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一匹狼気質の自分が、チームで働く楽しさを感じるまで(UB Ventures アソシエイト 高野泰樹)

一匹狼気質の自分が、チームで働く楽しさを感じるまで(UB Ventures アソシエイト 高野泰樹)

ユーザベースグループで働くメンバーを紹介する社員紹介インタビュー、第27弾はUB Ventures アソシエイトの高野泰樹です。

高野 泰樹

高野 泰樹TAIJU TAKANO

2019年国際基督教大学教養学部卒業。在学中は宗教学を専攻。香港中文大学美術研究科に留学中に、香港ユーザベースでインタ...

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目次

なぜユーザベースグループに入社しようと思ったんですか?

最初は自分の夢を叶えるためでした。僕は長期インターンを経てUBに新卒入社しました。でも幼い頃からずっと、僕はバレエの興行師になりたいと思っていて。神話が大好きで、自分で物語を書いてみたいと思っていたし、家族が舞台関係の仕事をしているので舞台が好きだった。だから自分はバレエの世界でことを成したいと思ってたんです。

でも自分自身はバレエを習っていたわけじゃないんですよ。じゃあ、どうやってバレエ業界に入ればいいんだろう? って思ったのが大学に入ってから。

自分1人で考えていても仕方ないので、「グローバル×舞台芸術」で一番経験が積めそうなブロードウェイで取り敢えず修行しようと、ブロードウェイのプロデューサーに手紙を書きました。そうしたら、2ヶ月後にアシスタントプロデューサーから丁寧な手紙をいただいたんですよ。「無理です」って(笑)。その後もめげずにメールを送り続けたら、先方が根負けして一度スカイプで話す機会をいただいたんですよ。

その中で、プロデューサーはシナリオを作って終わりではなく、ビジネスを考えなければならない。何のビジネス経験もなく、いきなりこの業界に入ったら、大道具担当にはなれるかもしれないけど、プロデューサーにはなれないだろう。だからまずはビジネススキルを付けなさい、ってアドバイスされました。じゃあ、ビジネスパーソンとして足腰を鍛えられるところで働こうって決めたんです。

当時は香港に留学中で。ビザの関係で働ける場は限られていました。日系企業の長期インターンなら働けることが分かり、「香港 日系企業 」って検索して。1ページ目に出てきた会社の中で、ユーザベースともう1社だけ知らない企業だったんです。知らない会社なら採用に困っているんじゃない? と思って応募しました。今思うと、相当失礼で生意気なやつですよね(笑)。

ビジネススキルを高めたいと思って始めたユーザベース香港オフィスでのインターンでしたが、やればやるほど当初の打算的な目的は薄れて「この人たちと働くの、すっごく楽しいな」って思うようになりました。次第に仕事以外の時間も一緒に過ごすようになって、とにかく楽しかった。

就活のとき、コンサルティング会社の内定もいただいていて、ユーザベースと本気で迷いました。そこで相談に乗ってくれたのが、岩澤さん(岩澤 脩/当時 SPEEDA ASIA担当、現 UB Ventures代表)だったんです。社会人として濃密な時間を過ごすために、どこに身を置くか悩んでいると話したら、「そこはUB Venturesだよ」って言い切ってくれた。

自分のやりたいことがあるなら、まずは失敗の数を増やしたほうがいい。起業してすぐ大企業になれるわけじゃないから、起業家の人たちが日々どんなことに悩んでいて、どんな挑戦をしているのか。それを大量にインプットできる環境がいいんじゃない? って言われて、迷いが吹っ飛びました。すぐ「弟子にしてください!」って入れてもらいました。

僕が採用担当だったら、適当に流して「いいじゃん!」って入社させて、現業に向かわせるために上手く言いくるめようとする。もしくは、まだ入社してもいないのに、出口の相談なんて、こいつ何を言っているんだ? って思う。

でも岩澤さんは本当に真剣に話を聞いてくれたし、親身になってアドバイスしてくれた。それで射抜かれました(笑)。ユーザベースのバリューはもちろん大好きなんだけど、気持ちとしては岩澤さんの丁稚に来た感覚が最初は強かったですね。

現在の仕事内容と、仕事でワクワクしていることを教えてください。

大きく3つの仕事があります。1つはいわゆる投資業務ですね。LP(出資者/Limited Partner)からいただいたお金を使って、新しい社会をつくるような企業を選定し、投資しして育てていく。

2つ目がUB Venturesならではなんですが、コミュニティ運営です。起業家のためのソーシャルクラブ「Thinka(シンカ)」というコミュニティをつくり、ユーザベースが培ってきたナレッジを次世代につないでいく活動をしています。UB Venturesがやりたいのは「いい会社」を見つけるのでは当然として、その先にある次世代の「産業」をつくることなんです。

3つ目はコンテンツ。たくさんの起業家と接している僕らにとっては普通のことも、起業家個人にとって「これはスゴい!」って言われることがあるんですよ。積極的にナレッジを発信して、少しでも起業家のみなさんの力になりたい。そのコンテンツの執筆です。

この3つをチーム全員で行っていて、僕は投資業務がメイン。次がコミュニティ、あとは最近コンテンツの執筆もやり始めました。毎回すごく大変で、締切ギリギリになっちゃうんですけど……。

