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バンドマンからデザイナーへ。異色のキャリアを持つプロダクトデザイナーの今──NewsPicks Product Design Team Leader 鳥居大

バンドマンからデザイナーへ。異色のキャリアを持つプロダクトデザイナーの今──NewsPicks Product Design Team Leader 鳥居大

「僕のキャリアはだいぶ特殊なんです」──そう語るのは、NewsPicks プロダクトデザインチームのリーダー、鳥居大。デザインの知識は20代のころに、バンド活動と両立して独学で身につけたといいます。自己成長のノウハウを誰よりも得ていそうな鳥居が今目指しているのは、プロダクトや事業の成長、そしてチームメンバーの成長実感がもてる環境をつくること。それらの目標をユーザベースの環境を生かしてでどう実現しようとしているのか? これまでのユニークな経験談と合わせて聞きました。

鳥居 大

鳥居 大DAI TORIIProduct Division Product Design Team Leader

事業会社で新規事業責任者、デザイン組織マネージャーを経て、2017年に Quipper Limited へ入社。VP of Design として国内ではスタディサプリ、グロー...

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目次

一度は断ったオファー、3年後に入社へ

鳥居さんのキャリアは、ユニークですね。

僕のキャリアはかなり特殊だと思います。今も趣味でやっているんですが、高校卒業後にバンドで飯を食おうと思って、静岡から東京に出てきました。大学にも行っていないです。バンド活動をしているうちに、借金がたまってしまって(笑)。バンドのかたわら、時給の良いWebデザイナーを始めたのが25歳です。

最初は brタグ(改行するためのHTMLタグ)すらもわからなかったんですが、バンドのチラシやホームページも自分でつくっていたので、見よう見まねでやるうちになんとなくWebデザインもできるようになりました。そこからだんだん楽しくなって、本格的にデザインの仕事をするようになったんです。

振り返ると、その時々で面白そうなところに手を伸ばし続けてきた結果、今に至るという感じでしょうか。

前職のQuipperではどのようなことをしていたんですか?

グローバルのWebアプリのリニューアルプロジェクトや、デザイン組織のマネジメントを担当してきました。

Quipper(当時リクルートマーケティングパートナーズ子会社)では、リクルートと共に「スタディサプリ」という受験勉強などに使えるアプリの運営をしていました。毎年そのアプリを使って合格した生徒たちの合格祝賀会を開催していたんですよ。そこで「このアプリがなければ、受験勉強ができなかった」という生徒たちのリアルな声を聞きました。

その経験から「高校生のためにもっと何かできることがないか」という興味が生まれたことが、僕の中での一番大きな変化だったかもしれません。

そんな中、2018年にユーザベースから入社のオファーがあったんですよね。

SPEEDA事業のデザイナーとしてオファーがあったんですが、ユーザベースのデザイン組織には、まだ2〜3人しかいなかったと記憶しています。「やりたいことがありすぎるのに、手が足りないからぜひ参加してほしい」とオファーをいただきましたが、当時はQuipperでやらなければいけないこともあったので、一度はオファーを受託したものの最終的にはお断りしました。

でも、稲垣さん(稲垣 裕介/ユーザベース代表取締役 Co-CEO/CTO)と話したときに「デザイン経営」というキーワードを使っていて、企業としてデザインを大切していることは伝わっていました。

あと、「能力が優れているだけではなく、価値観の根底が擦りあっていて信頼できる何かがないと一緒に働くことはできない。鳥居さんはそういうところも合っている」と期待してくれたことも、自分の中でずっと引っかかっていたんです。

3年経って、入社の決め手になったのは何でしたか?

