30人から150人へ。コロナ禍で加速した成長の裏側
はい、その通りです。スリランカオフィスは2016年にMifnaz(Jawahar Mifnaz/現 専門役員 データフィード責任者(北米・欧州))が立ち上げました。彼女がシンガポールや中国など他の海外拠点も見るようになり、管掌範囲が拡大したため、2018年に私が入社し、スリランカオフィスのオペレーションを引き継ぐことになったんです。
私はとても前向きで楽観的な人間なので、何事もポジティブに捉えるようにしています。その視点から言うと、2025年はUzabase Sri Lankaにとって「機会(Opportunity)」の年でした。
ただ、私たちの成長は昨年に始まったことではありません。毎年10人、20人というペースで着実にメンバーが増え続けてきた、地道な旅路の結果なんです。
ええ。私が30人のメンバーと共に入社した2018年当時は、主にSpeeda事業をサポートしていました。そして最大の転機が訪れたのが2020年です。この年の初めに、全く新しいプロダクトである「SPEEDA Edge」のプロジェクトが始まりました。
この「SPEEDA Edge」は、セールスやマーケティングなど一部のメンバーが米国にいるだけで、開発の大部分をスリランカが担っていました。私は創設メンバーのひとりとして、このプロセスに関わってきたのですが、本当に多くの出来事があり、たくさんの学びがありました。何より、とても楽しい時間でしたね。このプロジェクトをきっかけに、私たちの組織は40人から3年で100人以上へと急拡大したのです。

まさしく、その通りです。今でもはっきりと覚えていますよ。「SPEEDA Edge」の当時の責任者だったメンバーが、プロジェクトのキックオフのためにスリランカを訪れる予定でした。それが、2020年3月8日のことでした。まさにその日に、スリランカはパンデミックを理由に国境を閉鎖したのです。
もちろん、通常よりも困難な状況ではありました。でも、会社として私たちは非常に迅速に対応できたと思います。ユーザベースは、パンデミック以前からメンバー全員がノートパソコンで仕事をする文化がありました。これは当時のスリランカ企業では珍しいことなんですよ。
ええ。なので、「明日から在宅勤務にしてください」という移行が、とてもスムーズにできました。他社で聞かれたような生産性の低下やエンゲージメントの低下といった問題は、ほとんどなかったと思います。
日本のコーポレート部門のサポートも非常に心強かったです。在宅勤務環境を整えるための家具購入手当が全員に支給されたのですが、このことは今でも多くのメンバーが感謝と共に覚えています。
結果として、私たちはパンデミックの2年間でリモートワークのやり方を完全に習得しました。完全なロックダウンも、部分的なロックダウンもありましたが、私たちは成長を止めるどころか、むしろ勢いを増していったんです。面白いことに、現在の私たちの働き方は、コロナ禍のそれとほとんど変わりません。オフィスには常に10人程度のメンバーしかいませんが、仕事はきちんと進んでいきますから。
リーダーの原則は“社員がど真ん中にいる会社”であること
私がスリランカのメンバー全員に常々伝えているのは、「この会社で一番大切なのは社員である」ということです。NewJoiner(新入社員)には入社初日に執行役員 Speeda コンテンツ統括(グローバル)Thilan Sampathと話しています。
米国、スリランカ、インドなど、一般的な職場の文化では、株主が優先され、社員は「指示されたことをする存在」と見なされがちです。でもユーザベースは違う。創業者たちから受け継がれてきたのは、チームワークを重んじ、何よりも各メンバーがもたらす価値とスキルを大切にする文化なんです。
だから、私はリーダーとして「ユーザベースで働くことに幸せを感じる限り、ここにいてほしい」とメンバーに伝え続けています。もちろん、報酬面では市場平均を上回る水準を維持し、非常に競争力のある条件を提示しています。
このような考え方と環境が合わさることで、多くの人が「ここで働きたい」と思ってくれるようになるはず。私たちは、そういう雰囲気をつくり上げてきました。何よりも誇らしいのは、最近「Great Place to Work®️」のアワードでスリランカの小規模企業部門で1位を獲得したことです。これは、すべてのメンバーが幸せを感じていることの何よりの証だと考えています。

仕事以外のつながりを大切にしています。特にリモートワークが主流になった今、意識的にそうした機会を設けることが重要だと考えています。
たとえば、月に一度はオフィスでゲーム大会や映画鑑賞会などの集まりを開いています。ハロウィンやスリランカの新年、クリスマスといった季節のイベントも欠かせません。社員旅行や、One Uzabase Party(年に一度の全社パーティー)も開催しています。
さらに嬉しいことに、こうしたつながりは会社主導のものだけではありません。社員が自発的にイニシアチブをとって、たくさんの部活動が生まれているんです。
ダンスクラブ、ブッククラブ、アニメクラブ、ハイキングやフットサルをするアウトドアクラブ、ボードゲームクラブなど、本当にさまざまです。興味を持ったメンバーがボトムアップで仲間を集め、活動を楽しんでいます。まだ組織が小さいからこそ、誰もが顔見知りで、こうした活動を通じてさらに深いつながりが生まれる。仕事上の関係だけでなく、ひとりの人間として互いを知ることが、結果的に仕事にも良い影響を与えていると感じていますね。
AIシフトという変化の波を、乗りこなす
間違いなく、仕事のやり方は変わりつつあります。でも私たちはこの変化の波に乗り遅れるどころか、むしろ先頭を走っていると自負しています。
なぜなら、「SPEEDA Edge」は最先端のイノベーションをリサーチするプラットフォームだからです。私たちは、世間が騒ぎ出す前から、この変化が来ることを知っていました。たとえば、「SPEEDA Edge」には、ChatGPTが公開される3ヵ月前の2022年6月には、すでにLLM(大規模言語モデル)に関するレポートが掲載されていたんですよ。
ですから、私たちは変化の波に飲まれるのではなく、波を乗りこなす準備ができていました。信じられないかもしれませんが、今やアナリストチームの仕事の半分以上は、すでにAIを活用して行われています。

