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10年間のパートナーシップから生まれたJVで、経済情報と沖縄の地に新たな可能性を──UB Datatech誕生にかける想い

10年間のパートナーシップから生まれたJVで、経済情報と沖縄の地に新たな可能性を──UB Datatech誕生にかける想い

2021年10月、株式会社ユーザベース(以下、ユーザベース)と株式会社プロトソリューション(以下、プロトソリューション)は、多種多様な経済情報の取得・整理を目的としたジョイントベンチャー「株式会社UB Datatech」を設立しました。そこで今回は、新会社の代表となる林とユーザベースCo-CEO/CTOの稲垣、プロトソリューションの代表白木氏、執行役員の日向野氏に、新会社設立の背景や実現したい想いについてインタビューしました。

稲垣 裕介

稲垣 裕介YUSUKE INAGAKIユーザベース Co-CEO / CTO

大学卒業後、アビームコンサルティング株式会社に入社。プロジェクト責任者として全社システム戦略の立案、金融機関の大規模デ...

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林 尚之

林 尚之TAKAYUKI HAYASHIUB Datatech CEO/コーポレート執行役員 B2BSaaS事業CTO

2003年に松山大学経済学部を卒業後、福岡のSI企業に入社。2009年にフリーランスとして独立後、2013年からSPE...

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白木 享

白木 享TORU SHIRAKIプロトソリューション 代表取締役社長

システムエンジニア、大塚商会の営業を経て、1998年に株式会社プロトコーポレーションへ入社。ITソリューション部門を立...

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日向野 信吾

日向野 信吾SHINGO HIGANOプロトソリューション 執行役員 営業部門担当

NTTドコモ、ミュージシャンを経て、2011年にプロトソリューションに入社。BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシン...

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目次

2012年から続くパートナーシップ

プロトソリューションとユーザベースは、これまでどのようなお付き合いをされてきたのでしょうか?

白木 享氏(以下「白木」):
UB Venturesの代表取締役である岩澤さん(岩澤 脩)と、2009年から1〜2年ほど海外で一緒に仕事をする機会があって、もともと知り合いだったという経緯があります。その後、ユーザベースに入社された岩澤さんから、経済情報プラットフォーム「SPEEDA」のデータ拡充プロジェクトでのアウトソーシング先を探しているということで、プロトソリューションに相談をいただいたのが2012年頃です。

日向野 信吾氏(以下「日向野」):
当時、別の企業から財務諸表のデータを集める仕事を受けていたので、ユーザベースがやろうとしていたことをイメージしやすかった、という部分もありますね。ビジネス情報を集めて入力していく仕事は、今もずっと任せてもらっています。

稲垣 裕介(以下「稲垣」):
当時は自社内でも10〜20名のアルバイトを抱えてデータ入力をしていたんですが、なかなか定着しないし、オペレーションも形にならなくて……。果たして自分たちがやっていることは生産性が高いのだろうか? と疑問に感じ始めた頃、プロトソリューションさんでは、すでにオペレーションを徹底し、働く人のモチベーションが湧く仕組みをつくり上げていた。ユーザベースとは明らかにレベルが違うことをやっていて、驚かされたのが今も記憶に残っています。

日向野:
データ入力に加えて、2017年からは開発、2020年からはセールスを支援するオペレーションも任していただけるようになって、今は3つのチームを合わせて20〜30人くらいが稼働しています。

そこからどのようにUB Datatechの立ち上げにつながっていったんですか?

林 尚之(以下「林」):
SPEEDAでは、データを内製したいと思いつつ、できていない状態でした。そこから一歩踏み出す方法としてジョイントベンチャー(以下「JV」)を検討していて、真っ先に候補として挙がったのが、プロトソリューションさんだったんです。プロトソリューションさんは一緒に仕事を始めて以来、ずっと誠実に仕事をしてくださっていたので、ぜひ一緒にやりたいなと思いました。

稲垣:
データをつくっていく上では、データオペレーションのパワーとテクノロジーが重要になります。二人三脚でできるTechチームをつくりたいと考えたとき、これまでの関係性や仕事ぶりから見ても、プロトソリューションさん以外の選択肢は思いつかなかったというのが正直なところです。

プロトソリューションさんは、すでに取引がある中でJVの話があったとき、どう思われましたか?

