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エキスパートネットワークの業界スタンダード構築に挑む ── MIMIR Corporate Division

エキスパートネットワークの業界スタンダード構築に挑む ── MIMIR Corporate Division

ユーザベースグループのさまざまなチームを紹介するシリーズ、今回はMIMIRのCorporate Divisionをご紹介します。多岐にわたる業務を担当するコーポレート部門のやりがいや、チーム内外のコミュニケーション、今後目指していることなど、Divisionリーダーの開田康志に話を聞きました。

目次

MIMIR Corporate Divisionってどんな仕事?

MIMIR組織図
まずは業務内容について教えてください。

開田 康志(以下「開田」):
文字通り、MIMIRという組織全体のコーポレート業務を担当しています。大きく分けるとファイナンス、リーガル、セールスオペレーション、システム、総務・人事労務の5つです。とは言えまだ人数が少ないこともあり、たとえばファイナンス、リーガルや労務についての一部業務はユーザベースにお願いしています。

開田さんはSPEEDAからの転籍組ですが、それは自らの希望で?

開田:
そうです。きっかけは、2020年に米国のエキスパートネットワーク企業であるGlobalWonks社(現 Enquire)との資本・業務提携にかかわったことですね。

主に事業提携契約をまとめるところで携わったんですが、無事に契約が終わってからも、事業を伸ばしていくにはエキスパートネットワーク事業や、同じく2020年にユーザベース子会社となったMIMIRについて、もっと理解する必要があるなと感じたんです。ちょうどその頃、MIMIRのコーポレート部門は人材が不足していて、まるっとやれる人を探していたので、ぜひやりたいと言ってジョインしました。

かなり業務の幅が広いんですが、開田さん自身にとって専門外の業務はなかったんですか?

開田:
前職で事業会社への出向でミャンマーへ行ったとき、MIMIRより人が少ない環境でコーポレート機能を立ち上げたこともあったので、「全く知らない」という分野はないですね。

ただ私自身の本当の専門は、事業開発・M&Aなどの業務。1社目の総合商社でずっとやっていました。もちろんその中で契約とか予実管理とか、不可分な業務もありますが、何が専門? と聞かれたらそのあたりですね。

現在約70人の組織が、2022年末までには一気に100人を超える規模になるMIMIRですが、そうなるとCorporate Divisionも増員が必要ですよね。

開田:
そうなんです。SPEEDAとMIMIRのSalesforceを連携させるプロジェクトなど、やりたいことがたくさんあるんですよ。セールスオペレーションも、これからエキスパートの人数が一気に増えてくるので、それに対応できるようにするためにも増強が必要です。

リーガルにも、コンプライアンス業務の経験者がほしいです。現在、白坂さん(白坂 守/ユーザベース Legal and Risk Management Division所属)と私でほぼ全ての契約書やコンプライアンス相談に対応していているので、さすがに追いきれなくなってきており、サポートしてくれる人がほしい。

コンプライアンス相談って、たとえばどんなものですか?

開田:
エキスパネットワーク事業って、端的にいうとデータベースに登録されたエキスパートを紹介するビジネスなんですが、安全性がきちんと担保されていることが非常に重要なんです。

特に重要なのは機密情報と競業避止です。お客様が相談した際に、話した機密がちゃんと守られているかどうか。逆にお客様側にとっても、「本来知り得ないはずの機密情報」をエキスパートから伝えられることもリスクになります。こういうことをしてしまうと、エキスパートネットワークサービスは成り立ちません。何が機密情報にあたるかを理解した上で「これは言える、これはダメ」と分けて話すことが重要です。

競業避止というのは、たとえばある企業が話を聞きたいと思ったときに、その企業にとっての競合企業の人を紹介しないようにすることです。エキスパートの多くは、所属会社の雇用契約上で競合の手助けをしてはいけないというような制約があります。そうした制約のない人たち同士をマッチングして、お客様、エキスパート、所属企業間でトラブルのない、安全性の高いサービスを提供しています。

とはいえ実際はこれらはすごく難しい論点でして、OK/NGと単純に割り切れるものばかりではありません。問い合わせがきたら、背景やエキスパートのステータス、お客様が聞きたい質問内容などを細かくチェックしたうえで、サービス提供者の立場からストップをかけるのか、紹介するのか、を判断しています。

問い合わせというのは社内から?

開田:
そうです。エキスパートとのマッチング業務を行っているリサーチチームから「どう思いますか?」という感じで相談がきます。資料に目を通して、議論して、その場でとりあえず方向性を決めて進めます。

さすがに私たちだけでは全ての相談を受けられないので、リサーチチームのメンバー向けのトレーニングを行うなどして、1次判断まではリサーチチームのリーダー陣にお願いしています。私たちが行うのは2次・3次判断が必要な難しい案件です。

「知見」を扱うビジネスをしている以上、コンプライアンスは絶対に疎かにできません。実際、エキスパートネットワーク事業で先行するアメリカでは、コンプライアンスが問題になった前例もあります。私たち自身の手でこの業界を壊してしまわないよう、細心の注意をはらう必要があると思っています。

この仕事のやりがいはどんなところですか?