これは生き残るために必要なことですから。つい先ほどのミーティングでも報告したんですが、これまで最も時間のかかっていたレポートの更新作業が、AIの活用によって40%も高速化されました。つまり、40%ものキャパシティが新たに生まれたわけです。私は経営陣に「この空いた時間で、他に何ができますか?」と提案してきたところです。
ワクワクが止まらない。グローバル戦略の中心という新たな挑戦
2025年に入社したErik(Erik Abbott/執行役員 グローバル事業担当)が、これまで培ってきたリソースを活用するデータフィード事業を推進してくれており、とてもワクワクしています。より大きく言うと、ユーザベースグループ全体の「グローバル戦略」そのものに、今、最もワクワクしていますね。これが先ほど2025年を「機会」の年と呼ぶ理由です。
昨年その戦略が明確に描かれ、実現するためのリーダーたちも揃いました。Erikや、稲垣さん(稲垣 裕介/ユーザベース代表取締役)といったリーダーたちが、口を揃えてこう言うんです。「グローバルの話をするなら、それはスリランカでなければならない」と。

そうですね、プレッシャーも感じますが、それ以上に期待感の方が大きいです。たとえば、ユーザベースには「アジアNo.1の経済情報プラットフォームになる」というビジョンがあります。日本でNo.1に近いポジションを築いた今、これから3年かけてアジア全域にそのポジションを広げていこうとしています。アジアでビジネスをするためには英語コンテンツが不可欠です。そして、それを担うのが私たちのスリランカ拠点の役割なんです。
データフィード事業も同様です。2ヵ月前に、世界的な金融データベンダーとの間で最初の契約が締結され、私のチームが直接コミュニケーションを取っています。幸い、私は前職でグローバルな投資銀行と仕事をしてきた経験があるので、彼らが何を求めているのかを深く理解しています。先方からも「他のデータサプライヤーとは全く違う。ユーザベースとの仕事は非常に満足度が高い」というフィードバックをいただいており、最高のスタートを切ることができました。
変化を恐れず、楽しむ。それが未来を拓くマインドセット
答えはシンプルです。「変化に対してオープンであること」。これに尽きます。
これからどんな変化が起こるかを正確に予測することはできませんが、変化が起こることだけは確実です。その変化を恐れるのではなく、ポジティブな挑戦として捉え「やってやろう!」と前に進むマインドセットが何より重要になります。
幸い、スリランカのメンバーは、新しいことに対して非常にポジティブです。何か新しいチャレンジが目の前に現れると「ぜひやりたい!」と手を挙げる人がほとんどです。
はい。ただ、リーダーの責任として、なぜ変化が必要なのか、その変化がメンバー1人ひとりにとってどのようなメリットをもたらすのかを、丁寧に説明することも欠かせません。
たとえばAIの導入についても、「これを使えば、君たちの仕事はもっと速く、もっと面白くなる。単純作業に使っていた時間を、より創造的な仕事に使えるようになるんだ」と伝える。そうすれば、誰もがポジティブに変化を受け入れてくれるはずです。

リーダーとは、「誰とでも仕事ができる」存在
「誰とでも仕事ができること」ですね。
多様なメンバーがいるからこそ、私自身も日々挑戦しながら、彼ら1人ひとりの強みを最大限に引き出すことを意識しています。スリランカオフィスでは、ある程度それが実現できていると感じています。
もちろん、150人全員を私が直接マネジメントしているわけではありません。私のもとには4つのチームがあり、それぞれにリーダーがいます。私の最も重要なミッションは、その4人のリーダーたちが幸せで、自分たちのキャリアパスを明確に描けるようにサポートすることです。彼らが幸せな働き方を実現できれば、そのエネルギーは必ず彼らのチームメンバーにも伝播していく。そうすれば、結果的に組織全体がハッピーになる、というわけです。
そして、リーダー以外のメンバーたちとも、仕事以外の場で積極的につながるようにしています。ブッククラブにも、ダンスクラブにも、できる限り全ての部活動に顔を出していますよ。彼らを知ることも、私の仕事の一部ですからね!

編集後記
Thilanとは今回のインタビューが初対面で、少し緊張していたのですが、とにかく明るくポジティブなエネルギーが伝わってきて、とても楽しい時間になりました。スリランカオフィスは「Great Place to Work®」の小規模職場カテゴリー(スリランカ国内)で2025年に1位を獲得しましたが、2023年には4位、2024年は2位と徐々に順位を上げてきての1位獲得でした。女性管理職の割合はスリランカ国内平均を上回っているとのこと。いつか私もスリランカオフィスに取材に行きたいな〜と改めて思いました!