日向野:
2021年1月に電話でお話をいただいて、最初の率直な感想は「すごく楽しそう!」でした。ユーザベースさんとは、もともと発注側・受注者側みたいなことをあまり感じたことがなく、ずっとパートナーとしてやってきたことも大きいですね。

白木:
こちらとしても、むしろ「お願いします」という形でした。そもそも僕たちはユーザベースのファンなんです。当時、ユーザベースは「経済情報で、世界を変える」というミッションを掲げていましたが、僕の中では「世の中のスタンダードを変える」くらいの感覚で捉えています。世の中にベンチャー企業は数多くあっても、日本を変えるようなジャイアントキリング的な会社ってなかなかない。それを実現しようとしているユーザベースへのリスペクトが根本にあるんですね。

あと、我々の会社自体が「情報を未来の知恵に」というテーマでやっていて、コンセプト自体が似ているところがあります。JVで一緒にやらせていただくことで、我々のヒントになるものが生まれる可能性もあるし、ジャイアントキリング的な会社のやり方を勉強させてもらいたいというのが本音でもあります。

1月に最初の話が出て、その後は具体的にどのように進めていったんですか?

日向野:
1〜3月は電話をしながら具体的な内容を詰めていき、4月には一度直接お会いしました。気持ち的にはやりたいという想いが強かったので、進むのは比較的早かったですね。

白木:
僕らは「最終的にデータを持っている会社が勝つ」ということを、意思決定の基準にしています。これまでもデータを先行してつくっていきながら、それをいかにビジネスに変えていくかを考えてきたので、それを最先端でやっているユーザベースとのJV設立の意思決定に、不安は全くなかったですね。内部的には6月には決定していました。

ユーザベース林 尚之(左)・稲垣 裕介(右)

機会提供で沖縄にもっとチャンスを

すごいタイムラインのスピードですね。新会社の社長には、林さんが立候補したと聞きました。

林:
はい。そもそもJV立ち上げの発端は僕なんですよ。実は去年くらいから僕の中で新会社の構想があって、稲垣とオンライン飲みをしているときに話したら「いいじゃないですか」と賛同をもらえて。

僕はエンジニアなので、ちゃんとコミットするためにもCTOとして参画したい、というのは当然ありました。そんな時に稲垣から「こういう会社のCEOをやる機会はそんなにないから、立候補制にしてCEOの立場をいろいろな人にも経験してもらう良い機会なんじゃないか」という提案があって、いろいろと考えた結果、私自身がCEOに立候補した形です。

他の人にもチャンスを与えたいと思う一方で、私の中で新会社の具体的なイメージをつくり上げてきたので、責任ある立場でやりたかったんですね。それで最後は自分のWillを出させてもらいました。
稲垣:
1つのファンクションとして会社を作ることは、うちにとってはなかなかない話で、ビジネスサイド以外のメンバーでも社長になれる可能性が出てきます。その機会をみんなに与えるべく、課題解決を提案し、事業をつくる「イシュー・ドリブン制度」として自らの想いをプレゼンして審査する機会をつくったんですが、そこでも林から「自分がやりたい感」が熱く滲み出ていて。最後は「もう林さんがやっていいんじゃないですか」みたいな感じで決まりました。

白木:
僕自身も親会社のCTOとプロトソリューションのCEOを兼務しているので、林さんが考えていることがよく分かる気がします。

稲垣:
エンジニアってCTOとして経営に参画する人は多いけれど、自分が経営に対して財務などを含めて見ることにちょっと抵抗感があって、なかなか手を挙げにくいものかなと思うんですよ。だから今回、林がCEOになることはロールモデルにもなるし、すごく良いメッセージだなと思います。

白木:
今回、新たに取締役に抜擢した松川くん(松川 健嗣)は、これまで頑張ってきた姿を見て、私が推薦しました。

プロトソリューションや今回の新会社の拠点でもある沖縄は、東京に比べると就職のバリエーションが少なくて、仮にITをすごく好きだと思っても、そういう仕事につけるチャンスが多いとは言えないんですね。そんな中で、松川くんのようにチャンスを掴む人がいれば、誰かが後に続く可能性が出てくる。ユーザベースさんのような、スタートアップ企業が沖縄にチャンスをつくって、変えていけるキッカケができたら嬉しいなと思っています。

