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首都圏の読者が70%のNewsPicksは、地域に価値を届けられるのか?

首都圏の読者が70%のNewsPicksは、地域に価値を届けられるのか?

今、ビジネス成功の舞台として熱い注目を集める「地域」。首都圏にないユニークな資源を保有し、新時代に求められる価値創出のフロンティアになる可能性を秘めています。

ユーザベースがマテリアリティ(重要課題)のひとつとして掲げる「誰もが経済を身近に感じられる社会」。この社会の実現の一手として、地域経済や地域で活躍しているビジネスパーソンにスポットをあてた活動を展開しているのがNewsPicks Re:gion(リージョン)です。

プロジェクトを通して、どのように地域と首都圏のビジネスの「越境」と「共創」を実現していくのか。首都圏の読者が70%(2022年4月時点)のNewsPicksで、Re:gion編集長を務める呉琢磨とメンバーの金田翔吾に話を聞きました。

呉 琢磨 

呉 琢磨 TAKUMA GONewsPicks Re:gion 編集長

Web広告編集を経て、老舗編集プロダクションにてカルチャー誌や実用書籍の制作を行う。独立後、経済誌・一般誌など多媒体に...

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金田 翔吾 

金田 翔吾 SHOGO KANEDANewsPicks Re:gion 事業開発

企業イベントや国際会議などのMICE誘致コンサル、国内外での大型カンファレンス・展示会主催経験を経て2022年1月より...

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目次

首都圏→地域ではない、双方向に知見を共有するの活動の始まり

まずRe:gionの取り組みを始めたきっかけと背景について教えてください。

呉 琢磨(以下、呉):
原点になったのは、2019年12月に大阪で開催したイベント「WestShip」です。西日本に縁のある日本を代表するビジネスパーソンを集めて「西から日本を率いるために何が必要か」といったことをテーマに議論をしたイベントです。

このイベント自体は、東京中心で利用されているNewsPicksを、より多くの地域の方々にも知っていただきたいという想いから開催したものでした。また、NewsPicksの広告事業のクライアント企業からも「地域にリーチしたい」「地域でブランディングをしたい」といったニーズがあったことも理由のひとつでした。

2021年のWest Shipにて、落合陽一氏×豊田啓介氏をゲストに万博を控える大阪・関西の成長戦略を議論

イベントを経て、なぜRe:gionが立ち上がったのですか?

呉:
実はそれほど簡単な流れでもなくて、現在のRe:gionに至るまでに少なくとも2段階のステップを踏んでいるんです。

大阪で開催したWestshipは、大阪エリアのビジネスパーソンの方々から好評で、おかげさまで翌年、翌々年と年1回の継続開催ができるブランドに成長しました。

このイベントを通じて、東京で先進している大企業やスタートアップの新事業創出、組織カルチャー変革、その土台となる新しいテクノロジーを地域に持ち込む。その接点のような役割を期待されていますし、NewsPicksはそれが果たせるメディアだと思っています。

そこでWestshipを単発で終わらせず、大阪だけに留まらない地域への接点として継続していこうということで、地域イベントの母体となるプロジェクトとして「Re:gion」を2021年4月にスタートしました。それが福岡におけるイベント「NewEra, NewCity」をはじめ、仙台や名古屋など主要都市が主催するスタートアップイベントとの、コラボ展開につながっていきます。

2021年のNewEra, NewCity、ゲストの森岡毅氏と地域×マーケティングについて議論

呉:
ただ、その一方で、我々が展開するイベントの根底には「東京中心主義」というか、「先端的な東京の価値観を地域に広げる」という前提があることに、わずかな違和感を覚えはじめてもいました。

というのは、各地のイベントで出会う現地のイノベーターやキーマンの方々と話をするうちに、地域経済圏にはさまざまな課題がある一方で、東京とは異なる素晴らしい可能性があることを実感してきたからです。

その結果、Re:gionを「東京的な価値感」を地域に広げる一方通行的な取り組みではなく、逆に「地域の可能性」や「地域の豊かさ」を東京側にも広げていくような、双方向的な取り組みにしていきたいという風に考えるようになっていったんです。

