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自分より経験豊富なメンバーをどうマネジメントする? 「私には私の強みがある」と気づくまで

2026/01/27

自分より経験豊富なメンバーをどうマネジメントする? 「私には私の強みがある」と気づくまで

ユーザベースの多様なリーダーに光を当てる企画、「Diversity Empowermentシリーズ」、今回インタビューに応じてくれたのは、営業本部 Business Creation Teamリーダーの潘致捷。彼女のリーダーとしての軌跡、仕事と人生の哲学、そしてDEIBへの想いを紐解いていきます。

潘 致捷

潘 致捷PAN ZHIJIE営業本部 ゼネラルマネージャー

新卒で大手人材会社に入社し、求人広告の営業を経て、複数の新規立ち上げフェーズのサービスで営業企画を経験。その後、ユーザベースのFORCAS事業(現スピーダ 顧客企業分析)に参...

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目次

「こんな私にピープルマネジメントってできるの?」リーダー就任時の不安と、組織化へのワクワク

さっそくですが、潘さんがリーダーに就任されたのはいつ頃で、当時どう思いましたか?

2025年の1月からです。打診されたのは2024年の11月か12月ぐらいですね。どう思ったかについては、ふたつあって。まず、めっちゃ不安でした。

BDR(Business Development Representative)ってずっと私ひとりだったんですよ。前職でも立ち上げの部署にいる期間が長く、チームメンバーがいる環境で働いたことがなかったんです。マネジメントを本格的にされたことも、したこともない。そんな人間だったので、「リーダー=ピープルマネジメント」というイメージが強く、「こんな私にピープルマネジメントってできるの?」というのがすごく不安でした。

でも、もうひとつの気持ちとして、不安と共にワクワクもしたんです。やりたい! と思いました。というのも、BDRとしてなかなか成果につながらず苦戦した時期もあったんですが、ちょうどリーダーを打診されたタイミングで、2024年にこの組織に来て、「自分がやってきたことが確実に組織貢献できる」という確信が持てたんです。

だから、この仕事をひとりで終わらせずに、組織化して加速させていきたいという思いも正直ありました。当時ISメンバーと連携しながらBDRをやっていたんですが、BDRメンバーが顧客のことや社内の営業状況をきちんと理解していないと、戦略的なターゲティングができなくなると感じていました。だからこそ、BDRを専門組織として立ち上げて、シニアメンバーが入ってくれたら一気に進むイメージが湧いて、正直すごくワクワクしていたんです。

自分の経験や成功イメージをどう組織に貢献させるか? というワクワクとWillはありつつ、未経験のピープルマネジメントという役割には不安もあった、というのが当時の気持ちです。

リーダーに就任されて約1年が経ちますが、振り返ってみていかがですか?

就任前と同じなんですが、すごく楽しいと思う一方で、不安がずっと伴っているな、というのが正直なところです。

楽しいと感じるのは、事業への貢献の幅がすごく広がっていると実感できる部分。売上や受注という目に見える形で、ある程度は貢献できているのかなと思っています。

あとはメンバーの存在も大きいですね。特に印象深いメンバーがいます。そのメンバーは別の組織でずっとISとして地に足つけて頑張っていて、私のチームに異動してきてくれたんです。私のチームに異動してからは、まさに彼女の才能が花開いた、という感覚ですね。

これまで培ってきたISとしての基礎力や顧客理解を土台に、外部パートナーとの交渉や、さまざまな施策の企画まわりまで担当してくれていて、役割の幅が大きく広がりました。今でも毎四半期ごとに進化し続けています。

営業本部 潘致捷
不安というのは?

不安は2段階くらいありました。最初の不安は、チームが立ち上がったタイミングです。BDRは外部パートナーとの交渉や連携が多く、一定の経験や判断力が求められる領域だと感じていました。

当時の私はピープルマネジメントにも自信がなかったため、できれば経験豊富なメンバーに入ってもらいたいと思い、シニアメンバーのアサインをお願いしました。それでアサインされた2人が、私よりもリーダー経験があり、かつ特定の領域において私よりも優れた実績を残しているメンバーだったんです。

私、すごく負けず嫌いなんですよ(笑)。全部自分ができていないとダメ、みたいなところがあったので、「自分にはまだできていないことが多い中で、彼らをこのチームに迎えていいのだろうか」という迷いがありました。BDRというフィールドが、彼らの成長や幸せにつながる場所になり得るのか、その責任の重さを強く感じていたんだと思います。

その迷いや不安はどう乗り越えたんですか?

