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インサイドセールスは決着だ! SPEEDA流・数字に強い組織のつくり方【ナレッジシェア #03】

インサイドセールスは決着だ! SPEEDA流・数字に強い組織のつくり方【ナレッジシェア #03】

ユーザベースの創業事業、経済情報プラットフォーム「SPEEDA」。国内だけでなく、中国や東南アジア、北米などにも展開し、R&Dの分野にも事業の幅を広げています。また2020年からは、インタビュー等を通じて専門家の知見にアクセスする機能「SPEEDA EXPERT RESEARCH」を提供しています。

ナレッジシェアシリーズの第3弾は、SPEEDAのインサイドセールス(以下、IS)について。各社におけるISの位置付けはさまざまですが、一般的には「テレアポ部隊」のイメージが強く付きまとい、数値目標の達成や社員の士気高揚が難しい部門のひとつとされています。SPEEDAのISが目標を達成し続けるための原動力や、数字に向き合える強いチームをつくる秘訣を、チームリーダーの吉川真太郎に聞きました。

吉川 真太郎

吉川 真太郎SHINTARO YOSHIKAWASPEEDA Inside Sales Team / Leader

証券会社の営業を経て、複数のITサービス系ベンチャーやメガベンチャーで営業・マーケティング・営業企画のマネジメントを経...

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目次

SPEEDA インサイドセールスの独自性

SPEEDA ISのミッションは、マーケティング組織が獲得してきた見込み顧客などに対してコミュニケーションを取り、商談化しそうな案件をフィールドセールス(以下、FS)に託すこと。これは一般的なIS組織と変わりないと思います。

一方で、独自性は大きく2つあると考えています。ひとつは、どんな業界の方でもご利用いただけるサービスが故に、向き合っている顧客に合わせた瞬発力が求められること。メンバーは電話がつながった「いま、この瞬間」に、相手企業や所属する業界が抱える本質的な課題に迫っていく必要があります。

もうひとつは「Value Selling」を実行していること。機能を訴求するだけでなく、企業や部署の本質的なニーズにSPEEDAが貢献できることを、対話やメールを通じてお伝えします。対面する担当者との会話の内容や、対象企業の財務諸表や中期経営計画などを読み解き、なぜお役に立てるのかを明確にイメージした上で価値を提案することに、IS組織全体をあげて取り組んでいるのです。

どちらも簡単にできることではありませんが、ISのメンバーたちは常に前向きに、語弊を恐れずにいえば「楽しんで」業務に取り組んでいます。当初はFSへの登用を前提として入社したメンバーであっても「ISを極めたい」「ISが楽しい」という声があがるほどです。モチベーション高く取り組んでいるので、たとえ高い目標が与えられたとしてもクリアできることが多い。いいサイクルが生まれているように思います。

インサイドセールス組織が持つ悩み

一方で、他社でIS組織を担当する方からは、以下のようなお悩みをよく伺います。

インサイドセールス組織の悩み

上記の課題に対してSPEEDA ISがどう取り組んでいるのか、その一端を紹介できればと思います。

具体的な戦術/戦略

①The MODELの「隣のファネル」と連携する

まず、これはSPEEDA ISに限らずユーザベースのSaaS事業全てにおいてそうなのですが、The MODELにおける隣同士のファネルと連携してそれぞれの指標を追っています。これは、MRR(Monthly Recurring Revenue:月次経常収益)をKPIに置き、結果を残し続けたい事業にとって非常に有効な戦略です。

ファネル図

SPEEDA ISの場合はひとつ前であるマーケティング、それにひとつ先のファネルであるFSと指標を連携しているのですが、今回はマーケティングチームとの関係性を例に紹介します。

一般的に、マーケティングはリード獲得数を、ISは商談獲得数を追っています。何もすり合わせをしないと「マーケティングがリードを大量に獲得してきたが、ISにとっては商談化しにくい案件ばかりだった」というような事象が起こりやすく、結果的にMRR未達の遠因となります。

そこでSPEEDAでは、隣のファネルと共通して追うことができる最重要指標を決めて、目標化します。たとえば商談数やリード数、MQL(Marketing Qualified Lead:マーケティング組織が「商談化する可能性が高い」と判断した見込み顧客)などです。「ISはPL化を頑張るから、マーケティングはMQL獲得比率を高めてほしい」と、責任範囲を明確にしながら擦り合わせることで、目標のズレを最小限にすることができています。

