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NewsPicksの世界観をデザイン側から提案したい──NewsPicksのUIデザイナーが考える課題と挑戦

NewsPicksの世界観をデザイン側から提案したい──NewsPicksのUIデザイナーが考える課題と挑戦

ユーザベースは2021年、エンジニア組織への投資を強化しています。
今回は外部ライターさんによるNewsPicksのエンジニアメンバーインタビューの第4弾をお届けします!

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エッジが立ったコンテンツをどう見せるか。NewsPicksの世界観を支えるUIデザインを作りたい」。そう話すのは、NewsPicks UIデザイナーとして、多岐にわたる業務に取り組む早河優です。腹を割って話せる理想のチームを作りたいという早河優に、今感じている課題ややりがい、これからチームとしてチャレンジしていきたいことを聞きました。

目次

プロダクト開発における齟齬(そご)をなくすため、上流工程からUIデザインに携わる

はじめに、早河さんのこれまでキャリアと、NewsPicksに転職したきっかけを教えてください。

デザイナーとしてのキャリアのスタートは、WEB制作の個人事務所に入ったところからです。当時Flashという技術があって、この技術を使って面白いものを作ってみたいというカジュアルな動機でしたね。

受託でWEBサイトを作る仕事を6年ほどしていたんですが、転機となったのがiPod touchやiPhoneの登場でした。使ってみて衝撃を受けて、アプリ制作の仕事をやりたいと思うようになったんです。

でも当時はあまりアプリ制作の仕事の募集がなかったので、アプリ制作の人材を育成するプログラムに1年ほど参加して、受託でアプリを制作する会社に入社しました。アプリ制作には7年ほど携わりましたが、それまで受託のクライアントワークが中心だったこともあり、「最後の一歩」に踏み込めないもどかしさを感じていたんですよ。

事業会社での仕事はどんなものなのか、最後の一歩を踏み込むことができるのか。そこに飛び込んで、景色を見てみたいと思ったことがNewsPicksに転職するきっかけでした。

NewsPicksではデザイナーとしてどんな仕事をしているんですか?

すでにできあがっているアプリを改善したり、新しい機能を追加したり、より広い層のユーザーに使っていただけるような機能開発をしたりする際、現状のアプリにどんなデザインを乗せればいいか? といったことを考えます。

NewsPicksをこれから新しく使おうという方もいれば、ずっと前からアプリを使っていただいている方もいます。新しいものを組み込む際に、既存ユーザーから「前のデザインは良かったのに、使い勝手が悪くなってしまった」と思われないよう、ハレーションが起きないように気をつけながらデザインをしています。

具体的には、どんな業務プロセスで開発を進めていますか?

アイデア段階から想像だけでプロダクトを作り始めてしまうと、さまざまなところで認識の齟齬が起きてしまいます。

齟齬を防ぐためには、初期段階からUIデザイナーが入って、粗々のプロトタイプを作ったり、ある程度形を作ったりしながら、議論を活性化させる必要があります。そのプロセスを経て、「このプロトタイプでいけば効果がありそうだ」と判断できたら、実際のUI デザインに落とし込んでいきます。

そうやってプロダクトを精緻化していって、デザインの確認が取れたらエンジニアが実装に移ります。その際エンジニアには、仕様やデザインの意図といった実装に際しての注意点を共有し、受け渡しをしています。

エンジニアによる最終実装が終わったら、デザイナー側でデザインを確認し、問題があればフィードバックします。これを繰り返して、プロダクトを作っていきます。

プロダクトにもよるのだと思いますが、1つの機能を改善、追加する際、どれくらいの規模で取り組むんですか?

