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メタ認知力を高め、自分の「動機の源」を知る──次世代向け社内イベント#2 リフレクション講座

メタ認知力を高め、自分の「動機の源」を知る──次世代向け社内イベント#2 リフレクション講座

ユーザベースはDiversity & Inclusion(以下、D&I)の推進を加速するためのコミットメントを発表しました。それに共感したメンバー発で生まれたのが、「Diversity Empowerment Community」です。

コンテンツ、メンタリング、産休・育休ハンドブック、次世代という4つのチームに分かれて活動しており、中でも次世代チームは四半期に1回程度のペースでイベントを開催しています。

初回となる前回は、折り紙やクレヨンで「未来のユーザベース」をコラージュするワークショップを実施。2回目となる今回は、昭和女子大学キャリアカレッジ学院長であり、NewsPicksのプロピッカーにも就任いただいている熊平美香先生をゲスト講師に迎え、リフレクション講座を開催しました。その様子をレポートします。

目次

リフレクションと対話でOSをアップデートせよ

個人をアップデートし続けるためには「リフレクション」と「対話」が重要であると熊平先生。「対話」は何となくわかるけど、「リフレクションって何?」と思った方も多いのではないでしょうか?

熊平先生によると、リフレクションとは「自己を客観的かつ批判的に繰り返す行為」を指すそうです。

OSのアップデート

物事に対して、これまで通りのやり方やモノのみかたを、そのまま適応するのではなく、批判的スタンスで、経験から学び、考え行動することが可能になります。(講座資料より)

「OSをアップデートする鍵は、自分の意見、経験、感情、価値観を客観視するメタ認知力」と熊平先生はおっしゃいますが、メタ認知ってなかなか難しいですよね……そもそもどうすれば高められるんでしょうか?

認知の4点セットでメタ認知力を高めよう

認知の4点セット

熊平先生のメソッド「認知の4点セット」を使えば、簡単にメタ認知力を高めることができるそう。

たとえば同じ犬を見ても、昔から犬を飼っている犬好きのAさんと、犬に噛まれて怪我をしたことがあるBさん(経験)とでは、抱く感情が異なります。Aさんはポジティブ、Bさんは「怖い」といったネガティブな感情が生まれやすいでしょう。

その根底にある価値観とは何か。例に挙げたAさんであれば「犬は可愛くて癒やしをくれる」、Bさんであれば「犬は近づくと危ない」といったものを指します。

つまり「認知の4点セット」とは、自分の判断や意見を、「意見」「経験」「感情」「価値観」に切り分けて可視化することなんですね。

Work:自分の動機の源を知る

「『動機の源』とは、やりがいを感じる理由であり、あなたを突き動かす大切な価値観のことです」と熊平先生。

たとえば仲間と一緒にプロジェクトを成功させたときも、嬉しい理由は人それぞれ異なります。

  • みんなと頑張れたことが嬉しい(共創・協創)

  • 他のチームに勝てたことが嬉しい(競争)

  • 計画通りに実施できたことが嬉しい(計画性)

などなど。

ココで1つ目のワーク。リストから自分にとって大切なキーワードを1つだけ選び、なぜそのキーワードが大切なのか振り返っていきます。

<キーワードの例>

  • 意味のある仕事

  • 決断力

  • 他者への影響

  • リーダーシップ

  • 変化と多様性

振り返りには、先ほど学んだ「認知の4点セット」を使います。

【経験】なぜそのキーワードが大切なのか、関連する過去の経験を思い出す

【感情】その経験には、どのような感情が紐付いているか

【価値観】そこから見えてくるあなたが大切にしている価値観は?

具体例として、熊平先生の「認知の4点セット」も提示され、参加した若手メンバーは黙々とシートを埋めていました。

ここで書いた「価値観」こそが、「動機の源」とのこと。なるほど!

ビジョンを形成する

自分の動機の源がわかったら、次はそれを元にビジョンを描いていきます。

クリエイティブテンション

動機の源に繋がる目的を持った時、人は主体的になり、能力は最大化します。深いリフレクションを通して、ビジョン(ありたい姿)と自己を突き動かす強い価値観(動機の源)を繋ぐことにより、クリエイティブテンションを高めることができます。