途中から、「必ずしも私ひとりで全部できる必要はない。私にも強みがあって、みんなにもそれぞれ強みがある。だからこそ、お互いの強みを持ち寄り補い合って、強いチームになれればいいじゃん」という考えに変わりました。これが1回目の不安の解消ですね。

できないことを認める。成功体験が支える、自分との向き合い方

そうした考えに切り替わったのは、何かキッカケがあったんですか?

チーム立ち上げ当初は本当に手探りで、地に足がついていないような不安な感覚が、4ヵ月ほど続いていました。先ほども話した通り、私は負けず嫌いな性格なので、つい人と自分を比べて「何が足りないか」「どこが勝っているか」を考えてしまうタイプなんです。

そんな中で、あるシニアメンバーとしっかり向き合って話す機会がありました。その対話を通して「ここは彼が得意で、ここは自分が得意」と、少しずつ整理できるようになったんです。

最初は、できていない部分をどう埋めるかばかりに意識が向いていました。でも彼が私の得意な領域について積極的に質問してくれたことで、「自分の強みを伸ばすこと自体が、チームの価値になるんだ」と気づくことができました。

この経験から、組織は“誰かひとりがすべてを担う”ことで強くなるのではなく、それぞれが自分の強みを持ち寄り、補い合うことで、結果として組織力が最大化されるのだと実感しています。

それまでは、何でもひとりで抱え込んでしまいがちでしたが、今は自分のできないことを素直に認め、人に頼り、力を借りながら進むことが、より良い成果につながると感じています。

メンバーとの対話の中で、自分の立ち位置や強みを再確認できたんですね。

そのうえで、「自分と和解する」ことができた感覚です。これは私にとっていくつかのターニングポイントで経験してきたことなんです。たとえば、ユーザベースに入社した当初、日本語が完璧じゃない自分に悩んだ時期がありました。あるいは、ワンオペで子育てをしながら限られた時間で成果を出さなければいけない、という状況もありました。

そういうときにいつも、「自分は何が強みで、何ができて、逆に何ができなくて諦めるしかないのか」を考えてきたんです。その「諦め」を経験するたびに、うまくいってきた。今回も、ちゃんと自分のできないことを「諦め」ないといけないな、と。そういう心の変化でしたね。地に足がついた、という感覚です。

なるほど。では、2回目の不安というのは?

今、まさに感じている不安です。2025年10月から、これまでBDR組織だったチームにISのメンバーも加わって、全チャネルを扱う「Business Creation Team」という新しいチームになりました。それに伴い、チームの役割が変わって。

新チームで目指したい姿は、メンバー1人ひとりがアカウントを担当し、顧客の状況に応じて最適なチャネルを自ら判断し、アプローチできる状態です。社内リードでのアプローチが難しければBDRの手法を選択するなど、手段に縛られず、一連のプロセスを1人で完結できるプロフェッショナル集団を目指しているんです。

一方で、私自身のこれまでの経験はBDRが中心で、IS業務の解像度があまり高くない。そんな中で、この新しい組織をちゃんと立ち上げられるのかが、すごく不安です。

お話を聞いていると、潘さんは常に「こうすればもっと良くなる」という未来を描いて、それにチャレンジする際にセットでついてくるリスクに不安を感じている、という印象です。まさに開拓者ですね。

そう言ってもらえると嬉しいです! まずはこの新しいチームで成果を出したいなと思っています。

営業本部 潘致捷
メンバーと対話する上で、他に意識していることはありますか?

ふたつありますね。ひとつは、私、ついつい自分から話しちゃう性格なので、そこを意識して抑制しています。私が先に話してしまうと、相手がもっと良いアイデアを持っていたとしても言いにくくなってしまうかな、と。

ただ、これも人によりますね。メンバーの中には、戦略的に全体を設計するのは得意ではないけれど、戦術を具体的に示してあげるとものすごいパワーを発揮してくれる人もいる。そういう場合は、私がある程度設計してパスします。一方で、自分の考えをしっかり持っている人には、どんどん話してもらった方が成果の最大化につながる。人によって対応を変えています。

もうひとつは、等身大であること。「いや、私これできないんだよね」と素直に伝えることです。そうすると意外と自分が楽になるし、相手も「じゃあ、私がやりますよ」と言ってくれる。この経験を何度かして、これは自分にとってすごく大事なことだなと感じています。

1on1などでは、どんなお話を?

