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もっと技術者が輝けるように──スピーダ R&D分析の個社深耕組織は多様な仲間とカオスを楽しめる場

もっと技術者が輝けるように──スピーダ R&D分析の個社深耕組織は多様な仲間とカオスを楽しめる場

「技術者に、事業創出の力を」をDomainのビジョンに掲げ、経済情報プラットフォーム「スピーダ」の知財・研究開発部門向けのプロダクト「スピーダR&D分析」を提供する、知財・研究開発支援組織。「商談獲得までのヒリヒリもありながら、技術者の事業創造を手助けできる喜びがある」。そう話すのは、個社深耕組織でインサイドセールスチームのリーダーを務める杉本温子です。個社深耕のインサイドセールスのおもしろさや、実現したい組織の姿について、杉本にじっくり話を聞きました。

杉本 温子

杉本 温子ATSUKO SUGIMOTOスピーダ事業 知財・研究開発支援 個社深耕 Account IS Teamリーダー

1993年生まれ、神奈川県育ち。
横浜市立大学国際商学部を卒業後、ダイキン工業株式会社で法人営業を担当。その後、SaaS系地図情報システム会社で営業全般、カスタマーサク...

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目次

技術者を輝かせたくてスピーダ R&D分析へ

はじめに、前職までの経歴を教えてください。

1社目がダイキン工業で空調機器の法人営業です。その後、SaaS系地図情報システム会社に転職し、小売・流通業界の店舗開発部、マーケティング部署の方に向けての法人営業をしていました。
 
当時は今みたいに『THE MODEL(※)』の考え方がなかったので、インサイドセールスからカスタマーサクセスまで何でもやっていましたね。ユーザベースは3社目です。

THE MODEL:SaaS企業に最適化された営業組織モデル。セールスフォース社が実践していた営業手法をもとに、福田康隆氏が体系化したもの。

ユーザベースに転職をしようと思ったのはなぜですか?

キッカケはユーザベースからのスカウトですね。 産休・育休中にそれまでの自分の業務を棚卸ししようと思って、転職サイトに登録していたんです。当時、自分がコンフォートゾーンに入っているなというモヤモヤがあって。
 
その後、産休・育休から復帰したんですが、年収が下がってしまったこともあって「もう少しチャレンジしたいな」という気持ちになっていました。そこにスカウトメールが届いたので、カジュアル面談を受けてみようかなと。

ユーザベースのどんな点に興味を持ったんですか?

「技術者の方に輝いてほしい」「事業創出の力を」という文脈に共感したからですね。
 
私自身は文系なんですが、夫が技術者だったり、理系ですごくエッジのある面白い友だちが身近にいたりするんです。でもそういう人たちって、研究に没頭して終わりになりがちで。一方私は経営管理やマネジメントの勉強をしてきたので、その面でサポートできたらお互いにコミュニケーションがスムーズになって、もっと技術者が輝けるんじゃない? と思っていたんです。
 
それでカジュアル面談を受け、そのまま選考に進んで2023年1月にユーザベースに入社しました。

杉本
前職と比べてどうですか?

 ひと言でいうなら「カオス」ですね(笑)。でもカオスが楽しくて。逆にぬるま湯やコンフォートゾーンに入っているのがイヤなんです。
 
知財・研究開発支援組織(Intellectual Property and R&D Domain/以下「IPRD」)は、竜さん(伊藤 竜一/スピーダ事業 知財・研究開発支援責任者 上級執行役員)とメンバーとの間で信頼関係があるのも大きいですね。私たちは心理的安全性を持ちながらカオスを楽しめている、いいバランスを保っていられます。

大企業グループを深掘りして新規顧客を開拓する個社深耕組織の仕事

杉本さんがリーダーを務める個社深耕のISチームは、普段どんな仕事をしているんですか?

他の事業部のISとほぼ同じで、セミナーや展示会、インバウンドといった施策はもちろん実行しています。

個社深耕ISが一般的なISと違うのは、 大企業グループ総合支援組織のISのように、アウトバウンドも積極的に取りにいくところですね。過去リードからの掘り起こしはもちろん、セミナーにご登壇いただく方からご紹介いただく取り組みなどもしています。
 
アタックしたい部門につながりがない場合には、ご契約いただいているお客様と関係があるのであれば、まず紹介してもらえないか打診してみる。それでも難しい場合には、各種データベースや顧問紹介サービスを活用するなどの手段を使って新規開拓しています。

IPRDには個社深耕と市場開拓の組織がありますが、ISの仕事にどんな違いがあるんでしょうか。

両者のやることにあまり変わりはありませんね。ただ、個社深耕では担当する企業数が限られているので、質を追う必要があります。逆に市場開拓のISは、私たち個社深耕や大企業グループ総合支援組織の担当領域以外が対象なので、どちらかというと量を追うイメージです。
 
現在は個社深耕組織全体で44法人を担当しています。メンバーが4人いるので、1人当たりの担当は10社ほどですね。1法人につき子会社も含まれるので、1人当たりの担当数としてはかなり多くなります。組織図を整理するだけで数百社にもなってしまうんですよね。今後はメンバーを増やして、1人当たりの担当法人数をもう少し減らし、AE(Account Executive/営業)とともに理解と顧客との関係性を深めていきたいと思っています。

その中での難しさって何ですか?

