ユーザベースの現在地がわかるコーポレートマガジン
HR主導じゃない、ボトムアップの感謝カルチャー。働きがいのある会社スリランカNo.1企業の強さの源泉

HR主導じゃない、ボトムアップの感謝カルチャー。働きがいのある会社スリランカNo.1企業の強さの源泉

ユーザベーススリランカ(以下「UBSL」)は、Great Place to Work®️が発表する「働きがいのある会社」ランキングの小規模企業部門で、スリランカ国内第1位に輝きました。そのカルチャーは、ユーザベースの中でも特に「温かい」と言われています。

以前、THM(Town Hall Meeting/全社ミーティング)でUBSLのメンバーが国際女性デーの取り組みについて発表した際、東京オフィスのメンバーたちはそのユニークで心温まる文化に感銘を受けました。今回は、そのカルチャーの源泉を探るべく、リーダーとしてチームを牽引するDiliniとKanchanaにインタビューしました。2人の言葉から、多様性を尊重し、誰もが自分らしく輝ける職場づくりのヒントを探ります。

Nirupamala Kanchana

Nirupamala Kanchana全社横断アセット本部 Global Assetsチーム アソシエイトディレクター

2016年ユーザベースに入社。理学士号とMBAを保有し、ASEAN市場に関する質の高い産業分析と市場インテリジェンスの提供が専門。

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Gunawardane Dilini

Gunawardane Dilini全社横断アセット本部 Global Assetsチーム ディレクター

リサーチ分野で16年以上の経験を持ち、2021年ユーザベースに入社。ASEAN市場に特化した質の高い業界・トレンド分析および市場インテリジェンスを提供。財務学士、経営学修士(...

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目次

「助けが必要そうだな、と察した瞬間に手を差し伸べる」──UBSLの温かいカルチャーの源泉

まず、UBSLのカルチャーについて、2人がどのように感じているか教えてください。私から見ると、とても温かいカルチャーがあるように感じます。

Dilini:
UBSLのカルチャーは、心からお互いを支え合おうとする姿勢に根ざした、非常に協働的なものです。私たちは常に、オープンであること、そして互いを尊重することを大切にしています。

多様なバックグラウンドを持つメンバーが集まっているので、時には相手の考えをすぐに理解できないこともあります。それでも、私たちは必ず支え合います。誰かが助けを求めるのを待つのではなく、「少し遅れているかも」「何かサポートが必要そうだな」と察した瞬間に、自然と手を差し伸べるんです。

何かを達成したときも、それを個人の成果とは捉えません。常にチームの成果だと考えています。どんなに小さな貢献であっても、それが大きな成果につながっていることを理解し、きちんと称えることを大切にしています。

Kanchana:
私たちが温かいと感じるのは、仕事仲間である以前に、お互いが「人間」であることを大切にしているからだと思います。ミーティングが始まっても、すぐに仕事の話をするのではなく、「最近どう?」「元気?」といった会話から入るのが普通です。そうした日々のやり取りが、温かさにつながっているのだと感じます。

Diliniが言ったように、小さな成功をみんなで祝い、誰かが苦しんでいるときにはそれに気づいてサポートする。こうした小さなジェスチャーの積み重ねが、私たちのカルチャーの核になっているんです。それは、人間的なつながりそのものです。

インタビュー風景
今話してくれたようなカルチャーは、スリランカでは一般的なのでしょうか? それともUBSLが特別なんだと思いますか?

Dilini:
UBSLに特有のものだと思います。私自身、以前は他の会社で働いていましたが、ユーザベースに入社してすぐに、その違いを実感しました。ユーザベースは、ただマーケティング目的でバリューを掲げている会社ではありません。社員1人ひとりが、そのバリューを本当に実践し、体現しているんです。カルチャーがシステムに深く根付いていると感じますね。

Kanchana:
私たちは皆、The 7 Valuesによって結びついています。それが、スリランカの他の企業と私たちを大きく隔てる点だと思います。UBSLは若く、女性が中心となって活躍している組織です。私たちは柔軟な働き方や継続的な学び、そして若者をサポートしています。仕事だけではなく、常に人間的な交流がある。だからこそ、一般的には階層的なスリランカの企業の中で、UBSLは非常にユニークな存在なのだと思います。

HR主導じゃない、ボトムアップで生まれた感謝の文化

国際女性デーや国際男性デーに、手紙やお花を贈り合う文化がとても素敵だと感じました。この取り組みは、どのようにして始まったんですか?