正直、仕事の話がほとんどですね。以前、1on1はその人のキャリアや中長期的な成長について話す時間だと教わったんですが、それには心理的安全性が必要だなと思って。私は雑談が苦手で(笑)。結局、仕事の話をした方がお互い気楽だな、と。もっとフラットな話は、飲みに行ったときとかにしています。

対話、という点で何か印象的だったエピソードはありますか?

とあるシニアメンバーと、お互いすごい違和感を持っていた事柄があって、2人で2〜3時間くらい、ずっと話し合ったんです。私が持っている景色と、相手が持っている景色を、ひたすらすり合わせていく。そうやって話すうちに、「あ、なるほどな」とお互いの考えが分かってきた。

ユーザベースではよく「景色を揃える」という言葉を耳にするんですが、こうやって対話して、お互いの景色を揃えるんだ、ということが感覚として具体で理解できました。

これは、彼をピープルマネジメントするというより、お互い事業に向き合いたいという気持ちは同じなので、そのゴールに向けてどう進むかを隣に座って話しているイメージです。私たちが揃わないと、結局うまくいかないので。

自由を手にするために、責任を果たす

仕事だけでなく、人生においても大事にしていることは何ですか?

「自由と責任」ですね。これはユーザベースのカルチャーというだけでなく、自分の人生においてもすごく大事にしています。

私は人に管理されるのが好きじゃないし、自分がやりたいことをやりたい。でも、仕事である以上、好きなことだけやればいいわけではない。ちゃんと事業成長につなげられるか、組織に貢献できるか、という「責任」がまずあって、そのうえで自分がやりたいことができる。この考え方は、すべてにおいて同じです。

家庭でも、私は自分の時間を大事にしたいし、ひとりで旅行にも行きたい。でも、子どもや家庭に対する責任がある。そこをちゃんと果たした上での自由なのかな、と。

営業本部 潘致捷
その考え方の原点には、何か具体的なエピソードがあるんでしょうか?

前職での経験が大きいです。入社2年目に、やりたい新規事業があって異動させてもらったんですが、その事業を半年後にたたむことになったんです。売上が立たないから、という理由で。すごく悲しくて、「やりたいと思って来たのになんで?」と。

そのとき初めて、会社が、そして自分がやりたいことを成り立たせるためには、売上をつくらないと実現できないんだ、と痛感しました。思いだけではダメで、きちんと成果につなげていくことが、未来をつくる土台になると思っています。だから、まずは責任を果たして、信頼を得る。そうすれば、やりたいことも自由にやれるようになる。その原体験が、ずっと自分の中にありますね。

やりたいことがあるから、そのために責任を果たす、という順番なんですね。

そうですね。常に自由でいたい、やりたいことが先にある。すごく生々しい話をすると、以前、ISの評価クライテリアについて、当時の経営陣に直接話したいことがあったんです。

当時、ISの評価には上限がありました。その発言を聞いたとき、正直すごく悲しかった。でも同時に、当時の私たちにそれ以上の実力があったかというと、そうではなかった。だから、言いたいことはあるけど、言うタイミングは今じゃない、と思ったんです。

じゃあ、いつ言うか。「ちゃんと私はこれぐらいの実力を持っています。そんな私をこのままでいいんですか?」と、胸を張って言えるようになってからだと。そこから1年間ずっと目標達成し続けて、その結果を持って役員との対話の場をつくってもらいました。「自由に言いたいから、責任を果たす」というのは、まさにそういうことです。

ワークとライフは切り離せない。だからこそ大切にしていること

働き方についても聞かせてください。ワークライフバランスについてはどう考えていますか?

私は、ワークとライフは切り離せないものだと思っています。だから大事にしたいのは「自分らしく充実していること」。それができていれば、ワークライフバランスが取れている、ということなのかなと。

チームを立ち上げたばかりの頃は、毎日遅い時間まで残業をしていました。そのときは家族にも子どもにも、「今、ママはこれがめちゃくちゃやりたいから、少しサポートしてほしい」とちゃんと話をしました。逆に、少し落ち着いた後は、子どもを迎えに行った18時以降は絶対にパソコンを開かないと決めたり、土日は子どもと向き合う時間として、仕事のことは考えない・Slackも見ないようにしたり。結局、人それぞれ、タイミングそれぞれなのかなと思います。

子どもって、親の状態をすごく敏感に感じ取るんですよね。だから、一緒に遊んでいても気持ちがそこにないと、結局いい時間にならない。それなら、ちゃんと話して時間を区切った方がいいなと思っています。

うまくいかないとき、潘さんはどうやって乗り越えるんですか?