たとえば企業の中で注力したい先進分野が決まっているとして、それを部署名やミッションに反映しないケースがあるんですよね。なぜなら、外から見て「ここに注力するんだ」とばれてしまうから貴重な情報が漏えいするリスクがあります。
 
なので、通常のIS業務では、お客様のミッションと課題は何かを深く考え想像し、その人に寄り添った仮説を立てたうえで、メールや電話で質問をすることが重要です。また、顧問の方からのご紹介やセミナーに登壇いただいたゲストの方と関係性を構築して、その注力分野の担当者の方を紹介してもらうなどしています。
 
大企業グループ総合支援組織ではカスタマーリレーションの業務を取り入れているところもありますが、IPRDでもそれを取り入れてSGLやCSGL(※)を狙っていこうという動きも出てきていますね。

SGL:Sales Generated Lead/純粋な営業活動によってみずから創出した見込み客
CSGL:CS主体(活動)によって創出するリードを指す。例:既存契約のお客様からの他部署/他社紹介

対談風景
子会社を何百社と抱えている大企業グループを担当した場合、1日にどれくらいコンタクトを取るんですか。

数件当たれるかどうかという日もあれば、展示会などの施策と重なると数十件当たる日もあります。活動量はあくまで目安です。

アポイント獲得後はAEに引き継ぎますが、パイプライン(有効商談)にならなかった場合は、すぐに私たちのところに戻してもらい、適切なタイミングで再アプローチを図ります。
 
あとは、失注もしくは商談にはなってないけれど、たまにセミナーに参加いただいている方などには、定期的にタッチポイントをつくって掘り起こしをしています。この掘り起こしの部分は、もう少し科学していきたいと思っているところですね。

個社を深掘りするからこそ、企業に寄り添った支援ができる

いま杉本さんが一番ワクワク、ヒリヒリを感じているのはどんなことですか?

まずヒリヒリは、商談獲得までのリードタイムが長いことですね。「人を探す」忍耐が必要です。でも、それこそがエンタープライズISのヒリヒリでもあり醍醐味でもあると思うんですよね。商談獲得できれば「よっしゃ!」ってなりますし、技術者の方からいただく「こういうプロダクトが必要だったんだよね」という声も嬉しいです。
 
あとは、技術者の方がスピーダ R&D分析を知ってくれて、行動の後押しをすることに繋がっているんだと感じられることがやりがいになっています。また、ご活躍されている技術のトップ層の方とつながって話を聞けるのも楽しいですね。

難易度の高いISという印象です。

そうですね。技術者の中には営業電話自体が苦手という人もいますし、行動を起こしてもらうためにはどういうトークをすればいいか? というところから模索する必要があるので、なかなか大変です。
 
そもそも自分が携わっている研究開発に、経済情報が必要だという認識を持ってもらう必要があるんですが、それを電話とメールだけで認知してもらうのが難しいんですよね。
 
なので、「ほかの会社ではこんなコンテンツが役立っています」という情報提供や、マーケと連携しながらそういうコンテンツのセミナーを開催してもらったり、レポートを用意してもらったりするなど、ナーチャリング施策を打っています。
 
逆に限られた個社が相手だからこそ、その企業に寄り添った内容やテーマで展開をしていけるので、そこは個社深耕のよいところではありますね。

マーケティングとは連携する機会が多そうですね。

そうですね。特に今は、「Big Deal(大きな影響力を持つ契約・取引)」というテーマがあるので、Big Dealを生み出すためのキーパーソンリストを協力してつくっています。かなり密に連携していますね。

杉本温子
前職ではISからCSまですべての業務をこなしていたと言っていましたが、『THE MODEL』を導入しているユーザベースで働いて、営業に対する考え方は変わりましたか?

そうですね。役割分担されているのでとても効率的だと思います。既存のお客様を追うのと新規のお客様を追うのとでは使う脳みそが違うので、そこも分けたほうがいいというのも納得です。
 
何か問題が起きたときも、他部署とどう改善していくか、建設的なディスカッションができているし、お互いの状況を理解したうえで「中長期ではこうしていきたいよね」と会話できているので、部署間の連携は思っていたよりスムーズだなと感じています。

個社深耕ISとしての「解」をつくるのはこれから

現在の個社深耕ISの課題感を教えてください。

現在はBig Dealのテーマに取り組むことと、IS業務でアウトバウンドにも取り組む必要があります。大型案件を受注するためのシナリオづくりと通常の受注、このバランスをどう取っていくか、まだ解がない状態ですね。
 
今は期間を決めて、まずはBig Dealに集中しようと呼びかけていますが、本来であれば、Big Dealと通常のIS業務でチームを分けたほうがいいのかもしれません。
 