開田:
自分たちで業界のスタンダードをつくっていけることですね。私たちがいる事業や市場は、日本では本当に始まったばかり。成長市場ならではの、いろいろな論点が出てきます。たとえば計上の仕方1つや先ほどのリーガル論点など、絶対の正解がないものが多いんですね。

今はそれらを試行錯誤しながら形にしている段階ですが、今後、私たち以外の企業もこの業界に参入してきて市場が形成されていくはずです。そうなったときに、私たちがつくり上げた形が業界のスタンダードになっていることを目指しています。

また、1人ひとりが見ている領域がすごく広く、1つの業務を回すというよりは広範なコーポレート領域を見ることができる点も、貴重な経験だと思います。

チーム内外のコミュニケーション

Division内ではどんなミーティングが行われているんですか?

開田:
週2回、30分間の定例ミーティングがあります。特にこれといった議題がなくても集まって、雑談も含めて会話するようにしています。それに加え、週に1回私とメンバーとの1on1を行っています。

メンバー同士でも適宜1on1をやっているので、週次ミーティングと1on1、個別のアジェンダに応じたミーティングを合わせると、全員が2日に一度は話していることになります。お互いが今何をしてるかは、大体把握できている状況です。

1on1で気をつけていることはありますか?

開田:
みんながどんなことを課題にしているかを知りたいので、極力自分が話さないようにしています。でもそうするとあまり話してくれないケースも少なくないので、そうなった場合は自分から問いかけるようにしていますね。

1on1は本当に難しいなと感じます。日々の業務の進捗を確認するか、そこからは離れて中長期の目標について話すのか、それによって話す内容も全く違いますよね。相手のほうから「これについて話したい」と言ってくれるとすごく嬉しいですね。

Division外の人と定期的に入っているミーティングは?

開田:
戦略や予算の話は全社のリーダー陣が集うミーティングなどで話していますし、リーガルやシステムなどの定例ミーティングもあります。リーガルの人だけとかシステムの人だけという感じではなく、関連する業務を持っているなど、その分野に深く関わっている人や知見のある人たちが横断で参加して、意見を交わすイメージです。

すごく柔軟な会議体系という印象ですが、今後規模が大きくなっていっても今のやり方を継続していきますか?

開田:
感覚値ですが、100人まではいけるんじゃないかと思っています。でももっと大きくなったら分からないですね。組織の透明化はまだまだこれからという感じです。だからこそ、一緒に組織をつくっていきたい人に仲間に加わってほしいと思います。新しい意見はとにかく大歓迎。「なんでそんなことを言うの?」みたいな雰囲気は一切ありませんから。

チームで挑戦しているイシュー

Divisionとして目指していることを教えてください。

開田:
やりがいの部分でも話したように、私たちがいる市場はまだまだ歴史が浅いので、これを成長させて大きく育てていくことですね。まずはそれが絶対的に必要です。そのための経営基盤をしっかりつくっていくことについては、まだまだ足りていないのが現状です。

その先にあるのは、MIMIRとしてのミッションである「経験知に価値を与える」の実現です。さまざまな人の中に眠っている知見を世の中に解放して、1人ひとりがもっと生き生きと活躍ができる世界を目指しています。

そのために、組織メンバーに求めることは?

開田:
いわゆる「普通の会社員」にはなってほしくない、というと語弊があるかもしれませんが、「知見を持っている人」と呼ばれるようになってほしい。なぜなら、私たち自身が事業としてエキスパートというものを扱っていて、「知見を持っている人」の存在を重要視するビジネスをしているからです。

「自分はこの分野でエキスパートになる」と考えてキャリア形成を目指し、組織のダイナミズムを求める人がいいですね。

逆に「会社が自分のキャリアプランを描いてくれる」、「会社に専門性を与えてもらえる」みたいな考えの人は合わないと思います。

ユーザベースと同じく、MIMIRにも個人のWillを尊重する文化があります。でも全員が自分のWillをすぐに言語化できるわけではありません。私自身もそうでしたが、いろいろな経験を重ねて初めて言語化できるものでもあると思います。みんな「Willは大事だ」ということ自体は理解していても、「私はこうなりたい」とすぐに言えるようになるわけではないですし、そうなっていないといけないとも思いません。

メンバーのWillや強みを引き出すことも、Divisionリーダーである開田さんにとってのチャレンジ?

開田:
もちろんです! コーポレートって、基本的に黙っていても仕事が振ってくるじゃないですか。だからこそ「スーパーオペレーター」みたいな人は生まれやすいんだけど、突き抜けてワクワクする仕事をしている人はまだまだ少ないと思うんですね。そのためには、やはり自分から大きな変革を起こしていくとか、挑戦を引き出すような仕掛けをつくっていく必要があると思います。

執筆:筒井 智子
Uzabase Connect