平行して、Re:gionとして地域経済にフォーカスした取材記事を制作するために、いわゆる地方創生カテゴリに含まれる行政の取り組みや、有識者へのインタビューを繰り返してきました。対話やインタビューを重ねるうちに、私たちは地域にどんな課題と可能性があるのかを深く理解するようになっていきました。

そうして得たさまざまな地域の情報をNewsPicksで日々発信し、地域と首都圏のビジネスのキーパーソンをつなぐことで、地域課題の解決につながる本質的な価値を提供することができると確信したんです。

金田 翔吾(以下、「金田」): 
2021年は、WestShipに参加してくれた企業や地域のキーパーソンと関係性づくりに力を入れてきました。WestShipの参加者は数百人にも上ります。そこでは地域自治体、地方銀行、スタートアップなど、同じ地域内にいながら出会っていなかった人たちがつながったり、私たちが紹介した東京のベンチャーキャピタルと地域の企業の間に縁が生まれたりする場になりました。

呉:
活動を通して、出会いのきっかけを無数に生み出してこられたと思います。仙台でイベントを開催した時は、地域を超えて同じ課題を抱える人たちが一堂に介してセッションをしたので、参加者同士の仲が深まったという話もありました。

地域に「武器」を増やす活動でなければ意味がない

2022年5月、発足から1年を経てRe:gionはリニューアル。その理由は何ですか?

金田: 
NewsPicksのユーザーには事業をつくっていけるような人材がたくさんいて、地域から東京に出てきている人も多いんです。Re:gionのプロジェクトを通して、彼らの関心をもっと地域に向けて、地域で事業をつくるチャンスがあることを訴求していくことが地域経済にNewsPicksが貢献するひとつの形だと考えているんです。そう考えたことが、今回のリニューアルにつながりました。

呉:
コロナ前後から目立ち始めた新たなトレンドとして、成功したスタートアップの創業者や、才能ある若い起業家たちが東京を出て、「地域」にフィールドを持ち始めています。一方で、東京でハイエンドなビジネスを経験して地元に戻った後継経営者や、高い志を持ってあえて地域に飛び込んだ社会起業家など、新たな人材が「地域」に分散しはじめています。

彼らが新しい人流を呼び込み、新たな投資を呼び込んでいる。その流れを政府や行政も後押ししていることで、これまで分断していた地域経済のエコシステムが、大きく変革しつつある流れが来ていると思います。

この潮流をキャッチアップするためには、東京中心主義的な発想ではなく、むしろ「地域中心主義」的な発想で新しい展開をしていく必要があると考えました。そこでRe:gionをリニューアルし、組織や地域を超えて多様なステークホルダーの共創が生まれるプロジェクトとして再発進することにしました。

リニューアルにあたって、Re:gionピッカーを集めたのはなぜですか?

Re:gionピッカー:強い意思を持って地域に根ざし、地域経済の新たな可能性を開拓している全国各地のキーパーソンたち。2022年8月現在19名が就任。NewsPicksを通して日々、地域経済のリアルや地域での挑戦を伝えていきます。

呉:
取材やイベントを通じてお会いする地域の方々は、Will(意志や目的)をはっきり持っていて「自分はこの地域でこれをやりたい」とズバッと言える人ばかりなんです。こうした引力を持った強いWillに、首都圏のビジネスパーソンを巻き込んでほしいと考えていて。

地域の魅力を伝えるには時間がかかるけれど、伝わるきっかけになるのは「人」です。人生が変わるのって、誰かとの出会いによるものが大きいと思うんですよ。なのでRe:gionピッカーの存在を介して、都市部の人たちと地域との出会いの流れをつくっていきます。

NewsPicks的な視点でいうと、「成功のストーリーを多様化したい」というのもあります。

大都市圏都市部では、ハイスペック・ハイエンドなキャリアが良いとされる傾向があって、意外と「成功者」のバリエーションが少ないのではないかと感じています。

でも地域では、さまざまな基準や価値観で戦っている人たちが注目され、実際に活躍している。それをウェルビーイングや東京一極集中に対するカウンターとして提示できたら、都市部と地域間での人の流れやキャリアイメージのバリエーションが増せるのではと考えています。
 
金田:
これは僕の個人的な想いですが、Re:gionピッカーを可視化することで「こういう生き方もあるんだ」って若年層のユーザーに知ってほしいんです。僕らの世代は、東京に出れば何かあると思っていたけれど、今はむしろ地域に住んでいること自体がチャンスに溢れているというメッセージも伝えていきたいですね。 

地域に光をあて、「成功のオルタナティブ像」を描く

NewsPicksが、地域に提供できる最大の価値は何だと感じますか?