日向野:
キックオフでは稲垣さんが熱いプレゼン資料をつくってくれてたんですが、創業のストーリーから、こんな文化や会社を作っていくんだという想いも詰まっていて、それを聞いた松川くんが涙ぐんでしまって。私も心が震えました。

林:
僕自身もキックオフを通して、UB Datatechとして沖縄に貢献していきたいという気持ちが強くなりました。それまでは「どうやってデータを組成していくか」ということばかりが思考の大半を占めていたんですが、キックオフでみんなと話す中で、機会を提供していけば、もっとポテンシャルが発揮されていく場所ではないかと感じました。

稲垣:
ただ沖縄に来てイベントをやるだけではあまり意味がなくて、今回は自分たちも会社を出すからこそできることがある。テクノロジーとエンジニアの雇用を広げることもそうだし、データオペレーションでもオンラインを含めたクラウドソーシングの領域もやっていきたい。他にも、たとえば業務を可視化して他の仕事にも活かせるような資格をつくることができたら、キャリア形成にもつながるかもしれない。そういうことをやれるといいね、という話もしています。

プロトソリューション 白木氏(左)・日向野氏(右)

UB Datatechとしてまずは3年が勝負

今回のJVは、一旦3年限定とのことですが、その理由をおしえてください。

稲垣:
3年というのはJVの成否が見える時期でもあるし、期限を区切ることはお互いにとっていいのではないかと考えたからです。3年後に、お互いにやって良かったから続けるのか、別の選択肢を取るのか、という話をできるといいなと思って。

白木:
あくまで「一旦3年」で区切る形です。ちゃんと期限を決めて、そこできちんと振り返った上で進めていく。惰性でやらないということですね。

これまで長年一緒に仕事をしてきたものの、カルチャーが異なる部分もあると思います。新会社ではどんな組織やカルチャーをつくっていこうと考えていますか?

林:
僕がCEOだからといって、特にユーザベースのカルチャーを意識して取り入れていくことはあまり考えていないです。ユーザベース側、プロトソリューション側みたいなことは取っ払った状態で、UB Datatechという同じ会社のメンバーとしてフラットに進めていきたい。

その過程の中で、UB Datatechとしてのカルチャーは醸成されていくと思うので、それを言語化して整えていけたらと思っています。これまで仲間として一緒にやってきた中で、お互い大事にしている部分が一致していることが多いのでは、とも感じていますね。

白木:
僕がずっと沖縄で事業をやってきて感じるのは、沖縄の方々は歴史的にもいろいろなカルチャーを取り入れてきたし、それができるDNAを持っているということ。UB Datatechができたことで、何らかの形で環境がグッと変わっていく可能性もあると思っています。もちろん、UB Datatech自体、これからどんな会社になっていくのか、楽しみでもありますね。

2021年10月1日に新会社がスタートして約半年、現在の状況と今後について教えてください。

日向野:
組成していくデータについては、質でも量においても、日本でナンバーワンのデータにしたいという想いが強いですね。もちろん僕らとしてもこれはいけるという算段があってやっています。

林:
まずはこれまでデータ化されていない情報をきちんと整理し、データを組成していくことから始めていく予定です。あとは先ほども言いましたが、沖縄に対する想いが強くなっているので、エンジニアやデータを組成する人など関わる人たちと近い場所で、より良い関係を築きながら付き合っていきたいなと思っています。

稲垣:
2021年12月には、沖縄最大規模のエンジニア向けTechイベント「TECH BASE Okinawa」も開催しました。県外からもたくさんの方にお越しいただき、大盛況のうちに終了。ユーザベースからも何人か登壇してくれたし、僕自身すごく楽しめたイベントになりました。このイベントで終わらせるのではなく、今後も沖縄から良いモメンタムを生み出していきたいと考えています。

Tech BASE Okinawaイベント懇親会

撮影時のみマスクを外しています。

執筆:宮原 智子 / 編集・写真:筒井 智子

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