「自由な働き方の会社ありますか?」「あるよ」って言われて
中村:
正直、知らなかったです。転職活動しているときに、エージェントから紹介されたんですよ。「自由な働き方の会社ありますか?」「ありますよ」って。「何やりたいんですか?」って聞かれて、「分析と調査」って返事したら、「あるよ」って言われて。
中村:
じゃあちょっと一回話を聞いてみますねってオフィスに行って、そこで初めてプロダクトをみて、おしゃれだなって。最初に見た感覚でいうと。
宇佐美:
私はユーザーだったけど、SPEEDAの最初の印象は「おしゃれだな」って思った。
森:
なんかiPhoneみたいなイメージ。
宇佐美:
スマートな仕事している気分になるよね(笑)。ただクリックしてるだけだけど。

SPEEDAの画面イメージ
宇佐美:
私の転職理由は、銀行での経験が長くなるなかで、自分がやっている仕事や評価に対して、不満はなかったけど、なんとなく仕事の成果よりは「やってる風」に見せることがだんだん大事になってきて、それにすごく違和感が出てきたのがきっかけかな。うまくやっているように見せることがだんだん上手くなってくるみたいな。
いろいろ言い訳ができるじゃないですか。なんかすっごいアイデアを思いついたとしても、まぁ基本できないよね、みたいな。なので、そういうのがないところでチャレンジしたほうが自分が成長できるかなと。どんどん言い訳が上手くなってのがやばいなっていう危機感があった。
ベンチャーでも意外に制度が整ってた
中村:
不安はあったよ、そりゃあ。
宇佐美:
家賃補助とか。
中村:
退職金も財形もそうだし、育児系の諸々もあるよね。
森:
あとは社員食堂とか。
宇佐美:
まぁでもそこはしょうがないよね。
給与のこだわりについては、私は最後はあまりなくなったかな。銀行員って階段上に給料上がるので、じゃあ明日から年収いくらってなったときに、自分がその年収でどういう生活をしてたかっていうのはクリアに思い描ける。ああ、全然行けるじゃん、挑戦するからには自分で給料上げればいいじゃんって。
森:
私は別にそこは気にならなかったかな。二人のケースと違って、一旦完全にやめて学生してたので、割とその時点で、市場価値下がるんだろうなと腹をくくってた。そのあと転職活動してみて、ゼロだと思っていた自分の市場価値があるとわかって、逆に安心した。

森:
銀行にいたときって、若さとノリと勢いだけだったから。辞めて大学院に通った理由もそれなんだけど、まじ何もない、コミュ力しかないみたいなのが引け目だった。でも実はそれが市場価値になるっていうことに気づいて、なんとかなるだろうなって思った。
中村:
紙ないんだ、ラッキーって思った(笑)。
宇佐美:
私もすぐなくしちゃうから、紙が本当に嫌だった。机が片付けられないから、必ず書類がなくなるのね。監査で必ず指摘される(泣)。
森:
引き出しにお菓子入れてたら怒られた。
森:
いいなと思うのは、カルチャーなのかわからないんですけど、みんなわりきってるところですよね。数字は達成するのが当たり前だとか、そういう意識はめちゃくちゃ強い。
宇佐美:
やりきる力っていうのかな。うちのチームにも銀行の法人営業出身の黒川君がいるけど、炎上している案件とか理不尽な場面に遭遇してもあんまり動揺しないですね。「ああ、ありますよね」みたいな。
森:
「ちょっと燃えてるんだけど、めっちゃ熱いんだけど」って言いながらなんだかんだで持てるよね。多分20代の若いときに銀行を経験してなかったら、私はそういう力がつかなかったと思うので、すごく感謝している。
金融機関での女性のキャリア
中村:
もちろん金融機関にも、女性で活躍している人もいますよ。ただ家庭を持ちながらでもめちゃくちゃ働いて、結果出して、みたいなイメージでがクローズアップされているので、それを見て全員が「私にもできる」とは思われてないんじゃないかな。
森:
そういう成功事例、キラキラ人になれっていう感じはあるよね。本当は変わらなきゃいけないと思うんですけど、法人部隊は圧倒的に男社会だから、ワーキングマザーっていうロールモデルがいないんだろうなと思う。サンプル数が圧倒的に少ないので。
中村:
私は小さい子どもがいるので、ユーザベースでは自由な働き方が、社内全体で当たり前になっているところが本当にありがたいですね。リモートも当たり前、休むとか早退のタイミングも、来客とかミーティングなければ自由にやっていい。これは本当に入ってよかった。
子どもが一番大事だから予期しない早退や休みが発生するんだけど、前職では「すみませんすみません」って全方位に謝りながら休んでた。でもユーザベースだとみんな当たり前のように「どうぞ!」って送り出してくれる。それに自宅に帰ってからある程度キャッチアップできるというのもいいなと。
森:
それはそうかも。金融に限らず大企業ってどこもそうだけど、休むの超大変じゃないですか。