投資業務のメインは、どんな企業がUB Venturesの投資フィロソフィーに合致しているのか、いろいろな角度から検証することです。経営者とのディスカッションを通じて、事業の成長性や、この会社に投資して一緒に未来をつくる覚悟が僕らにあるのか? などをじっくりと見極めます。

入社して2年経って、投資からクローズ──契約書締結まで、ようやく自分の頭で考えられるようになりました。もともと知的好奇心が強いほうなので、とにかくいろいろな人に会って、いろいろなビジネスプランをシャワーのように浴び続けるのは楽しいんです。

起業家の方々と会うと「このビジネスプラン、すごい!」とか「この人を応援したい!」って思うんですよ。彼らがコトに向かって爆速で進んでいく姿や、人が描いた夢やビジョンにグッとくるんです。毎日ワクワクしながら仕事しています。

そのうえで、岩澤さんや麻生さん(麻生 要一/UB Venturesベンチャー・パートナー 兼 AlphaDrive CEO)梅田さん(梅田 優祐/ユーザベース共同創業者)が何を見ているのか。それを2年間ひたすら蓄積して整理して、自分で考えられる感覚がつかめたのは、本当にここ最近ですね。

仕事で忘れられないエピソードはありますか?

最初に携わった案件ですね。1つひとつのタスクにどれだけ時間がかかるのか、全然わからなかったんですよ。スケジュールが立てられなくて、全てが後手に回ってしまって……。でも仕事の性質上、「投資委員会」というイベントだけは絶対に死守しなければいけないんですね。

初期のスタートアップは、入金が数週間ずれるだけでも倒産しまう可能性があります。だから検討先とスケジュールを確認して、投資委員会までに意思決定をする。それが当たり前ですが、最も重要なんです。

でも最初はそれがわかっていなくて、何を血迷ったのか「このままでは準備が間に合わないので、投資委員会をリスケして欲しいです」って言っちゃったんです。当然怒られますよね。「は? 何を言っているんだよ!」って。

怒られて初めて、自分がやっていることは社内の稟議・決定だけではない、そのスケジュールを守れなかったら、投資を検討している会社がどうなってしまうのか、全然考えられていないことに気づきました。

今思えば、何でそんなことを言ってしまったのか、我ながら信じられません(苦笑)。そのとき岩澤さんに「とにかく自分で決めたことはやり切れ。逃げるな」って言われたことは、今でもよく思い出します。

ファンドって仕事の性質上、細かい仕事の積み重ねが大部分なんですよ。自分のやっていることが何につながっているのか、ちゃんと考えなければいけないんです。人数も少ないし、いちいち監督する人もいないので、手を抜こうと思えば抜けてしまう。

誰のためにやっているのかを本当に意識して仕事をする。これをキャリアの早い段階で叩き込まれたのは、いい体験だったのかなと思います。

The 7 Valuesの中で、一番好きなバリューは何ですか?

異能は才能」です。今までも楽しかったけど、最近UB Venturesのチームで働くことがどんどん楽しくなってきたんですよ。インターンや僕と同世代のメンバーも増える中で、自分の考え方も変わってきました。

今までは「自分1人」って意識がとにかく強くて。集団で何かをした経験があまりないんですよ。中高は剣道、幼い頃からやっていたのは空手と、基本的にチームプレイではなく1人でやるスポーツ経験しかなかったんです。

仕事でも、どちらかと言えば人が増えるのは「面倒だな」って思っていました。1人でやれば1時間で終わるのに、教えながらだと2時間かかっちゃう、みたいな。そもそも他のメンバーにどう教えればいいのか? とか、伝え方によって相手のモチベーションが変わるなんて、考えるキッカケすらなくて。

でもチームで働くことで、自分では思いつかないアイデアや、見えていない景色がたくさん出てきたんですよ。良い意味で、自分が知っているUB Venturesではなくなってきたというか、できることがどんどん膨らみながら進んでいる感覚です。

以前は人数も限られていたので、担当している仕事は実質1人でやってきたんですよ。僕の場合は投資実務。とにかく来たボールを打ち返すことに毎日必死でした。でもそこに1人加わるだけで、できることが一気に増えた。チームってすごいなって実感します。

仲間の存在って、すごく大きいんですね。彼らをエンゲージメントしつつ、お互いに補いながら進んでいくことで、自分が全く想像しなかったところにたどり着ける。みんなが本気でVCや投資先のことを、本当にピュアに考えているんです。そういう人たちが周りにいるだけで、すごく楽しいですね。

異能は才能

今後挑戦したいことは?

2つあって、1つは自分が2年間蓄積してきたことを、他のメンバーに最大限伝えていくこと。

もう1つは、2年間で培ったことをメンバーだけでなく投資先にも還元していくことです。今までは自分のスキルにフォーカスし、すごく成長できた感覚はありますが、投資先に自分が付加価値を出しているかと言われると、まだ自信を持って言えるエッジがないと感じていて。

自分もUB Venturesもさらに成長していくには、どうすれば自分の得たものを投資先に還元していけるか? という視点で挑戦していかなければダメだなと思うんです。僕にはどんな強みがあるのか──なぜ岩澤ではなく高野なのか? その答えのカケラを見つけて、尖らせていきたいと考えています。

本記事にはすでに退職したメンバーも含まれております(組織名・役職は当時)

執筆:筒井 智子
Uzabase Connect