また連携する上では、徹底した言語化も欠かせません。PL化や商談化を判断する基準や、1度失注した後に再び案件化したものをどちらが担当するかなど、お互いが納得できるまで言語化を試みることで連携を強めています。日頃こうした会話を交わしているからこそ、進捗が思わしくない時でも協力して瞬時に対応していけるのだと、日々実感しています。

マーケティング/インサイドセールスの会話例

②「見込み顧客の意思」を反映した先行指標を定める

メンバーが能動的に取り組む環境をつくる上で欠かせないのは、わかりやすく、かつメンバーが納得できる先行指標を特定することです。SPEEDAのISでは「決着数」という独自指標を運用しています。

決着数とは、簡単に言えば「SPEEDAの話を詳しく聞きますか? 聞きませんか?」という問いに対する回答の数。かつて使用していたクローズ数(後述)という指標から変えたのは、より精緻に見込み顧客の状況を把握するためでした。

指標設定の背景

私が着任した2022年の1月、IS内のセミナー専門ユニットは「セミナー経由のPL数を、前四半期比で1.4倍獲得する」というかなり大きな目標を掲げることになりました。これは過去の成長率と比べてかなりハードな数値で、IS歴の長いメンバーも戸惑っている様子でした。

達成の糸口を求めてメンバーたちにヒアリングを進めると、新規リード・ハウスリード双方が枯渇気味だと認識していることがわかったのです。そこで私は実態を確認するため、実際のデータを確認してみることにしました。
具体的には過去1年のSPEEDAセミナーを全て視聴し、セミナーの内容と反響──アポイント数や商談数の相関を分析。どの傾向のセミナーがより反響が大きかったか、各セミナーからいくつアポイントが生まれたのか、セミナーの文脈に紐づいた商談を取れているのかなどを見ていきました。

その結果、連絡が取れる見込み顧客はまだまだ多く存在すること、クオリファイド・リード(プロダクトにはっきりと興味を示し、支払い能力もある見込み顧客)が多すぎて対応が不十分なケースが多々あったことがデータから見えてきました。

同時に、私たちは商談への考え方を変える必要性にも迫られていました。従来は「クローズ数」といって、各社に対して規定の回数を連絡したら商談クローズ、と判断していたのですが、何件クローズさせても目標には届いていなかったのが事実。その理由を掘り下げると、1人あたりの担当リード数が多すぎて、お客様と連絡を取れないまま終わってしまうパターンが多いことが分かったのです。

もうこれ以上行動量は増やせないし、引き受けるリードは減らしたい。こうした状況のなかでいかに結果を出すか──そう考えていたとき、IS歴の長いあるメンバーが「何件アプローチしたかより、何件つながったかが大事なんだ」と何度も熱弁していたことを思い出しました。

そのメンバーと改めて話したときの「何件お客さんとコミュニケーション取れたかが、とにかく1番大事なんです」という言葉に突き動かされ、どうすれば指標化できるか相談しながら辿り着いたのが「決着率」でした。

クローズ数と決着数の違い

その後は指標のロジックを検討し、最初に提案してくれたメンバーをはじめとした全員に提案、合意。商談数と決着数の相関を割り出し、「●件決着をつけることができれば、私たちは成果を上げられるんだ」と、全員で新たな目標に向かって走り始めました。

すると、メンバーが取る行動にも変化が起こりました。毎日同じ時間にメールを送っていたメンバーが夕方にも電話をかけるようになるなど、見込み顧客の動きを考慮したコミュニケーション活動を取るように。「決着」というわかりやすい成果を求めた結果、アポイントの獲得目標を逆算し、能動的に動くメンバーが増えることにもつながったのです。

「フルオープンな成績データ」運用上の注意点

マーケティング組織と共同で作成しているセミナー管理シートでは、ISメンバーごとの各セミナーにおける商談アサイン数から決着数、アサインto決着率、決着to商談化率など、全てを一覧化しています。

変態シートスクショ

セミナー管理シート

ここまで徹底的にオープンにできるのは、メンバーの心理的安全性を確保しているから。着任前後にISチームの合宿(オフサイトでのロングミーティング)を何度も行うなど、メンバーとのコミュニケーションに、多くのリソースを割いていたことは強調してお伝えします。

