挑戦を続けることが、記憶に残る体験をつくる
稲垣 裕介(以下「稲垣」):
新入社の皆さん、最初のキャリアとしてユーザベースを選択してくれて、ありがとうございます。
まず謝らなければいけないなと思ったのが、この会を企画してくれたカルチャーチームのみんなへ。「入社式をやりたい」って言われて、「いらないでしょ、そんなの」って言っちゃったんですね。堅苦しいし、新卒も中途も関係ないのが僕らのカルチャーだよねと。でも、やってよかった。自己紹介でみんなの個性が伝わってきたし、採用したマネージャーからのコメントで、チームとしての思いもすごく伝わってきた。本当に良い機会をつくってくれたなと思います。
みんなに期待したいことは、すごくシンプルです。1月の全社パーティで話した内容とも被るのだけど、今のユーザベースにはない、新しい才能としてとにかく個性を爆発してほしいと思っています。この入社式でわかったよね(笑)。僕たちおじさんが何か言っていたとしても、結果として間違っていることもある。正しいことは正しいと言って、まっすぐに、オープンにぶつかってきてほしい。
ユーザベースのトップは、ミッションとバリュー、この2つの原則です。今は共同代表として、創業者の僕と梅田がいるけれど、ミッションを実現するためにもっとバリューを体現できる人がいれば、変わることは十分あり得ると思っています。とにかくミッションとバリューに向き合って、行動を重ねていくこと。挑戦を続けていくことが、記憶に残る体験をつくります。

稲垣:
記憶に残る体験がなかったり、やりきった感覚を得られないときって、挑戦をせず漫然と生きているときなんです。新社会人1年目は、「新卒だから」「社会経験がないから」と、一般的にこうだからとなりやすい時期でもあります。そんな常識に縛られずに、しっかりと記憶に残る体験を、ぜひ最初の1年で積んでいってください。
もうひとつ。ぜひ横の仲間を大事にしてください。新卒で入社同期というのは、この1回しかありません。たとえユーザベースを卒業して新しい挑戦を選んだとしても一生残るものなので、大切にしていってもらえたらと思います。
僕たちは、「ユーザベースに関わるすべてのステークホルダーを幸せにする」ことを大事にしています。これはお客様や投資家の方々だけじゃなく、もちろん従業員のみんなも含まれます。これまでは僕たちみたいなおじさん世代が会社をつくってきたけど、みんなみたいな世代とは、幸せに対する価値観が違ってくると思います。
ぜひユーザベースの新しいハッピーのかたちをつくって、みんなに続く、次の世代にもつながる会社をつくっていければと思っています。僕の得意技はこの1つしかないので、この場でも言わせてもらいます。──「飲みに行きましょう!」 これからもよろしくお願いします。
「迷わない」ことが、行動の総量を決める
坂本 大典(以下「坂本」):
みなさん、入社おめでとうございます。
僕がユーザベースに入社したのは、2009年7月、リーマンショックの直後でした。歓迎会はオフィス近くの品川の居酒屋で、1人3,000円ぐらいのコースを自分で予約してやりました(笑)。そこから考えると、こうしてみんなを迎えられるようになったのはすごく嬉しいなと思います。
今日は2つだけ、みなさんにお伝えしたいと思っています。ユーザベース創業期から関わってきて、なぜ今の自分があるのかを振り返ったときに、重要だと感じている2つのポイントです。ひとつは、「迷わない」ということ。

坂本:
働いていると辛い局面があったり、他の会社で働いている友人の話を聞くと、「転職したほうが良いのではないだろうか」「この仕事に意味はあるのだろうか」と悩む時期が来ます。それを悩むのは、自分にブレーキをかけながら走っているような感覚になって、非効率です。だから悩むときは、とにかく思いっきり悩む。そして悩まない期間を決めて、目の前のことに集中してどれだけ走りきれるか。悩まない時間をどれだけつくれるかが、その後の行動量を決めると思います。
僕の場合は、「ユーザベースが上場するまでは、死んでも辞めない」と決めていました。だから、悩む必要がなかった。それがすごく大きかったと思うので、みなさんも決めて、とにかくやりきるというのを大事にしてください。
もうひとつは、自分の上司からだけ学ぶのは絶対にやめてください。上司から学ぶのは大前提として、会社の外に出て、いろいろな人と会って、いろいろな知識や経験を吸収してきてください。僕自身も創業者の梅田さん、新野さん、稲垣さんからいろいろ教えてもらいましたが、会社の外に意識的に出ていたことで、大きく成長できたと思います。
今、ユーザベースグループには、いろいろな事業や職種、バックグラウンドを持った人が集まっています。会社の外に出るのはすぐに難しいという人は、ユーザベースグループの中でもいいので、自分のチームを飛び越えてどんどん教えてもらってください。
自分のキャリアは、自分でつくる。これを強く意識してもらえればと思います。今日入社したみなさんが今後、大活躍していくのを楽しみにしています。がんばってください。