今デザインを担当している社員は、私を含めて2名で、入社予定の方も含めると4名です。Product Divisionという部署の中にあるプロダクトプランニングユニットに所属し、UIデザインを担当しています。デザイナー2人が連携してプロジェクトを進行するというよりは、各プロダクトや事業部の施策ごとにそれぞれがアサインされ、タスクを進めていく形ですね。

プロダクト開発の規模感は、最小だとプロダクトオーナー、エンジニアが2〜3名、デザイナー、他にその都度必要なメンバーがアサインされることもあるので、4〜5人のチームで取り組んでいます。

アプリ開発において、エンジニアとはどんな連携をしていますか?

開発が始まれば、毎日のようにエンジニアとコミュニケーションする機会があります。チームの組成やタスクの粒度にもよりますが、基本的にはエンジニアのスプリント会議にデザイナーが入ってタスクの進捗を共有したり、日々の業務の中で随時コミュニケーションを取ったりしながら進めています。

NewsPicksのコンテンツを活かすデザインを作る

NewsPicks 早河
現在、デザイナーは2名のみということでしたが、今後規模が大きくなったときにどんなチャレンジをしたいと思っていますか?

現在エンジニアとデザイナーの比率は、おおよそ50対2と低いんですよ。これを10対1くらいまで引き上げることができれば、デザイナーチームとしてできることが広がっていくのではないかと思います。

例えば、現状ではレビューをする際、2人分の目線でしか見ることができません。そもそも2人だと手数が足りず、日々の業務だけでいっぱいいっぱいになってしまうこともあります。デザイナーの人数が増えればそれだけ視野が広がりますし、プレゼンの相談などチームのメンバーとコミュニケーションを取りながら進めていくことができます。

あと、今はNewsPicksでのUIデザインのあり方といった指針があやふやな状態なので、チームで議論して強固なものにしていきたいですね。それを社内にも共有して、デザインチームが考える理想の形を提案してきたいと思っています。

NewsPicksのUIデザイナーとして、早河さんが大切にしていることを教えてください。

NewsPicksのデザイナーとして、私が一番大事だと思っているのは「コンテンツ」です。UIデザインというと、何となくカッコいいイメージを抱く人もいるかもしれません。でも本質は「コンテンツをいかにユーザーに届けるか」を考えること。コンテンツをいかにストレスなくユーザーに見せるかに、ひたすら愚直に向き合っていきたいですね。

NewsPicksはコンテンツ自体にエッジが立っているので、おとなしいだけのデザインではバランスが取れませんし、奇をてらったデザインを作ればいいかといえば、そういうわけでもありません。これまでのデザインを、守るところは守りながら、新しい形を模索する挑戦を続けていきたいですね。

大きなメディアならではの反応が得られるUIデザイナーとしてのやりがい

NewsPicks 早河
エンジニアやビジネスサイドと連携を取りながら業務をする中で、デザイナーとしてどんなキャリア機会が得られていますか?

NewsPicksではデザイナーも開発の最上流から入るので、プロダクト開発の初期段階や、機能が立ち上がるところから経験することができます。そうした経験を積むことで、プロダクトマネージャーやディレクションを目指すこともできますし、UX デザイナーというキャリアを選ぶこともできるでしょう。

エンジニアやビジネスサイドのメンバーとは、さまざまな打ち合わせで顔を合わせて、日々コミュニケーションをします。そこで得られるものは多いですね。

たとえば、AとBという2つのデザインのうちユーザーがどちらを選んでいるかというフィードバックだったり、担当しているWEBサービスについてSEO的な観点での意見をもらえたりと、自分とは違う視点で UI デザインを捉えることができるんです。

早河さんはこの仕事のどんなところにやりがいを感じていますか?

