「人事で転職」のこだわりが吹っ切れたきっかけ
前職はパーソルキャリアで営業をやっていたんですが、トップセールスになったことをきっかけに転職を意識するようになりました。
成果にこだわるなら「トップセールスになりたい!」と思ってコミットし、MVPを獲得したり、事業部でも500人中1位になったりました。高い目標を達成することも、人材という仕事もやりがいがあったのですが、「あれ? 私どこに向かっているんだろう」と疑問を持つようになったんです。
ビジネスをするうえで「人」が大事なのは理解していたんですが、このまま人材業界にいることに何となく違和感を覚え、転職活動を始めました。
当時は「人事として転職したい」と考えていたんですが、同時にしっくりこない気持ちもあって。ちょうどその頃、お客様にNewsPicksのジョブオファー(※)を提案したら、ものすごく珍しい職種の採用に成功したんですよ。 これをきっかけにNewsPicksに興味を持って、ユーザベースに応募しました。
NewsPicks ジョブオファー:2016年4月スタート。企業ブランディングとリクルーティングの両方を実現し、既存の採用手法では出会えなかった転職潜在層にダイレクトアプローチできるツール

私はもともとメディア業界に興味があって、雑誌の編集者になりたかったんです。ただ、いろいろ話を聞いていく中で自分に合っているのか自信が持てなかったというか、新卒の就活のときは、そこに身を置く意思決定はできませんでした。
それでも「いつか人に何かを伝える仕事がしたい」と考えていたので、NewsPicksでそれに挑戦したいと思ったんです。
「人事で転職」というこだわりが吹っ切れたのは、転職活動中に「自分が会社や事業のことを実際に知らないと、人事はできないな」と感じたことがきっかけでした。
私は手触り感あるリアルな経験を積むことが好きなので、そこから何かを始めたかった。事業・サービスの解像度を高めてからでないと、私がなりたい人事になるのは難しいのではないかと思いました。
ユーザベースの面接を受けたとき、佐久間さんが人事で転職した場合とそうでない場合を比較してアドバイスしてくれたことも大きかったですね。
そうしたこともあって「NewsPicksだったら人事にこだわらず、何でもいい!」と思って応募したんですが……最初に配属された先はSPEEDAでした(笑)。
選考中にSPEEDAポジションになることは伝えられており、納得の上で入社意思決定しています。
人と人をつなぎたくてNewsPicks Creationsへ

NewsPicks Creationsで、地域×共創コミュニティを軸に事業をつくっています。地域に対するアプローチとしては、広告だけに依存しないメディアを北海道上川町とチャレンジしています。具体的にはプロジェクトと共創コミュニティのプロデュースと伴走支援ですね。現在はさらなるマネタイズができるスキームをどうつくるか、模索している最中です。
ただ、共創コミュニティは熱量を維持しながら共創構造をつくり続けることがとても難しくて。特に伴走支援型だとものすごく工数がかかるので、サステナブルな方法でやらなければ、複数のコミュニティを並行して運営するのは難しい。それをプロダクトで解決することはできないかも検討しながら進めています。