新卒メンバーが壇上でinstaLiveをはじめる場面も
新卒メンバーに贈られた本
入社式では、新卒メンバーからの自己紹介と所信表明に続き、所属チームのマネージャーからのメッセージと書籍がプレゼントされました。
贈られた書籍と推薦コメントを抜粋でお伝えします。
NewsPicks クリエイター
全然知らなかったんですが、今日からこの映画が始まるそうですね。ぜひ、原作から読んでみてください。編集者、クリエイターとして独り立ちするということのマインドセットが、この1冊で得られます。入社おめでとうございます。
NewsPicks エンジニア
現代のエンジニアには、自分の作品の美醜を判断出来る美的センスと、現実を様々な角度や抽象度で捉え、プログラムやプロダクトに落とし込むための洞察力が必要だと思っています。これらの能力を養うためには技術書だけではなく、小説も読んで勉強していただきたいなと思いまして、僕が好きなマイナー小説をおすすめします。
NewsPicks エンジニア
岡本太郎は自由な思想を持っている人で、すごくユーザベース的なんです。いやユーザベースが岡本太郎的というか、すごく似ている。「今日の芸術」と言いながら60年前の本なので、いつの今日だよという話はあるんですけど、それでも、今も尚、色褪せない名言が散りばめられています。道に迷った時の教えとなるようなものが書かれているので、ぜひ読んでみてください。
SPEEDA インサイドセールス
大阿闍梨という、1日48kmを年間およそ120日、9年の歳月をかけて1,000日間歩き続ける荒行があります。それで生き残ったら、大阿闍梨と呼ばれるようになるんですね。毎日、自分の死に向き合って新しい発見をするという、その痛みと喜びとが詰まった本です。そこまでいかなくても、ユーザベースでもそうした新しい発見ができるぐらい、やりきってほしいなと思います。
SPEEDA セールス
クロネコヤマトを作った小倉さんの本で、知っている人も多いかと思う名著です。メッセージとしては、SPEEDAもNewsPicksも他のサービスも、クロネコヤマトと同じぐらい、世の中の人にとって当たり前と思われるサービスを一緒につくっていきたいなということで、これを渡したいなと思いました。入社おめでとうございます。
entrepedia セールス・マーケティング
僕が前職で入社した時に、仕事の基本を学んだ1冊です。結構、理論的なこともいっぱい書いてあるので、論理と情熱のバランスを見つけることができるとおもしろいかなと思って選びました。
NewsPicks Studios デザイナー
日本人特有の「いき」を構造的に分解して書いている名書です。ロックなデザイナーとして今すぐなのか、これから先なのかわからないけれども、きっと役に立つ本だなと。
作家論は、僕が若かりし頃に出会ったすごく大事な一冊です。これを読んでから、作品の読み方が明らかに変わったんです。自分のアウトプット、クリエイティブで人の価値観をアップデートするような作品をひとつでも多く、NewsPicksを通じて出してもらえるといいなという意味を込めて、贈ります。
SPEEDA 翻訳家
経済学の歴史、アダム・スミスの話やマルクスの話とか、経済学の基礎的な説明が入っていて、でもすごくわかりやすい本です。ぜひ読んでいただきたいなと思います。
UB Ventures 投資家
佐藤一斉という、佐久間象山や西郷隆盛も指示していたという儒学者が書いた哲学書です。平成から令和に代わっていくタイミングで、明治維新を興した人たちの思いを知ってほしいなと思います。
また僕自身、SPEEDAのアジア事業をゼロから立ち上げていたときに本当に毎日吐きそうだったんですが、そのときに読んでいたのが『HARD THINGS(ベン・ホロウィッツ)』と、この『言志四録』の2冊です。なので追い込まれたときにぜひ読んでみてほしいなと思います。
NewsPicks エンジニア
ブルーノ・ムラーニさんはイタリアのデザイナーで、教育家であったり芸術家であったり、多彩な活動をされた方です。この本は想像力とか創造性について語った本で、割と抽象的な概念をうまく言語化して説明してくれている本です。エンジニアとして、ぜひ今後の創造性に役立ててもらえたら嬉しいです。
SPEEDA カスタマーサクセス
国や人々の生活を豊かにし得る「商い」を正しく機能させるためには、人としてどう生きるべきか、すなわち物事に対する視座としての「道徳」と、物事を知識や人情とのバランス観を持って判断するための「常識」が大事であると説いた本です。
社内でも「正しいことを正しくやる」という言葉が交わされることがありますが、我々は大きくなっても、社会的地位や金銭的な豊かさだけにとらわれず、道徳と常識を持って物事に取り組み続ける、そんなチームであり続けたいという想いで、この本を選びました。