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「共創の輪」から創り出す、新たな視聴体験への挑戦──Communications & Marketing Division Studio Team

「共創の輪」から創り出す、新たな視聴体験への挑戦──Communications & Marketing Division Studio Team

ユーザベースグループのさまざまなチームを紹介するシリーズ、今回はCommunications & Marketing Division Studio Team(以下、Studio Team)です。メンバーの酒居潤平と吉村美咲に、どんな仕事をしているのか? チームが目指す「最高の視聴体験」って? など、たっぷり話を聞きました。

目次

ざっくり年表

〜2020.10 B2B SaaS事業のマーケティング活動の一環としてオンライン番組配信の制作をスタート
2021.03 オンライン経済情報番組「SPEEDAトレンド」シリーズの制作をスタート
2021.06 オンライン番組の企画・制作を担うStudio Teamが発足
2022.01  経済情報に特化した動画配信事業「NewsPicks Stage.」を開始

チームメンバー紹介

酒居 潤平(コーポレート執行役員 CMO 兼 NewsPicks Stage.事業責任者):三菱UFJ銀行 → 起業 → Sansan → ユーザベース(2017.11〜)
吉村 美咲:日本放送協会(ディレクター) → ベンチャー企業(YouTube動画制作)→ ユーザベース(2022.2〜)

Studio Teamってどんな仕事?

CMD組織図
まず、仕事内容を教えてください。チームの設立経緯もあわせてお願いできますか?

酒居 潤平(以下「酒居」):
Studio Teamの役割は、大きく3つあります。メインの役割は、2021年から開始した新たな事業「NewsPicks Stage.」(経済情報に特化した動画配信事業)で配信する映像コンテンツの企画・制作・配信です。制作する番組コンテンツのテーマは、経済情報プラットフォーム「SPEEDA」やB2B事業向け顧客戦略プラットフォーム「FORCAS」など、B2B事業に関連するテーマからスタートしていますね。

また、NewsPicks Stage.が運営するYouTubeチャンネルでのオリジナルコンテンツの制作と配信も行っています。

3つ目は──前の2つに比べると頻度は少ないですが、Studio Teamが所属しているCommunications & Marketing Division(以下、CMD)の採用イベントや、各SaaS事業のユーザー会をスタジオから配信する際の企画制作リードも担ってきました。

チーム立ち上げのきっかけは2020年2月ごろ、新型コロナの影響でリアルイベントの取り組みをオンラインに移行したことです。当初は統合マーケティング組織のメンバー全員で、企画から撮影・配信にいたるまで手がけていました。これを皮切りに、オンラインイベントのクオリティを各事業ごとに高めていく挑戦を始めます。

その後、緊急事態宣言が出ることを見越して、今度はスタジオ配信からH2H(Home to Home:出演者と視聴者の双方が、自宅をはじめどこからでも参加できるセミナー)形式にシフトしたんです。H2Hはおかげさまで、毎回1,000〜2,000名にご視聴いただけるようになりました。

そこで2020年の下半期ごろから、スタジオセットをつくり、美術や照明・演出構成にもこだわった映像コンテンツづくりに挑戦し始めたんです。当初はマーケティング組織のなかで取り組んでいましたが、より技術力とチーム力を高め、挑戦の幅を広げていくために、独立した組織としてStudio Teamを設立しました。今では月1〜2本ペースでコンテンツを配信するごとに、3,000〜5,000名程度の方々に視聴していただけるまでに成長しています。

吉村 美咲(以下「吉村」):
テレビ局でディレクターをしていた私から見ても、「SPEEDAトレンド」を始めとするStudio Teamの制作番組は、カメラの台数や撮影方法、編集のクオリティに至るまで、テレビと遜色がないんです。なんならテレビよりめっちゃ予算を使っている気がします(笑)。

番組制作というと、収録や編集をイメージします。番組の企画は各プロダクトのマーケティング&ブランディングチームが担当なのでしょうか。

酒居:
Studio Teamでは、ぼくがユーザベースのコーポレート執行役員CMOとしてB2B事業全体のマーケティング戦略を立てていることもあり、企画から制作まで一貫して手がける体制をつくっています。