まずSPEEDAに配属されて、半年ほどしてFORCASが立ち上がることになったので、初期メンバーとしてセールスを担当しました。
「FORCASという事業を立ち上げるんだけど、やってみる?」と言われて、そんな機会が目の前にあるならやってみようかなと。ワクワクすることに出会える機会ってそんなに多くないと思うんですよ。自分が「やりたいかも」と思ったら、やったほうがいいなって。
FORCASでセールスに2年ほど携わっていたところ、前任者が異動するタイミングで人事を担当することになりました。
当時、田口さん(田口 槙吾/現FORCAS事業CEO)と1on1をする中で、定期的に今後のキャリアについての話をしていて。「コミュニティをつくるのが好きだから、コミュニティの軸で新しいポジションをつくる」 「ユーザーに徹底的に向き合うカスタマーサクセスをやる」「人事をやってみる」の3つを選択肢に挙げていたら、人事の前任者の異動があったんです。
それまで新規事業の立ち上げで、組織カルチャーをつくることに強い思いを持って取り組む中で、事業をつくるには人やカルチャーが大事だと痛感していました。一度そこに振り切って経験を積んでみたら違う景色が見れるかな? という気持ちがあって、人事に携わることになりました。
でも最初の半年くらいは全然結果が出せなくてつらかったですね。佐久間さんや田口さんには毎週1on1で「なんで採用できないの?」と言われて、悔しくてオフィスで号泣したこともあります(苦笑)。
そのとき自分の中で変えたのは、「つらいときは誰かに頼る」ということ。あと「やれることはとにかく全部やる」。どんな打ち手が当たるかわからないので、スカウトや採用のための会社紹介資料をつくる、noteを書くなど、とにかく考えられる打ち手は全部やりました。
佐久間さんと田口さんにはたくさんの成長機会をもらい、とても感謝しています。カオスすぎることばかりでしたが、それが楽しかったですね。FORCASの初期メンバーとして参画し、事業拡大するフェーズまでを経験できたことは、キャリアの中でも大きな財産です。
FORCASからINITIAL、SPEEDAと、SaaSカンパニー(当時)の採用リーダーを務めたときに、次はNewsPicksにキャリアが広がっていくだろうと思ったんです。そうなるとどうしても事業のリアルを知りたいと思う気持ちが湧くんですよね。
SaaSは管掌範囲が広いけど、自分がビジネスサイドで経験があるので、解像度はある程度あります。でもNewsPicksはビジネススキームが違うから、わかるようでわからないことがたくさんあるだろうなと思いました。
このまま管掌範囲を広げるのは何か違うなというモヤモヤがあったのと、もうひとつは、事業をつくるのはやっぱり楽しいんです。うまくいかないかもしれないけど、ヒリヒリする中で挑戦する毎日が楽しい。ビジネスサイドでまたチャレンジしたいと思う自分がいたんです。
たまたまそのタイミングで、NewsPicks Creationsの同世代メンバーと話したことで興味が湧きました。
FORCASにいたとき、ユーザーコミュニティの経験が大きく影響していて、私は人と人をつなげることが好きなんだなと。誰かと出会うことや何かを知ることで人生は変わると思っていて、可能性やきっかけをたくさん生み出せるNewsPicksって、手前味噌ながら可能性がまだまだあると思いました。だったら、そこで何かやりたいと思ったんです。
でも異動は大変でしたね。事業をまたぐ異動だったので、評価者も変わるし、共に仕事する仲間も変わる。 共通のThe 7 Valuesはあったとしてもカルチャーは多少なりとも違うんですよね。

ユーザーに徹底して向き合っている「つもり」だったと思い知らされた
「ユーザーと徹底的に向き合うこと」ですね。私、ユーザーへの思いがものすごく強いんです。前職でも単に成績で一番になりたかったわけではなくて、目の前のお客様である人事担当者が評価されることと、新しい人材が入社することで事業や会社が成長していくことにやりがいを見出していました。とにかくユーザーとともに同じゴールに向かって本気で取り組み、一緒にゴールを達成していくことが好きなんです。
FORCASでユーザー会を開催することになったときも、自らオーナーになって企画しました。初回20人くらいだった参加者が回を重ねるごとに増えていって、手応えを感じていました。
でも何度目かのユーザー会のとき、いつものようにメンバーの合意も取りながら進めていたにもかかわらず、ユーザー会が終わった後に佐久間さんから思い切りダメ出しをされてしまったことがあって。
ものすごく思い入れをもって取り組んでいたユーザー会なのに、ユーザーに最高の体験を届けられていなかったのだと気づかされました。手を抜いているわけではないけど、たしかに150%、200%の成果にコミットできていたとは言えないなと。
こんなにお客様のことが大好きなのに、「なんで自分はやり切ることができなかったんだろう」と振り返りミーティングで号泣してしまいました。突き詰めてコミットできていなかったかもと思うと、本当に悔しかったんです。
言われてみればたしかに、もっとこうできたんじゃないか、出しきれなかったな、こうすればよかった、みたいな思いがあるんですよね。もっとユーザーに向き合って、徹底的にこだわればよかったと。
これがきっかけで、スイッチが入りましたね。当時もものすごくユーザー体験について考えてはいたんですが、それ以降、ユーザーがイベントに来てから帰るまで、どんな体験をして、どんな気持ちで帰ってもらうか、より深く想像するようになりました。
熱量はあったけど、ユーザーへの向き合い方が足りていなかったなと考えるきっかけになりましたし、JJ(酒居 潤平/現ユーザベースCMO)が入社したことで、さらにそこに磨きをかけていくことができました。この経験は、現在の共創コミュニティづくりの仕事にも活きていると思います。