たとえばGoogle誕生は、

  • 現状=インターネットの検索順位は広告料で決まる

  • ビジョン=必要な人に必要な情報が届く世界をつくりたい

  • 動機の源=情報へのアクセスは民主的であるべき

と当てはめることができます。

WORK:リフレクションの共有

2つ目のワークは、ペアになって行いました。

以下5つからリフレクションのテーマを選び、まず1人で「認知の4点セット」を使ってリフレクションした後、その内容をペアで共有していきます。

【リフレクションテーマ】

  1. ビジョン:今の仕事を通して、何を実現したいですか

  2. 動機の源:自己の動機の源を、今の仕事にどのように活かしていますか

  3. 自分の強み:自分の強みを、今の仕事にどのように活かしていますか

  4. 新たな挑戦:今の仕事で、新たに挑戦していることは何ですか

  5. 将来のキャリア:将来のキャリアについてどんな夢やビジョンを持っていますか

ペアワーク後は「本日の一番の収穫は何ですか」というリフレクションを行い、ネクストアクションを決めて、講座は終了しました。

リフレクションについて詳しく知りたい方は、ぜひ熊平先生のご著書を読んでみてください!

リフレクション(REFLECTION) 自分とチームの成長を加速させる内省の技術

参加者インタビュー

記事後半では、この講座に参加してくれた若手メンバー3人に、講座の感想とその後どんな変化があったのかをインタビューしました。

【質問項目】
1)講座の感想
2)講座に出る前と後の変化があれば教えてください
3)講座後、どんな風にリフレクションを活用している?

NewsPicks 平野 佑樹

1)講座の感想

「何のバイアスもない純粋なリフレクション」ができたこと、「境遇の近いメンバーと価値観を共有し合う時間」に価値を感じました。

これまでにリフレクションをしたタイミングは、就活の時でした。当時は「リフレクション結果を自分の強みにつなげないといけない……」というゴールがある中での自己分析だったので、感情の制限やバイアスがかかってしまう、という状況になっていました。

しかし今回は、制限のかからない「純粋なリフレクション」をしたことで、より自分に向き合えました。

特に直感的に進められるワークだったのが良かった点です。ワークを通して、自分が大切にしている価値観とその原体験を探り、自分が何に動機づけされて行動しているのか、どういう状況であれば自分自身が楽しめるのかを認知できました。

またその価値観を、若手という同じ境遇のメンバー同士で共有し合うことで、普段できない深みのある対話を行えました。また、双方向のコミュニケーションだからこそ、否定やマウントがなく、興味を持ってお互いに深堀りし合うことができました。一緒にワークをしたメンバーは、今でもランチに行ったりする友人になっています!

2)講座に出る前と後の変化があれば教えてください

前後の違いは「今取るべきアクション」ではなく、「今取りたいアクション」が明確になったことです。

「リフレクションを通じたネクストアクション出し」と聞くと、どうしても「10年後の目標はこうで、3年以内に〇〇を達成すべきで、じゃあ今日からこんなアクションを取らないといけない」というように、論理的に整理するイメージがありました。

しかし今回は、アクション出しに関して「今興味のある挑戦は何?」や、「価値観に基づいてどんなアクションを取ってみたいか」など直感的なワークが多かったように感じます。

数年後の未来のことも頭に入れながらも、自分のwillに向き合えて、ワクワクできる挑戦を見つけ、お互いを応援し合うことができました。

3)講座後、どんな風にリフレクションを活用している?

何か出来事が起こったときに、まず自分の感情を振り返るなど、活用しています!(最大限は活用できていない気はしますが……)

今回は特に短期のリフレクションと、長期のリフレクションの違いを感じました。今回の講座と同じリフレクションを久しぶりに行ったのですが、期間を空けたからこそ自分の大きな変化に気づけました。1週間ごとにリフレクションをしていると、行動変容は起こせても、価値観の変化に気づけなかったように感じます。

小さな行動変容を起こすには、高頻度のリフレクションが向いていると思います。一方、価値観の変化を認知して大きな行動変容を起こすには、一定期間を空けたリフレクションも効果的だと感じます。

その点で今回リフレクション方法の新しい引き出しが増えたこと、リフレクションの使い分けを学べました。講座に参加して良かったです!

Corporate 堀池 宏音

1)講座の感想

これまで自己内省をすることはありましたが、ここまで構造化(「意見」「経験」「感情」「価値観」の4点セット)してやったことはなく、これまでフワッとやっていた自己内省のやり方を言語化していただけて再現性を高められた感覚があります。

リフレクション講座自体も単純に聞くだけではなく、実際に手と頭を動かしながらやったので、手法を学ぶというだけでなく、体験できたことが何よりも良かったと思います。

加えてそのリフレクションの結果を共有し合えたことも、とても良かったです。単純に自分の価値観を言葉にするというステップが増えましたし、その手法を試す機会があったためその時間内に体得できました。

また他の同世代の価値観を知ることで、逆に自分の価値観を客観的に捉えることもでき、自分の思考の特徴、価値観を理解するきっかけにもなりました。

個人的には、それまでユーザベース内で同世代と横断的なコミュニケーションを取ったことがなかったので、単純に同世代の話を聞くことができただけでも、刺激がもらえる、とても価値がある時間でした。