転職して意外だったもの
宇佐美:
意外と制度とかいろんなもの整ってるなって思った。給料と休み以外全部ないと思ってたし、カオスな感じでみんなが働いているのかなと思ったら、意外とそうじゃなかった。評価制度もちゃんとしていると思わなかったし。
中村:
クライテリア(人事評価制度)とフィードバックがしっかりしてるのには感動したなー。
森:
あとネガティブなギャップですけど、これ面接に来たときからずっと言ってるんですけど、オフィスが汚い。面接でオフィスに入った瞬間「きたなっ」て私、普通に言ってて。
宇佐美:
物の置きっぱなしが多いよね。
森:
それは改めたいよね。オフィスきれいになったら生産性あがるんですかって言わると、やっぱり上がると思うんですよね。
中村:
汚いとかだらしないって、緊張感がないように見えてしまう……。ちゃんと仕事ですよっていうところですよね。
その後、社内でお掃除プロジェクト2018がスタートしました。
今の延長線上だけじゃない未来をつくる
中村:
うちのアナリストチームはまだ議論の最中なんですけど、私がやってきた証券会社のアナリストと、SPEEDAで求められるアナリスト、各メンバーが目指すアナリストの全部が同じわけではないので、まずその目線共有のところからスタートですね。これまでの延長でいいとは思わないし、まさに過渡期といえるかな。
宇佐美:
SPEEDAコンサルティングサービスの直近の課題は、業務領域をいかに広げて、やれることを広げていくっていうところかな。ユーザーからの相談の数も日々多くて、チームはめちゃくちゃ頑張ってるんですが、その先の未来を描いていきたい。
たとえば相談件数がどんどん増えていって、それをこなせるようになってすごいよねっていうのはあるんだけど、数をこなすことだけが素晴らしかったら未来は人増やすだけになっちゃいますよね。

森:
去年、SPEEDAでZendeskを導入して、その一環でFAQをつくったんですね。そのときに「SPEEDAってちょっと文字で説明しにくくない?」ってことがわかったんですよ。それでもともと動画作ろうって話をしていて、マーケの方で進めていたユーザーコミュニティ構想と合流して、どれくらい反応があるかわからないけど、とりあえずやってみようっていうのを始めてみたんですよね。
宇佐美:
FAQができて、動画ができて、簡単な利用ガイドであればユーザーに解決してもらうのもひとつの未来ですよね。今、コンサルタントは全ての相談に対して「30分で初期回答を返す」を徹底しているのだけど、ユーザーが素朴な疑問を手元で解決できるようになれば、今のリソースのまま、もっと深く、付加価値高くご相談に応じることができる。
その意味では先日開催したオフラインユーザー会も、まずは第一段階ですね、リアルなユーザーと触れ合う、会えることを価値としてもらう。どういう人がいるかわからないと質問はできても「相談」はできないじゃないですか。別にロボットに相談したいわけじゃないので。
ユーザー会でお会いした方から「講演で紹介してた事例の資料全部ください」っていう気軽なリクエストがあったりしたので、顔が見えるのはいいなと思いますね。