また私たちのミッションはただのテレアポではなく「お客様の本質的な課題の特定と提案」であると、全員で認識を共有することで、自己肯定感を持って戦えるような状態を追い求めました。

数字の目標設計はもちろん大事なのですが、メンバーが自分の仕事の可能性を信じることや、結果的にうまくいかなくても「やりきった結果だからしょうがない、次こそ頑張ろう」とポジティブに捉えられることはもっと大事。指標の達成度合いをオープンにする上では、チームの心理的安全性が担保されているか・メンバーが目標に向かってアグレッシブに向き合える状況かを見極める必要があると思います。

③リード開拓はISが「企画」する

SPEEDAのISメンバーが面白みを感じている業務のひとつに、見込み顧客とのコミュニケーションが挙げられます。というのも、意外と思われるかもしれませんが、SPEEDA ISにおいては「マーケティング」や「企画」の要素が大きいのです。

SPEEDAには数万にもおよぶ見込み顧客(=ハウスリード)リストがありますが、適切なタイミングで接点を持てていない、いわゆる「休眠」ステータスの方も多く含まれます。彼らとどう接点を持ち、商談に結びつけるか。このオーナーシップを、ISが持つことができます。

たとえば定期的にメールでコミュニケーションを続ける、SPEEDAのコンテンツをメールで送ったあとに「メールでお送りした件なのですが……」と電話するなど、考えうる打ち手にどんどんチャレンジできる。時にはマーケティング部門にお願いして、新たなコンテンツをつくってもらうこともあります。

SPEEDAのマーケティングはリードジェネレーションが主な業務で、もちろんナーチャリングもやってくれていますが、全てに手が回らないこともあります。足りない部分に対してISメンバーが「取り組みたい」と手を挙げたことを止める必要はないですし、むしろどんどん挑戦したい、してほしい。その自由度やチャレンジできる環境が、メンバーの士気に直結しているように感じます。

付け加えると、この環境が実現できる要因は、前述のようにマーケティング部門と日頃から高頻度でコミュニケーションをとっていること。MRR達成のためにお互いの目標をフォローし合う関係性だからこそ、お互いの領域に染み出していけるのです。

顧客の反応・声

結果的に2022年第1四半期の「セミナー経由のPL数を前四半期比で1.4倍獲得する」という目標は、1.5倍以上の大幅達成で終えることができました。メンバーが見込み顧客1人ひとりに対して誠意をもってSPEEDAの価値を提案し、決着にこだわり抜いた先に得られた成果です。

また、アプローチ対象リードからの商談化率も徐々に上昇。決着を指標にしたことで、見込み顧客と接点を持ったタイミングで導入を打診できるメンバーが増えたことが影響しています。

最後に

 ISは「FSまでの登竜門」「アポイントの供給部隊」などと思われがちな側面もありますが、SPEEDAのISメンバーは顧客のニーズとプロダクトの提供価値について真剣に考え、日々「事業の扇の要である」という自覚と誇りを持って見込み顧客に接しています。高い目標を達成する実行力の源泉は、最終的には「メンバーたちがやりがいを持って熱中できる環境」と「信じることができる先行指標」にあると思います。

2022年から力を入れ始めた「Value Selling」は、ヒアリングや開示情報から組織ニーズを読み取って商談化することで、商談獲得数の向上に寄与する兆しが見えてきました。また、第2四半期(4〜6月)からはIS主導のナーチャリングメール施策を本格化させるなど、新たなISの形づくりに挑戦しています。メンバーが見込み顧客1人ひとり、組織ニーズ1つひとつに向き合った価値提案を極められる環境を、今後も模索しつづけます。

SPEEDA 吉川

編集後記

ナレッジシェアシリーズの裏テーマは「出し惜しみしない」こと。今回も余すことなくご紹介しましたが、ご参考としていただけたでしょうか。特に「決着数」については、状態ゴールが明確かつ見込み顧客と握り合った指標なので、IS組織のみならずお客様にとってもメリットをもたらす概念だと思いました。何かしら持ち帰るものがある記事になっていたら嬉しいです。

SPEEDAはもちろん、それ以外のプロダクト(NewsPicks、FORCAS、INITIALなど)にもたくさんのナレッジが眠っています。このシリーズをもっともっと「ビジネスを楽しめる」ヒントを共有できるものに進化させていきたいです。

執筆:髙田 綾佳 / 撮影・編集:筒井 智子 / デザイン:犬丸 イレナ

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