一度お断りしたとき、稲垣さんから「対話をしてから決めてほしい」と長文で熱いメッセージをいただきました。そこから見えたオープンコミュニケーションの姿勢が気持ちよかったからですね。

以前オファーをもらってから、心のどこかで一度ユーザベースでチャレンジしてみたい気持ちもずっとあったんです。2021年の年初に再度ご連絡をいただいたので、今回はやってみようかなと。最初は業務委託からお願いして、あれよあれよと入社することになりました。

もうひとつの決め手は、僕自身が2014年からNewsPicksを使っていて、サービス自体を好きだったことです。

スタディサプリに携わっていた頃から、「高校生に学べる場所や、学びを提供すること」に興味を持っていましたし、僕は高校生こそがNewsPicksを使うべきだと思っているんです。

僕自身の高校時代を思い出すと、静岡県の磐田市で育ったので、当時接する大人は親と身近にいる地域のおじさんやおばさん、学校の先生くらいでした。そして、彼らの教えてくれることが正解とされていたわけです。

今はインターネットもあるので、もっと広く情報に触れられると思いますが、周りにいる大人の意見が正しいのか、正しくないのかといったことを判断をするのは、高校生にとって難しいことですよね。

そんな生徒たちにこそ、NewsPicksのプロピッカー(公式コメンテーターとして活動する専門家)のコメントや、他のピッカーの示唆に富んだコメントなどと一緒にニュースを読んで、「自分だったらどう考えるか」の参考にしてほしいんです。そこにはたぶん、ローカルにはない新しい視点との出会いがあるはずです。情報弱者だった僕がその頃にNewsPicksを見ていたら、今とはまた違う価値観を持った大人になっていたんだろうなと感じています。

NewsPicksらしさってなんだ?

入社してからは、どんな仕事をしていますか?

NewsPicksのプロダクトデザインチームのリーダーとして、メンバー5人のマネジメント業務をしています。あとは、ユーザーが自由にテーマを定めて発信ができる「トピックス」や、ユーザーやプロピッカーが集う「コミュニティ」のプロダクトマネージャーも兼務しています。

業務の割合としては、プロダクトマネージャーのほうが多くて7割ほど、あとの3割がデザインチームのマネジメントですね。

それぞれにどんな課題があり、どうアプローチしてきましたか?

まずデザインについては、事業やサービスに対してインパクトを与えられるように、機能を増やすことに取り組んでいます。

今はまだチームの人数も少ないので、事業部側からの「こうしてほしい」という要望に対して行う、マストな改善業務で手一杯ですが、これをずっとやっていてもデザインチームの価値は上がっていかないと思うんです。だから今後はもっとメンバーを増やして、デザインチームとしてやれることも増やしていきたいと考えています。

たとえば、アニメーションに強みのある人や、ユーザーリサーチを専任でしてくれる人など、現在のチームにはない強みを持つ人に仲間になってもらい、よりユーザーに価値を与えられるプロダクトにしていきたいですね。

プロダクトマネジメントに関しては、今いろいろな役割が全部プロダクトマネージャーに集約されてしまっている状態なんです、だからまずは開発のパイプラインを整理して、全体をつなぐポジションとしてプロダクトマネージャーがいるような状態にし、ユーザーへの価値提供サイクルをうまく回し続けられるようにしたいと思っています。

ちょうど組織を整えている段階なんですね。鳥居さんが入ってから、新たに始めたことは何ですか?

NewsPicksの体制として、僕たちプロダクト開発をするProduct Divisionと、コンテンツのクリエイティブをつくるCreative Divisionが別の組織なんです。

業務に支障はないんですが、お互いの情報共有を活発にするために組織横断の定例ミーティングを設けたり、NewsPicks らしさをデザイン原則として言語化するためにクリエイティブキャンプを行ったりしました。

プロダクトデザイン・コンテンツデザイン・AlphaDrive/NewsPicksの3部門合同で行った、クリエイティブキャンプの様子

3年後のNewsPicksを考えようという、ワークショップを行った

もともとは「NewsPicksのデザインをつくる上での基準がない」ことに懸念があり、「守破離」でいうと「守」の部分をつくりたいと提案していました。社内のさまざまなデザイナーに相談し「NewsPicksのブランドやデザインの原則をつくろう」ということで、クリエイティブキャンプを開催することになり、現在はメンバー主導で動かしてもらっています。

前回のクリエイティブキャンプでは、「NewsPicksらしいと思った仕事は何ですか」「どういうユーザーに届けたいですか」といった質問に対して、デザイナーに具体的なエピソードやキーワードをたくさん出してもらいました。そこから抽象化したものを、今後つくり上げていくブランドやデザイン原則に流しこもうとしています。

そこでのみんなの回答を聞いてみると、「NewsPicksらしさ」への感覚にそれほどズレはないという印象でした。これをちゃんと言語化して、デザインの原則を掲げることができれば、プロダクトもクリエイティブもどんどんつくりやすくなると感じています。

ちなみに、鳥居さんの感じる「NewsPicksらしさ」とは何ですか?