Dilini:
興味深いことに、完全にボトムアップで始まったんです。人事部門やリーダーが指示したわけではなく、メンバーの中から「やろうよ」という声が上がりました。世界中で女性や男性が祝われているのに、なぜオフィスで私たち自身を祝わないのだろう、と。

特に、私たちの職場では多くの女性が活躍していますが、たとえば産休や育休を取得する際、その業務をカバーしてくれるのは男性メンバーが多い。彼らのサポートがあるからこそ、私たち働く母親も安心して子育てができます。

もちろん男性メンバーの立場からすれば、女性メンバーもさまざまな形でサポートしてくれていると感じる場面もあると思いますが、この場を借りて、改めて感謝の気持ちを伝えたいですね。

また、何かをお祝いする際には、1人ひとりに合わせたメッセージやギフトを用意します。単に「ありがとう!」というような形式的な言葉ではなく、「あのとき本当にありがとう」「あなたのこういうところが素敵です」といった、その人の心に届く言葉を考えるんです。

男性メンバーも、私たちが花やチョコレートを喜ぶことをよく知っています(笑)。ほんの小さな心遣いかもしれませんが、本当に思いやりのある、温かなカルチャーが表れていると感じています。

1人ひとりに合わせたメッセージを贈るためには、お互いを深く知っている必要がありますよね。それはどう実現しているんですか?

Kanchana:
私たちの組織はフラットなので、誰もが話しやすい雰囲気があります。先ほども言ったように、仕事以外のパーソナルな話をするのが日常なので、相手が何を大切にしているのか、最近どんな様子なのかが自然と分かってくるんですよ。だから、特別なメッセージを考えるのに苦労するというよりは、ごく自然に言葉が出てきます。

Kanchana

Dilini:
チームを越えた交流が活発なことも大きいですね。会社として、チーム間のコラボレーションを促進するための予算も確保されています。オフサイトミーティングや社員旅行、クラブ活動などを通じて、自分のチーム以外のメンバーと知り合う機会がたくさんあります。最近では、チームを横断した知識共有のセッションも始めました。こうした取り組みを通じて、私たちはサイロ化することなく、お互いを知り、つながりを深めているんです。

その素晴らしい文化が、義務感ではなく自然なものとして根付いたのはなぜだと思いますか? 特にパンデミックで、皆がリモートワークになったときも続けられた理由は何だったのでしょうか。

Kanchana:
パンデミックの時期は、物理的に離れ、精神的にもストレスを感じていたからこそ、この取り組みはさらに重要になりました。パーソナライズされたメッセージや花を贈るという小さな行動は、「あなたは今も私たちの大切な一員だよ」「私たちはつながっているよ」という強力なメッセージになったんです。物理的に離れていても、感情的なつながりを保ちたい。その思いで、私たちはこの取り組みを続けました。

Dilini:
物理的な距離があるからこそ、こうした取り組みは続けるべきだと強く感じました。私たちをつないでいるのは、オフィスにいるかどうかではなく、カルチャーそのものですから。小さなギフトやメッセージがもたらす笑顔には、本当に大きな力があると信じています。

もちろん、当時は物流に制限もあり、プレゼントを届けるのに苦労しました。それでも、その労力をかける価値は十分にあると、私たちは信じていたんです。

フラットさは共通、違うのはスピード感と感情表現

2人は日本のオフィスにも何度か来ていますが、UBSLと日本のオフィスのカルチャーに共通点や違いを感じることはありますか?

Dilini:
私たちに共通しているのは、とてもフラットなカルチャーです。厳格な上下関係はなく、誰もが自由に発言することが奨励されています。これは、上司に「Sir」や「Madam」と付けなければならないような、一般的なスリランカの企業文化とは全く異なりますね。

違いを挙げるとすれば、UBSLはチャレンジに対してすごく積極的です。私たちは新しいことに挑戦することが好きだし、スピーディに物事を進めようとします。たとえ失敗しても、それを素晴らしい学びの機会だと捉えるマインドセットがあるんです。

一方で、日本オフィスは、よりリスクを慎重に捉える傾向があるように感じます。行動に移す前にあらゆる要素を丁寧に計算するため、ときにはチャンスを逃してしまうこともあるかもしれません。

対談風景

Kanchana:
共通点としては、柔軟な働き方と、ポジティブな職場環境を創り出そうという強い意志を感じます。これは両方のオフィスに共通するリーダーシップの目的だと思います。

違いは、感情表現の仕方かもしれません。スリランカでは、感謝の気持ちや感じていることをもっとオープンに表現します。メンバーの貢献に対して、言葉に出して称賛することが当たり前です。日本では、細部へのこだわりや正確さが重視される一方で、感情をストレートに表現することは少し控えめなのかな、と感じることがあります。

「女性としてのキャパシティは、自分が思うよりずっと大きい」──4人の子を持つDiliniのキャリア論

Diliniさんは4人のお子さんを育てながら、リーダーとして活躍されています。その中で大切にしてきたことや、自身のキャリアを通じてお子さんたちに伝えたいことは何ですか?