2)講座に出る前と後の変化があれば教えてください

僕はそれまでこの4点セットの「感情」レベルまでしか深堀れておらず、根本的な価値観がなんなのか、うまく言語化できていなかったところがありました。「価値観」と「感情」をごちゃ混ぜにしており、正確に自分の価値観を捉えられていなかったとも言えるかもしれません。

ただ、こうやってリフレクションに際し、何と何が結びついていて、それぞれ何を明確にしているかが構造化されることで、一番の動機の源泉であるクリエイティブテンション(価値観)を正確に握ることができるようになったと思います。

あとはこのようなリフレクションに対する捉え方ですね。これまで就活など節目節目で内省する機会はありましたし、逆にいうとそれくらいしか必要性を感じていませんでした。しかし、講師の熊平先生が「OS」と呼んでいらっしゃるように、セルフケアの重要性が高まる中で、リフレクションはまさに「自分をコントロールする土台」となるものだとワークを通して実感しました。なぜ自分がこう思うのか、常日頃から言語化する必要性を感じるようになったのが変わったことかなと思います。

3)講座後、どんな風にリフレクションを活用している?

講座を受けた当時は、インターン生(学生)でした。今社会人になって、周囲の変化や、任せられる仕事も増えたことにより、感情の起伏が大きくなっていると感じています。そんな中で、認知の4点を意識して言語化することで、少し気が楽になる場面や、次へのアクションを考えられるようになったのは、リフレクションを学んで生きていることかなと思います。

ただ日々の業務の中で、その武器を出せるかどうかは自分次第で、まだまだ取り扱いきれていないところも多々あるのは事実です。でもこれも繰り返しやっていくことで体得できると思うので、認知の4点セットとともに自分の価値観を言語化することは続けていきたいなと思います。

総じて熊平先生のリフレクション講座は、今後の社会人生活に活かせる術を学ぶことができた貴重な時間となりました。また若手同士でリフレクションを通して相互理解ができる場があれば参加したいなと思います!

NewsPicksインターン生 小野 詩歩

1)講座の感想

今回の講座では、「自分が最も大切にしているものは何か」という問いへの答えを見つけることができました。私は「自由」が大切なキーワードだったのですが、なぜそれが自分にとって大切なのか、その裏付けとなる経験は何かなどについても対話をする中で深く知ることが出来ました。

また、今回のワークショップを通じて「対話」について学ぶことが出来たのも良かったです。ここで学んだ対話の極意を日々のミーティングや、友人との会話でも実践しようと思いました。

2)講座に出る前と後の変化があれば教えてください

(1)で回答したように、講座を通じて自分の大切な価値観に気づくことができたので、「いま自由な状態でいられているか」のような形で「自由」という自分の軸を作ることができました。

最近、勝手に自分に言い訳をして諦めていた目標があったのですが「自由な自分でいるために挑戦してみよう」と思い、目標に挑戦することを決めました。

3)講座後、どんな風にリフレクションを活用している?

この講座の後も、イベントで知り合ったメンバーや同じ部署のメンバーとリフレクションを実践してみました。リフレクションを通じて、自分や相手に対して新たな気づきを得られたので、すごく楽しかったです!

それに加えて、私は日記を書く習慣があるのですが、リフレクションを経験してからは客観的な視点で日々のアクションを振り返るようにもなりました。私はどうしても主観的なものの見方が強くなってしまうので、訓練の意味も込めて実践しています。

終わりに

3人の話を聞いて、今でもリフレクションを活用していることを知ることができ、嬉しかったです。就活当時の内省と結びつけるメンバーもいて、なるほど確かに似ているかもと思いました。

最後に、次世代チームのリーダーを務める渡部に、なぜこの講座を企画したのか聞いてみました。

この2年、リモートワークや事業拡大に伴い、メンバーの横断的関わりはどうしても薄まってしまいました。 私たちは、こうした場を通して、未来の事業を担う次世代が主導する「One Uzabase」の実現を目指しています。 若手向けイベントの2回目となる今回は、自分自身や同世代とじっくり向き合う、静かだけどダイナミックなワークショップを企画しました。2時間の中で、自分の価値観を認識し開示する、仲間の見えている景色を体験する。 終了後、みんなの背負っていた荷物が軽くなり、穏やかな表情を見ることができた気がしました。また一つ、みんなの距離が近づいた企画になっていたら嬉しいです!

今後もD&I Empowerment Communityでは、ユーザベースメンバーがD&Iを考えるキッカケになるようなコンテンツやイベントを企画していきます。

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