ベンチャーが500人、1,000人の組織になったら
中村:
自由でフラットな今のカルチャーが良いと思ってるけど、これって会社が500人とか1,000人になってもこのままでいくのかな。
森:
今は組織を小さくするっていうことで対応しているよね。新規事業は分社化してPLを分けて、いかにチーム単位でまとまっていくかっていう。
だから次の課題はわかっていて、顔が見えない化問題ですよね。横串をどうしていくかって。
私は去年(2017年)M&Aしたentrepediaに今年移ったんだけど、小さい組織のほうがやっぱり裁量は大きいんですよね。スピード重視なんで、チームで決めてやるっていうのが徹底されてる。代表(佐久間 衡)の確認も取らないぐらい。
宇佐美:
私もentrepedia、FORCASとかに少し関わっているけど、ユーザベースでは大きい組織と小さい組織を両方味わえるのがすごくいいなと思う。
森:
めっちゃいいと思う。SPEEDAのマーケからカスタマーサクセスで今やっているよね。それ正式に制度化したら、うち(entrepedia)はそのまま人材を引っこ抜くけど(笑)。あれ、これ言っちゃって大丈夫?
中村:
梅田さん(梅田 優祐/ユーザベース共同代表)も公認してたしいいと思う(笑)。
「健全なおせっかい」が蔓延している
森:
この会社のいいところは、権限委譲が進んでいてかつ誰も止めないから、さっきの社内留学みたいな実験を、誰の確認も取らずに進められる。ほんといいの?ちょっと注意してほしいんだけど、みたいなときも止めない(笑)。私ガードレールの内側歩いてたはずなんだけど、みんな止めないから気づいたら崖にいた!!みたいなのが多くて。
宇佐美:
ほんとそうだよね。みんな見てるけど止めない。森さん崖の方にいってるけど、「まぁまぁまぁ(笑)」と。
森:
私は落ちる前にみんなを引きずり込むから。
宇佐美:
みんな助けてくれますよね。それは前職との大きなギャップだな。
森:
ただ思ったのは、やっぱり言わないと助けてもらえないよね。当たり前なんですけど。
宇佐美:
私、昔から何かあるとりあえず騒ぐんですよ。けど、銀行では結構たらい回しにされるんですよね。私じゃありません、みたいな。
森:
教えてくれないよね。普通の会社は。
宇佐美:
私、全然ITの知識とかなくて、でもユーザーからはSPEEDAの中の人はIT専門家だと思われてるから、セキュリティに関する問い合わせがきて。とりあえずエンジニアのメンバーに言ったら、「僕が文案書いてあげますよ」って。神かと。だから自分も頼られたら同じくらい返そうって思ったし、良い循環ができてるんじゃないかな。
森:
コーポレートの人たちとか正にそうだよね。契約とか経理とか、私たちわからないからほぼ丸投げじゃないですか。よくないけど。そうしたら「これにこうやって書いて、投げておいてくれればあとは総務の方で巻き取って、経理の方に投げておきます」って言われて。え、なにこれ、自動的にいっちゃったよみたいな驚きがあった。
宇佐美:
健全なおせっかいが全社レベルで機能してるなと思いますね。これやっときましたよとか、これ便利ですからとか。みんなぜんぜん暇じゃないのに。
「自分を超える人を採用する」の未来
宇佐美:
会社が大きくなるっていうところで言うと、今って「自分を超える可能性がある人」しか採らない方針じゃないですか。会社が成長して自分を超える人ががんがん入ってくるっていうのは、良い緊張感がある。自分より知識や経験がある人なんていくらでもいるし、そのときの自分どうなっているんだろう、っていう。
中村:
今は前職で勉強したことを少しずつ出して出してってしているので、貯金を崩している感覚もあるかな。それがなくなったときにどうなるだろうって不安もある。そのとき私何歳かなとかね。勉強する時間をもっとつくるのが一番の課題。
森:
だから私、entrepediaに異動したんです。大学院の研究テーマと仕事を一致させて、公私混同するのが私の目標なので。
なので今のentrepediaの環境はすごく幸せで。公私混同して、私の成果を出すことが、ダイレクトに会社の成果につながるので、やった! みたいな。ユーザベースは新しいチームがどんどん生まれてくるから、そういうチャンスがあるのはすごくありがたいですよね。
本記事にはすでに退職したメンバーも含まれております(組織名・役職は当時)