ひたすら行動します。

私の人生、うまくいっていないときの方が多いんじゃないかと思うくらいで(笑)。ユーザベースに入ってからも、本当にうまくいき始めたなと感じたのは、ここ1〜2年のことです。それまではずっと模索していました。

だから、うまくいかない状況には慣れているというか。いつもイメージしているのは、「今、私はトンネルの中にいる」ということ。でも、トンネルはいつか抜けられる。だから、ひたすら走ればいい。そして、「何のために今これをやっているのか」という目的を、常に自分に問いかけ続けます。

営業本部 潘致捷
その強さはどこから来るのでしょうか?

これまでの経験の積み重ねだと思います。中国の大学に入って、辞めて日本に来たこと。日本語がゼロの状態から学んで、話せるようになったこと。人前で話すのがすごく苦手だったけど、仕事で何度も話すうちに少しずつスムーズになったこと。私は考えるより、まず行動して「結果、こうなった」という経験を積み重ねてきたので、自然とそういう思考になったんだと思います。

やりたいことを実現させるためには、妥協しない。だから走り続けられるし、そのために責任も取る。自分の「こうしたい」「こうありたい」という強い思いが、すべての行動につながっているのかもしれません。

日本人ではない、女性、母。それでも「ひとりの人間」として扱われる会社

ユーザベースのDEIBについて、どう思いますか?

ユーザベースは、DEIBそのものだなと感じています。前職で、留学生を大企業に紹介する仕事をしていたのですが、多くの企業は多様な人材を受け入れたいと言いつつ、結局は自社の文化に「同化」させてしまうケースが多かった。数年後には、みんな同じような人になってしまう、と。

でも、ユーザベースには本当にいろいろな人がいて、対話を通してそれぞれの意見を話し合うカルチャーがある。私自身、日本人ではないし、女性であり、母である、そして社内でも特殊なBDRという仕事をひとりでやってきた、といういろいろな側面でマイノリティだと感じていますが、それでも私という人間の特性を、きちんと尊重してくれていると感じています。

だから、この会社でずっと働きたいし、事業に貢献したい。このありのままのユーザベースでいてほしいから、絶対に売上を達成するぞ、という気持ちにもなります。

潘さん自身にとってのDEIBとは何ですか?

最近の心境の変化もあって、「自分もメンバーも、ありのままを受け入れながら、お互いの強みを活かし合って、目指す方向に一緒にやっていく」ことなのかな、と。

その根底にあるのは「等身大であること」がすごく大事だということです。たとえば、私は日本語が完璧ではないという不安が常にありますが、「それも私です」と最初から伝えてしまう。「もし分からなかったら教えてね」と。そうすると、自分の中のハードルがひとつ下がって、本当に話したいことに集中できる。

この会社は、自分の弱みを出しても叩かれることはないし、「そこが弱みなら、私はここが強みだから補完しよう」と言ってくれる環境がある。だから、自分のありのままを出しやすいんだと思います。

最後に、DEIBに取り組むメリットは何だと思いますか?

「ここは絶対に誰にも負けない」というような、尖った才能を持つ貴重な人材を採用できることだと思います。総合力で見るのではなく、尖っていてもいい。その才能を活かせる環境があることは、すごく大事なことじゃないでしょうか。

DEIBを考える上で、影響を受けた本やコンテンツなどはありますか?

コンテンツにつながるか分からないですけど、うちの子どもとの対話ですね。子どもがよく、「男の子はズボンで、女の子はスカートだよね」みたいなことを言うんです。そのたびに、「別に男の子だからスカートを履いちゃいけないってことはないよ。自分が好きなものを着ればいいし、自分の好きなことをやればいいんだよ」と、ずっと言い続けています。

あなたの心が最も動くものは何なのか、今、楽しいと感じることは何なのかを大切にしてほしい。子どもと向き合う時間が、そういうことを考える時間になっています。

営業本部 潘致捷

編集後記

インタビューしながら、本文にある「ISの評価クライテリアについて、当時の経営陣に直接話したい」というエピソード、当時ぱんちゃん(潘のあだ名)が飲み会で「悲しいけど、今はまだ胸を張って対話しにいけない」というようなことを話していたのを思い出しました。それで実際に結果を出し続け、対話しに行った彼女、めちゃくちゃカッコいいなと思います!

Business Creationという新チームでの挑戦、引き続き楽しみです! そこでの挑戦もまたインタビューしたいなと思いました。

撮影:金子 華子/編集:筒井 智子
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