ユーザベースのマーケティング戦略は、マーケットを開拓するにあたり「深耕と開拓」という2つの観点に分けて定義しています。具体的には未来のマーケットの新規開拓と、既存のマーケットの深耕の同時進行ですね。ぼくたちのパーパスである「経済情報の力で、誰もがビジネスを楽しめる世界をつくる」ためには、両軸で世界観を広げていくことが重要になってきます。

今までも新規事業開発者向けの「New Business Way」をはじめとするコミュニティや、ユーザーコミュニティなどを立ち上げ、運営することを通じてビジネスパーソンやユーザーの方々との関係を構築してきました。それらはマーケットの深耕と開拓につながる取り組みですが、より多くの方々にアプローチするために、マーケットの拡張にもつながる第3の軸が必要だと感じました。その手法として、番組制作を思いついたんです。

たとえばSPEEDAにおいては、これまで事業会社では経営企画や事業開発部門の方々が中心でした。我々が制作している経済情報番組「SPEEDAトレンド」の役割は、日頃お世話になっている方々だけでなく、異なる層の方々──たとえば大企業の経営層や今までSPEEDAのビジョンを届けきれなかった領域の方々にご視聴していただき、SPEEDAの認知を広めることを目的のひとつとしています。

吉村:
私は入社してすぐ、「SPEEDA blend」というYouTube動画コンテンツのリニューアルを任せてもらいました。これは、「SPEEDAトレンド」で紹介しきれなかった1つひとつのテーマにまつわるトピックや具体的な取り組みについて深掘りしてお話を伺うものです。たとえば、先日公開した動画では、ゼネラル・エレクトリック社(GE)の方をお招きして洋上風力について伺っています。

吉村:
取り組みが素晴らしいので視聴者へのニーズが絶対にあるはず。だけど「SPEEDAトレンド」は、複数人が1つのテーマに対してディスカッションしていく形式だから、1人ひとりの得意分野についてなかなか深堀りしきれない──そんなテーマに対して発信の場を設けたい、という思いで制作しています。

「SPEEDA blend」に限らず、Studio Teamで動画を制作するなかでテレビ番組との違いを強く感じたのは、視聴者の番組テーマへの解像度の設定です。テレビって、誰が観ても理解できるようにつくるんですよね。逆に言えば、基礎的な知識を持つ人からしたら「そんなの知っているよ」っていう部分から説明するような番組構成になります。

だけど、「SPEEDAトレンド」をはじめとしたStudio Team制作の番組は、高い専門性を持った意思決定層や事業推進者に刺さるような内容なんです。だから入社当初、私は撮影中にゲストの方が繰り広げるお話の意味が全然分からなくて……。

それでも編集しながら意味が理解できるようになると、だんだん内容が面白く感じられるようになってきました。最近は番組制作に構成段階から関わるようになって、出演者に1時間くらい取材する機会があったんですけど、それがものすごく楽しかったんです。もっと早く話の意味についていけるようになりたいと思って、今はNewsPicksの記事を見たり社内用の研修動画を見たりして必死に勉強しています。

チーム内外のコミュニケーション

チーム外のメンバーとのコミュニケーションについて教えてください。

吉村:
経済情報やプロダクトの知識をキャッチアップする時に、同じCMDのマーケティングチームの皆さんにはすごく助けられています!

今までのキャリアはドキュメンタリー番組や企業YouTubeの制作がメインだったので、入社前から「経済情報に触れている回数が少なくて不安だ」とずっと相談していたんです。そうしたら入社後、まっぷーさん(松岡 遥歌/SPEEDA Japan Marketing & Branding Team リーダー)がインサイドセールスの方が商談している様子を撮った動画を共有してくれて。

お客様が欲しい情報やサービスの特性を、インサイドセールスの方が分かりやすく説明しているので、「お客様はこういう情報が欲しいのか! 」「こういう機能が役立っているんだ! 」とものすごく勉強になったし、プロダクトへの解像度が上がりました。分からないことはまだまだ多いんですが、自分のチームはもちろん、違うチームのメンバーも助けてくれるので不安は払拭されました。今では「楽しくやっていけそうだ」と思っています(笑)。