「先進的」というキーワードは、絶対にあるんだろうなと思っています。「権威」や「歴史」よりは、「先進的」「前衛的」の方がNewsPicksらしい。加えてNewsPicksで働く人達の「優しさ」や「寛容さ」というイメージ、そして「希望」みたいな印象もありますね。

あと、僕から見るとNewsPicksって「カオス」なんですよね。コンテンツも多いし、事業も多いし、いろんな顔を持っているし……。自由というかカオスですね(笑)。それが良さでもあるんですが。

ユーザベースって、ボトムアップ文化が強すぎる会社だと思うんです。それゆえに、いろいろな事業ができるし、サービスが立ち上がりやすい。みんな想いがあってやっていることなんですが、「NewsPicksらしさ」という筋をひとつ通さないと、齟齬が生まれてしまう瞬間がくると思うんです。だからこそ、ブランドやデザイン原則をきちんとつくることにはこだわりたいですね。

オープンで、何でもできる環境を生かしたキャリア

入社して約1年になりますが、忘れられないエピソードはありますか?

入社してすぐの頃に、佐久間さん(佐久間 衡/ユーザベース代表取締役 Co-CEO)と文字さん(文字 拓郎/NewsPicks CPO兼CTOr)がSlack上で、長文で何往復も議論をしていたのが印象に残っています(笑)。オープンにお互いの景色を交換していて、そこには互いに相手を攻撃や批判する意図もなく、最終的には2人とも納得していて。すごく建設的なコミュニケーションだと思いました。

自分はどちらかといえば慮るタイプで、人に意見することに変に気を遣う部分があるんですよ。でもユーザベースに来てからは変な忖度なく、ちゃんと自分の意見を伝え、相手の意見も聞いて話をしようという価値観が持てるようになれた気がします。自分にとって良い変化だったなと。

これからのキャリアについてはどう考えていますか?

僕は今40代で、10年後に現在とまったく同じようにデザイナーをやっているイメージはないんです。テクノロジーやツールが進化していて、そう遠くない未来には、誰でもクリエイティブがつくれるようになると思う。それに、仮に50〜60歳までデザインをやったとしても、若い人の価値観に敵う絶対の自信はないです。

そうであれば、現在のデザイン以外の価値も何か身につけていかないといけない。ひとつはピープルマネジメントの部分だと思いますが、デザインやプロダクトにおいても、より事業や経営にコミットできるような領域で、できることを増やしていきたいと思います。

新しい価値を身につける環境という意味では、やりたいことがあれば何でもできるユーザベースはいいですよね。

今後NewsPicksで成し遂げたいことは何ですか?

まずは、プロダクトを成長させることですね。事業もユーザー数もまだまだ伸び代があると思うので、ここからさらにもう一段伸ばしたいと思いますし、そこは絶対にやる覚悟を持っています。あとは、チームのメンバーが成長実感を持てる環境をつくることです。

プロダクトを成長させるための鍵となるのは何でしょうか?

鍵となることは他にもあると思いますが、やはりNewsPicksの価値の源泉は、プロダクトを使ったりコメントをしたりしてくれる、ユーザーの「コミュニティ」であるのは間違いないと考えています。

このコミュニティという独自価値の上に、今のユニークなコンテンツが成り立っていると思うんです。だから、いろいろな形でコミュニティの価値をさらに強いものにしていくことが、再成長の土台になるはずです。

事業を通して自己成長することも大切ですが、僕が大事にしていることは、事業とプロダクトの成長のために何ができるかということ、そしてやっぱり一番はユーザーに喜んでもらうことなんです。

クリエイティブキャンプでの集合写真

執筆:関口 朗子 / 編集:杉尾 美幸・筒井 智子 / デザイン:片山 亜弥 / 写真:落合 直哉・村木 淳之介

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