現状は、それぞれアカウントごとにBig Dealと通常のIS業務、どちらをやりたいか考えて取り組んでもらっています。

そうした課題があるなかで、オンボーディングやイネーブルメントなどNewJoiner(中途入社メンバー)の受け入れ体制はどうなっているんでしょう。

NewJoinerの受け入れ体制はすでに整っています。私が入社したときから育成のチェックリストが用意されていましたし、知財や研究開発領域の方たちがどんな働き方をしているのか整理したものもありました。
 
今はさらに、個社深耕のISとしてどういう要素が必要なのか、ナレッジを整理しているところです。

入社から独り立ちするまではどれくらいかかりますか。

一連の流れ自体は1ヵ月半〜2ヵ月ほどで理解できるようになりますが、アカウント戦略やシナリオづくりは人によって時間がかかることもありますね。ただ4〜5ヵ月すれば独り立ちできるイメージです。
 
目標の数字がつけられるのは2ヵ月目くらいからなんですが、目標数値は通常より低めに抑えています。数字はあくまで目安で、まずは商談を取ろうと。行動に移してみないと何がいいか悪いかの判断ができないので、まずはうまくリズムを取って商談を取れるようにという意図です。

杉本温子

エンタープライズISを定義し共通言語化したい

杉本さんはユーザベースに入社して初めてリーダーを務めていますが、1プレイヤーからリーダーになって、自分自身「変わった」と感じることはありますか?

めっちゃ変わっていて、今まさにパニックゾーンにいますね。使う脳が違うのと、社内でコミュニケーションを取る相手がものすごく増えました。
 
プレイヤーのときは展示会担当やナーチャリング担当といった施策のオーナーを持っていて、その中でマーケティングや他の部門とやり取りをしていたんです。今はもう少し横断的に全体を見て、高い視座で会話する必要があります。
 
さらにメンバーから各所でいろいろな相談が来るんですよ。育成と採用も業務範囲だし相談してくれるのはありがたいけど、6割はプレイヤーとしてIS業務を担当しているので、自分自身の数字も追う必要があります。プレイヤーの時でさえ自分が2人いればいいのにと思っていたのに、今は自分が3人ほしいくらい(笑)。
 
もう少しメンバーが増えたらIS業務の割合を少し減らして、俯瞰的に戦略を考えていきたいですね。

リーダーで言うと、IPRDを率いる伊藤竜一さんは、杉本さんにとってどんなリーダーですか?

キャラが濃いですよね(笑)。すごくマメなんですよ。私が少しでも困っていそうに見えるとすぐにDMしてくれるんです。悩んだらいつでも相談してと言ってもらえるので、自分がリーダーとしてどうしようと悩んだときに、すごく頼りになる方だなって。
 
以前に1度、かなり難しい目標を任されたことがあって。メンバーのクライテリアよりも高い基準の目標を課すことは私にはできないです、と竜さん(伊藤 竜一)に伝えたことがありました。すぐに話す場をつくってもらえて、そこで本音をぶちまけたんですよ。竜さんはそれを真摯に受け止めてくれて、改善できるところは改善してもらえました。それがキッカケで、竜さんには何も抵抗なく話せるようになりました。

個社深耕ISのチームとして今後目指している姿を教えてください。

チームとしては、エンタープライズISの形がまだ確立できてないので、そこを第一線でつくっていきたいですね。「個社深耕ISとは」をちゃんと定義して、共通言語化することが理想です。
 
今はまだ、個社深耕ISとしてPDCAを1周回せるかどうかくらいのデータしかないので、もう少しデータが蓄積されて正解が見えてくれば、自信を持って個社深耕ISの定義を語れるようになるんだろうと思っています。

杉本さん自身は将来的にどうなっていたいですか?

技術者の方が引き続きスポットライトを浴びられるようにしていきたいですね。あとは、ポジション的には現場も好きなので、マネジメントをやりつつも、現場にも行きたいです。
 
マネジメントと現場のバランスは難しいですが、現場の感覚は忘れずにいたい。それに、少し難しいほうが「よし、やってみよう!」と腕まくりしちゃうというか(笑)。もともと迷ったら挑戦する性格なんです。

杉本

編集後記

最近IPRDのインタビューが多く、私もだいぶ解像度が上がってきました! インタビューしたメンバーに共通するのが、技術者と経営層をスピーダ R&D分析がつなぐ未来像でした。その未来にみんなワクワクしているし、だからこそ足下のカオスもヒリヒリも楽しんで乗り越えられる、そんな気概を感じます。

ちなみに、たびたびインタビューに名前が挙がる竜さんは、社内で記事公開を周知するたびに丁寧にコメントを付けてくれます。杉本さんがインタビュー中に話してくれたようにマメだな〜と嬉しくなりました(この記事にもきっとコメントしてくれるはずです(笑))。

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執筆:宮原 智子 / 撮影・編集:筒井 智子
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