酒居:
実務的な面では、Studio Teamと各事業のマーケティングチームは共同で目標を設定しています。たとえば「SPEEDAトレンド」を配信する場合、想定される視聴者はSPEEDAの見込み顧客でもあります。そのため、番組制作はStudio Teamで行い、各事業のマーケティングチームは商談・案件化数をKPIとした集客施策を担ってくれています。連携して目標を追っていくために、目標のすり合わせは非常に重要になってきますね。

そのほかに協働する場面としては収録現場でのゲスト対応サポート。あとは、配信当日にはお問合せへの対応やチャットの対応など、Studio Teamだけでは手が足りない部分に関して、同じ部門であるCMDのメンバーに助けてもらっています。

多くの社外スタッフと連携を取るとき、何か意識していることはありますか?

酒居:
現在は外部制作メンバーとして、照明・美術・撮影など各領域のスペシャリストに協力してもらっているんです。基本的には同じメンバーで固定した制作チームをつくっていますが、仲間として番組を制作していくうえで、ぼくたちがすごく意識していることは「チームづくり」です。

制作チームをつくるとき、外部の制作会社に依頼して必要なスタッフを全員キャスティングしてもらうケースが多いと思います。ぼくたちの場合、Studio Teamを始動するときに「この人なら最高の仕事ができるはずだ」と思う方に1人ずつお会いし、仲間になっていただきました。

景や想いを伝えず、制作したい対象の用件だけを伝えると、技術的な面だけでつながる関係になってしまいます。なので、制作していくにあたって日々「既存の情報発信のカタチを変えるような新たな映像体験をつくる」というビジョンと想いを話し続けました。その結果、毎週のオールスタッフミーティングで、所属や業務といった垣根を超えて意見を言い合えるチームができ上がったんです。

番組制作を始めた当初、最初に声をかけ始めたのは、実はテレビ番組の制作とあまり関わりを持たない方々でした。たとえば長くCM制作に携わってこられた方や、オフィスや空間演出を得意とするデザイン会社などといった面々です。

テレビとも今までのオンラインセミナーとも違う、全く別の媒体をつくるには、視聴者が瞬間的に「これ、今までと全然違う! 」と感じる体験が必要です。であれば、映像美やデザインなどのクリエイティブに徹底的にこだわっている方たちと組めば、みんなにとっても新しくて面白い挑戦になりそうだな、と。

そういう人たちをこれまで築いた人脈からひとりずつお声がけしたり、ご紹介いただいたりしながら、徐々に現在のメンバーが結集した感じですね。

吉村:
Studio Teamの番組制作スタイルは、私が求めていたそのものズバリなんです。テレビ局で動画を制作していたときは、「どうやったら動画が良くなるだろう」って突き詰めて考えることが好きでした。新しい環境でも自分が満足できるクオリティまで高める作業がしたいと考えていたとき、ユーザベースに声をかけてもらったんです。お話をしてみたらコンテンツに対する熱量がめっちゃ高くて、「一緒に働きたい」と思ってオファーを受諾しました。

入社前に撮影現場を見学させてもらったんですが、メンバーの熱量が最強だったんですよ。仕事を「ただこなしている人」がひとりもいないというか──外部制作スタッフを含め、「もっと番組をよくしたい」という思いの強い人たちの集まりだったんです。「この人たちと一緒に動画をつくりたい、このチームの一員になりたい」っていう気持ちが、見学したことでもっと強くなりました。

酒居:
こうしたチームづくりができたのは、オフラインでイベントマーケティングをやっていた時代から助けていただいてきた、「共創の輪」から生まれたつながりのおかげです。

ぼくたちは常にWowな体験づくりやユーザードリブンマーケティングといったバリューを掲げ、視聴者やゲスト、一緒につくる制作メンバー、全員で共創することを大切にしてきました。いきなり番組が始まったからチームづくりをしたわけではなく、今まで取り組んできたことを今度は映像体験で実践しようとしている、というのが正しいんじゃないかな。