自分の想像以上を思考して、全力で取り組む
全部好きなんですが、敢えてひとつ挙げるなら「創造性がなければ意味がない」ですね。さっきのユーザー会もそうですが、自分が想像する「これくらい」じゃなくて、もっと上を想像して、できることを最大限やり抜く。
企画するときに、楽しそうと思えるコンテンツを200%を妄想して、その中で「さすがにこれは無理だな」と思われるものを削除して、150%、120%くらいの現実と理想のバランスが取れるところをまずは全力で頑張る。その積み重ねによって創造性が磨かれてアウトプットの進化につながるなと。

情報や出会いを、多くの人に届けたい
これまで異動するたびに職種が変わってきたんですが、そのたびにものすごく遠回りしている気分になることもあります。そういうときは「小田切香澄」としてどういう生き方をしたいのか、考えるようにしています。
なぜNewsPicksに異動したかったのかを考えると、「情報や出会いを人に届けたい」という気持ちが根本にあるから。そうした思いは、高知県の実家にいるときに母親が突然病気で亡くなって、自分がうつ病を発症して、拒食症になって「もうこれで終わりだな」と思った経験に基づいているなと思うんです。
そんな自分のターニングポイントになったのが、大学進学で山口に行ったときと、就職で東京に出てきたとき。このふたつが「ポジティブな自分」を取り戻した瞬間だったんですね。
東京の就活生と関係性をつくって、自分の考えの幅を広げて、前職でいろんな経験を経て、その中でNewsPicksに出会って。人材紹介の仕事をする中で世の中のことは結構知っているんじゃないかと思っていましたが、ユーザベースに入社してまだまだ知らないことがたくさんあるんだと知りました。
自分が見ているのは常に世界の一部であり、「何と、誰と出会うか」で人生は変わる。そういう実体験があったからこそ、全国のたくさんの人に「出会い」や「知る機会」を届けたい。毎日、一瞬でもいいからワクワクした気持ちで過ごしてもらいたいと思っています。

NewsPicksをもっと広く、多くの人に届けるような形をつくっていきたいですね。私たちのような経済メディアがいろいろな地域や人を巻き込んで、一緒に盛り上げていかなければと思っています。
さらに日本だけに留まらず、海外まで。日本のいろいろな可能性を発掘して、共創して、日本の外まで届けていく。そんなことができたらおもしろそうですよね。
NewsPicksに行きたくてユーザベースに入社したらSPEEDAに配属されて、FORCASの立ち上げをして人事もやって。一見何もつながりがないように見えますが、SPEEDAやFORCASでの経験がなかったら、いまNewsPicksのプロダクトや共創コミュニティのモデルづくりをする上でのいろいろな発想は出てきていないと思います。
あの当時、コミュニティやプロダクトについてを学べたし、事業をつくることはもちろん、成長する事業をつくるための組織カルチャーをどうつくるかも経験できました。そうした「リアルな体験」が自分の中にあるからこそ、今の挑戦があります。
自分の中で確信を持ってNewsPicksで共創コミュニティの仕事ができるのは、これまでの経験がつながった結果なんです。
編集後記
4年前にインタビューしたときはFORCASだったぎりちゃん(小田切のニックネーム/下記「関連記事」参照)。当時もでもユーザベースのカルチャーが伝わる話をたくさんしてくれましたが、今回も事業間をまたぐ異動という新たな挑戦について、たくさん語ってくれました。
インタビュー中ずっと笑顔で楽しそうに、でもまっすぐにユーザーの方々を向いているぎりちゃんの姿勢、まさに「ユーザーの理想から始める」を体現していてステキだなと思いました。次回はぜひ北海道上川町に取材に行きたいと思います!

