自分が機能をつくる立場になって、ユーザーの利便性を考えていくのが一番いいはずだっていう仮説があるんです。そんなわけで、「機能開発にチャレンジしたいんだ」という希望を翔陽さん(西川 翔陽/SPEEDA事業 執行役員 CCO)やカトジュンさん(加藤 淳/SPEEDA事業執行役員 コンテンツ担当)と話して、協力を得ながら、まさに今チャレンジしています。
Avril:
SPEEDAとともに学び、成長したことで、新しくチャレンジできるフェーズに入ってきたと思います。2022年から、新たにアジア以外の国も含むプロジェクトに関わり始めたんです。SPEEDAにとって大きな影響がある機能なので、ユーザーに直接インタビューを実施するんですが、最新の顧客ニーズを受け取ることができて、とてもやりがいがありますね。プロダクト全体の製品戦略をより深く理解することが重要なプロジェクトなのでプレッシャーもありますが、とてもチャレンジングです。
1つひとつの業務に対して、私自身がオーナーシップを持つことはとても重要です。簡単なことではないし、見据えたゴールが同じなのか確証が持てないこともあります。そんなときは太郎さんやトモさん(太田 智之)にフィードバックを受けたり励まされたいな、と思ったりすることもあります。
伊澤:
そこがまさにAvrilがリーダーになっていくために、ぜひチャレンジして欲しいところなんです。リーダーへの成長を促すために、手助けしたくても見守らなきゃいけない場面もあると思うんですよね。
メンバー1人ひとりが自らにオーナーシップを持ち、困難に立ち向かえるようになることが、プロダクトの可能性を切り拓く原動力になります。ユーザベースの「縁の下の力持ち」として、これからもSaaS事業の進化に貢献していきたいですね。