Dilini:
シングルペアレントとして4人の子どもを育てながらリーダーを務める中で、私が学んだのは「レジリエンス(回復力)」と「物事を整理する力」の重要性です。そして、目の前のことに集中すること。これは仕事でも家庭でも、自分自身の心の平穏を保つためにとても役立っています。

人生は思い通りにはいきません。その現実を受け入れ、状況に柔軟に対応していくことが、より良い結果につながるのだと信じています。

私は夫を亡くしているのですが、その経験は、ひとりの女性がどれほどのキャパシティを持っているかを教えてくれました。それは、自分が可能だと思っている限界をはるかに超えるものです。私はまず自分自身のウェルビーイングを、次に家族とチームメンバーのウェルビーイングを優先します。そして、どんな挑戦も学びと成長の機会だと捉えるようにしています。

子どもたちには、強さ、忍耐、そして優しさは共存できるのだと知ってほしいですね。人生の挫折がその人を定義するのではなく、そこからどう立ち上がるかがその人を形作るのだと伝えたい。自分自身を信じ、勇気を持って夢を追いかけてほしいと願っています。

Dilini

「自分の成長か、チームの成長か」──Kanchanaが見つけたバランス

Kanchanaさんはマネージャーとして4年間チームを率いてこられました。これまでの最大のチャレンジと、そこから得た学びについて教えてください。

Kanchana:
最大のチャレンジのひとつは、自分自身の成長とチームの成長のバランスをどう取るか、ということでした。自分もプロフェッショナルとして成長したいと思う一方で、チームメンバー1人ひとりのキャリア成長も導かなければなりません。

このチャレンジを通じて学んだのは、「すべてを自分でやる必要はない」ということ。私には信頼できるチームがいますから。リーダーとしてメンバーに頼ること、そして1人ひとりの強みと弱みを理解し、彼らが最高のパフォーマンスを発揮できるようサポートすることが重要だと気づいたんです。

もうひとつのチャレンジは、変化の激しい時期にチームを導くことです。私たちは日本や中国など、複数の国のチームと協働しています。文化やコミュニケーションスタイルが異なるため、相手の話により注意深く耳を傾け、共感をもって相手を理解しようと努める必要があります。これは大変なことですが、同時に私たちをよりグローバルでアジャイルなチームへと成長させてくれる機会にもなっています。

Kanchana

私たちの視点が、組織を変えていく

最後に、グローバルな舞台でリーダーを目指している女性たちへメッセージをお願いします。

Kanchana:
女性であるということが、あなたの可能性を縛るものであってはなりません。空に限界がないように、私たちの可能性にも限界はありません。リーダーシップの場に女性が増えれば、組織にはより多くの共感、柔軟性、そして多様性がもたらされます。私は、男女が平等な機会を得て、共に意思決定に貢献できる職場が見たいのです。

Dilini:
そして、あなた自身のユニークな視点を、決して過小評価しないでください。声を上げること、自分の意見をオープンに表現することを恐れないでほしい。歴史的に、女性は一歩引くことを求められてきました。しかし、そのユニークな視点こそが、組織に新しいアイデアをもたらし、よりインクルーシブで力強いものへと変えていくのです。私たちは、もっと大きな意思決定のプロセスに、女性が参加することを奨励し続けるべきです。

Dilini & Kanchana

編集後記

2人の言葉からは、UBSLの強さの源泉が、単なる制度やルールではなく、1人ひとりのメンバーが育む日々の人間的なつながりの深さにあることが伝わってきました!

私は英語が話せないため、英語が話せるメンバーに逐次通訳をしてもらいながらインタビューしたんですが、2人とも本当に温かい雰囲気で、真摯にインタビューに応えてくれました。いつかスリランカオフィスにも取材に行きたいなと改めて思いました。

撮影:落合直哉 /編集:筒井 智子
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