呉:
Re:gionはメディアを起点として、地域を問わず多くの人々が参画する活動体(コミュニティ)になりたいと思っています。

そのために、まずは各地域に点在するイノベーターに光を当て、「あの地域にはこんな面白いことをやっている人がいるんだ」ということを可視化するとともに、彼ら同士がつながるコミュニティをつくっていきます。

さらにそのコミュニティに、地域に関心がある大都市圏のビジネスパーソンや、地域への関与を模索している大企業などが加わってくることで、そこから新しいビジネスが生まれることはもちろん、都市と地域の新しい関係性をつくっていけるはずだと考えています。

地域のキーマンを取材していて印象的だったのが、「スタートアップは課題解決するために生まれてくるもの。でも、東京にそんなに多くの課題がありますか? 無理やり課題をつくってスタートアップにしていませんか?」という言葉です。

日本は「課題先進国」と言われていますが、それらの「課題」はまさに地域に集積しています。たとえば「大都市一極集中」や「人口減少」といった社会課題は、日本だけでなく世界中で多くの国々が向き合うイシューです。

解決されていない課題は、裏返せば事業創出の機会です。先進的な社会課題をビジネスを通じて解決することができれば、まさにイノベーションを起こすことができる。その主役となるのは、まさに地域のプレーヤーなのではないか。

だからこそ、私たちはまだ光が当たっていない地域のイノベーターに光を当て、そこで可視化された地域と、大都市圏のビジネスリソースをつなげていきます。その取り組みこそが、私たちが目指す「越境」と「共創」を本当の意味で実現していくと考えています。 

Re:gionの活動を通して「誰もが経済を身近に感じられる社会」をどう実現しますか?

呉:
大きなテーマですが、地域でチャレンジして成功する人を増やすことだと思っています。結局のところ、今は地域に希望を持つ人が少ないからどんどんと大都市圏へ人が流れていってしまうのでは。その結果、人口やマーケットは縮小して、各地で自治体存亡の危機が起きています。

そんな中で、新しい選択肢として「自分はここ(地域)でやるんだ」という人たちがヒーローになったら、地域で成功できる希望が生まれていきますよね。地域で新しいチャレンジをしようと、流入する人も増えるかもしれない。

こうした状況をつくることができたら、場所や環境に左右されずに「誰もが経済を身近に感じながら、ビジネスを楽しめる社会」をつくることにつながっていくのではないでしょうか。
 
金田:
改めて「地域でビジネスを身近に感じられる社会」って何だろうと考えると、地域資源をもっと生かして、事業がどんどん生まれていく世界をつくることだと私は思います。

そのためにも、先駆者としてすでに取り組んでいるRe:gionピッカーの活動を可視化して、大都市圏に固まっているビジネスをつくることができる人材とつなげて、地域の活動のうねりを大きくしていきたい。それが地域からビジネスを楽しめる世界につながっていくと信じて取り組んでいきます。

編集後記

「◯◯って東京じゃないとできないよね」地方で学生生活を送っていた私は、昔こんな話を良くしたな〜と思い出しながらインタビューをしていました。「都心でないと何かができない」もうそんな感覚はもったいないと、改めて感じさせられたインタビューです。

忙しい日々を送っている都心のビジネスパーソンにとって、可能性に満ちた地域経済に触れる時間はきっと、頭と心を柔らかくしてくれる楽しいひとときになるのではないかと感じます。

Re:gionの活動によって生まれる場所を越えた新しい人やビジネスのつながり。それがこれからどんな化学反応を起こすのかにワクワクしながら、活動を応援していきたいと思います。

執筆:関口 朗子 / 編集:杉尾 美幸 / デザイン:片山亜弥・杉野 亮

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