とはいえ、ほとんどの制作メンバーはたいてい、経済情報にこれまで詳しい知見があるわけではありません。たとえばカーボンニュートラルやスマートシティなど、ぼくたちが取り上げるテーマについても、感覚的につかみづらいところも多いんじゃないかと思います。

だから、制作チームのコアメンバーには「なぜ経済分野で最高の映像体験をつくる意義があるのか」、顔を合わせてしつこく話し合っているんです。

次の映像演出をどうするか? などのテクニック面の話はもちろん必要です。でもそれ以上に大切なのは、自分たちが何を実現しようとしているのか、ひたすら対話し続けることだと思っています。対話の強度を維持する努力をすることで、ただ単に「仕事で付き合っている仲」から、本当に共創する仲間になっていけるんだと思います。

チームで挑戦しているイシュー

Studio Teamが挑戦していることを教えてください。

酒居:
Studio Teamに限らずぼくたちCMDが最も重要視しているのは、人を熱くするコンテンツ体験をいかに「For You思考」でつくっていくかということです。

これまでもイベントや記事でコンテンツを届けていましたが、オフラインマーケティングが難しい状況になってからはオンラインイベントを加速させました。とりわけ、オンライン上でも熱量を感じられる体験を視聴者に届けることや、そこからのコミュニティづくりにはこだわってきたつもりです。

吉村:
SPEEDAトレンド #7 」を放映したときにNewsPicks Stage.のコメント欄が沸いていたのは、動画の感想を直接受け取りにくい環境にいた私にとってすごく印象的でした。「この話題についてはこう思う」とか、視聴者同士が盛り上がっていたんです。自分がつくった動画にリアクションしてくれる人たち同士で議論が発展している場面は、本当に嬉しかったですね。

他にも、インサイドセールスをテーマにした番組「BDR Innovation」を配信したときには、視聴者の方から「案内メールに『映像体験をお楽しみください』と書いてあったのでずいぶん自信満々な印象だったけど、観てみたら本当にびっくりするほど音と画が綺麗で感服した」という声をいただきました。こうした反応を見ると元気が出るし、発見もたくさんあるので一番力になります。

酒居:
さまざまなカタチで試行錯誤を繰り返して実感しているんですが、本当の意味で新しい体験をつくるためには、我々が一方的に何かを伝え続ければいいわけではありません。一緒に番組をつくるような体験を、受け手である視聴者にも実感してもらうことが必要だと思います。

視聴者が「視覚的にも感覚的にも、今までと違う」と肌で感じられ、自ら参加したいと思えるコンテンツをオンライン上で体現したいんです。そうした世界観を経済情報をテーマとした領域で創り出していきたいと思い、番組づくりにチャレンジし続けています。

吉村:
私、実は勇気を振り絞ってテレビ局を辞めたんです。テレビの視聴者は減っているのに、映像制作が強みの私に需要はあるのかな、っていう不安が大きくて……。ユーザベースに入る時も、番組制作に関する自由の幅は狭いのではないかと想像していました。勝手に「経済情報がテーマで、対談形式の番組をずっとつくっていくんだ」って勘違いしていたんですよね(笑)。

だけど、入社してみたら自分のスキルが歓迎されているし、想像以上に自由にやらせてくれるしで、転職して良かったと思うことばかりなんです。ディレクターとして、既存番組の演出を改善するために取り組めることは、とても多いと思いますね。今は新しい番組のカタチを模索していて、日々いろんなことからヒントを得ながら考えたことをノートにメモしています。

最近は自分の好きな番組の構造を分解して、経済番組のフォーマットに当てはめられるか試行錯誤しているんです。たとえばチーム対抗で相手メンバーの苦手な食べ物を予想し合う番組だったら、チーム戦でダウトを探すのが肝となります。「ダウト探し」の要素を経済番組に落とし込んだらどうなるかな? とか。

こういう日々の積み重ねから、将来的には「こんな演出方法があったんだ」「ユーザベースの番組は真似できない」って周囲から思われるレベルの番組をつくれるようになりたいです!

執筆:髙田 綾佳 / 編集:筒井 智子 / デザイン:杉野 亮
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