ユーザーからの反応がダイレクトに返ってくる点です。アクティブユーザー数といった日々の数値をチェックしていると、何か機能をリリースしたときにダイナミックな反応があるんですよ。この仕事の醍醐味ですね。ポジティブでもネガティブでもいいので、何かしらフィードバックを得られるというのは、デザイナーにとって良い環境だと思います。

NewsPicksは規模として大きいですし、多くの方が見てくださっているメディアです。ユーザーのみなさんに自分が作ったデザインを届けられるのは、やりがいも大きいですね。

UXやUIデザインをしていて、現状で課題に感じていることはなんでしょうか。

そもそもUXデザインのプロセスを、方法論としてまとめきれていない点ですね。現状、プロダクトのユーザーインタビューを実施するかどうかなど、UXのプロセスの部分は個人に依存している状態です。プロセスを固めていくことが今後の課題ですが、言い換えれば、UXをやりたい人にとっては積極的に関わっていける余地があるといえます。

さらにNewsPicksの世界観はコンテンツで十分に表現できていますが、UI的には統一感を出せていない部分もあります。今後はそこをより先鋭化させて、デザインの側から世界観の提案をしていきたいと思っています。

理想は使いやすいUIを提供することで、コンテンツが世に広まっていくことです。NewsPicksが良いコンテンツを作っていることは確信しているので、それを多くの人に使ってもらうためにUIデザインをより良いものにしていく。ユーザーにとって見やすい、シェアしやすい、ストレスがないといったところを支えるのが、UIデザインやエンジニアリングだと考えています。

腹を割って話せるチームでNewsPicksの世界観を作りたい

NewsPicks 早河
メンバー個々が能力を発揮できるような制度や環境はありますか?

会社としては、社内評価制度が充実していますね。目標設定をきちんと擦り合わせたうえで、最終的な目標評価を行っています。

また、部署を問わずオープンに話せる環境が整っています。
自分が入社した当初、仕事の進め方が前職とあまりに違っていたことから、キャッチアップに時間がかかってしまっていました。そんな私を見て、他部署のリーダーが声をかけてくれたんです。そこでコミュニケーションを取ったことで腹落ちした部分があって、それが今の自分につながっていると感じています。

直接の上司ではなくてもいろんな方がオープンに1on1をしてくれる雰囲気は、NewsPicksのカルチャーである「景色を交換する」を体現していますね。衝突や意見の食い違いがあったとき、お互いに見えている景色を交換することで違いを認め合う。そうしたコミュニケーションを活発に行うことは、自分のパフォーマンスにもつながると感じます。

早河さんが考える「理想のチーム」とは、どんなチームでしょうか。

メンバーが腹を割って話せるのが一番いいのではないでしょうか。チームの人数が増えていくと、そうしたことが難しくなることもあるでしょうが、素直にコミュニケーションができるといいですよね。

例えばレビューをする際でもそうですが、「あの人に言われたら気にならないけど、この人に言われると気になる」といったような人間的な感情は、誰しもが持っていると思います。それを腹を割って話すことで、お互いの違いを認め合い、摩擦を減らせるようなチームにしていきたいんです。

今後そうしたカルチャーを築いていくにあたって、どんな人と一緒に働きたいと思っていますか?

NewsPicksの世界観を築き上げられる人というのが理想かも知れませんが、そもそも世界観というもの自体、築くべきなのか否かという議論も社内でフラットに交わされているところです。そうした意味では、自分がやりたいこと、試してみたいことを明確に持っている人の方がフィットするかもしれません。

NewsPicks全体を見ると本当に多様な人がいます。そういった場に飛び込んで刺激を受けてみたいと思っている人や、自分の型をNewsPicksに持ち込んで試したいみたいという人もいいでしょう。

これからデザイナーが増えていく中で、柔軟な考え方を持つことは不可欠だと思います。もちろん自分のやり方があってもいいんですが、ユーザーにとって本当に良いプロダクトをつくっていきたいという考え方のもとで、模索することを楽しんでほしいですね。

自分の状況を俯瞰して楽しめるような気持ちを持った人と一緒に、NewsPicksのデザインチームとしてのカルチャーを作っていけたらと思っています。

本記事に登場するメンバーの中には、すでに退職・退任しているメンバーも含まれます(役職・所属組織名は当時)

執筆:宮原 智子 / 編集:筒井 智子
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