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多様な強みをもつメンバーがいるからこそ、組織で補完関係が生まれる──SPEEDA China Consulting Service Team 楊潔

多様な強みをもつメンバーがいるからこそ、組織で補完関係が生まれる──SPEEDA China Consulting Service Team 楊潔

ユーザベースはDiversity & Inclusion(以下、D&I)の推進を加速するためのコミットメントを発表しました。それに共感したメンバー発で生まれたのが、「Diversity Empowerment Community」。女性管理職比率が27%と、全従業員における女性比率43%にまだまだ乖離があるユーザベースには、ジェンダー問わず「本当はリーダーになりたい、でも一歩踏み出せない」というメンバーが少なからずいることがわかってきました。 

そこで、ユーザベースの多様なリーダーに光を当てる企画、「Diversity Empowermentシリーズ」をスタート。社内外で迷っている人を「このスタイルならできるかも!」とそっとエンパワーします。10+αの質問から、新たなリーダー像を探っていきます!
 
第9弾は、SPEEDA ChinaでConsulting Teamのリーダーを務める楊潔が登場。入社前からリーダー職に憧れを持っていたという楊に、実際やってみてどうだったのか、さらに海外メンバーから見たユーザベースのD&Iなどについて話を聞きました。

楊 潔

楊 潔Jie YangSPEEDA China Consulting Team リーダー

2020年6月SPEEDA Chinaに入社。
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目次

1. はじめてリーダーを打診されたとき、どう思った?

リーダーという仕事に憧れを持っていたので、素直に嬉しかったですね。私はこれまでアクセンチュア、PwCとコンサルティングファームでプロジェクト単位の仕事をしてきました。仕事は楽しかったけど、プロジェクトが終わるとせっかく育てた後輩とは別々のプロジェクトにアサインされることがほとんどで、離れ離れになってしまうんですよ。そうじゃない環境を求めてユーザベースに転職しました。

なぜリーダーに憧れを持っていたのかというと、アクセンチュアで働いていたとき、すごく良いリーダーに恵まれたから。彼は理路整然としていて、お客様とのやり取りもできるし、メンバーの育成もできる。さらに仕事だけでなく息抜きもうまくて、バランスがいい人だなって。後輩にも憧れられていて、彼のようなリーダーになりたいとずっと思っていました。

2. ユーザベースで実際にリーダーをやってみてどう?

実際にやってみて、すごく難しいなと感じています。プロジェクトベースの仕事は、短期的な目標(=プロジェクトのゴール)を立て、短期的に結果を出すことが求められるし、それを目指して取り組んできました。

でもSPEEDAはプロダクトベースで、いかにお客様の役に立ち続けられるか? といった中長期の目線も必要です。足もとの課題解決と中長期の目線、どちらも持っていなければならず、難しいなって。

実はアクセンチュア時代、働きすぎて体調を崩してしまったことがあったんです。そのとき改めて息抜きの大切さも分かったし、さっき話したリーダーに憧れました。

ユーザベースでも2021年は激務と言っていいくらい忙しくて、このままじゃダメだと思って。みんな仕事にやりがいと責任感を持って働いてくれているけど、働きすぎないよう適切にブレーキをかけることも必要だなと考えているんです。

自分にもブレーキをかけつつ、メンバーにも意識的にオフの時間をつくってもらうよう伝えています。

3. 何を大事にしているの? 仕事だけでなく、人生でも。

成功体験や達成感がすごく大事というか、それを追っているような感じです。今までは個人プレイで達成感を味わうことが多かったけど、SPEEDAに入社してからは仲間と一緒に成功体験を得たいという気持ちが強くなりました。

人生においては、社会に影響のある人になりたいと思っています。大学院時代、ジャーナリズムを研究していて、当時から「自分がつくり出した文章で、社会に影響を与えたい」と考えていたんです。SPEEDAはまさにそれができる環境なので、自分の人生のwillともピッタリ合っているなと感じています。

4. ワークライフバランスについて、どう考え、実践している?

平日は一切オフのことは考えず、仕事に没頭しています。逆に週末は完全にオフ。仕事のことは考えません。完全にやり切れているとは言えないけど、そういうメリハリのある働き方を目指しています。80%くらいはできているかな。

前職で働きすぎて失敗──体調を崩して、周りに迷惑をかけてしまった経験があって、働きすぎないようブレーキをかけなきゃいけないと自分でも分かっているんです。なので、仕事しすぎているなと感じたら、1〜2日休みを取るようになりました。もちろん、そのときは周囲への影響ができるだけ少なくなるよう調整しています。

できていない20%のうち10%は、お客様からのリクエストがあったら、できる限り対応したいと思っているから。残りの10%は、SPEEDA China全体の目標達成のために必要な案件が出てきたとき、その対応をするためです。

普段の仕事のやり方としては、安齊さん(安齊 朱晃/SPEEDA China Division Leader)から教えてもらったやり方を取り入れたこともあり、予め1週間の中で残業する日を決めています。私の場合は火曜と木曜に設定していて、この日は抱えているタスクをやり切ると決めているんです。

月曜と金曜は集中的にミーティングや採用面接を入れて、水曜はバッファ。残業してもいいし、早めに仕事を切り上げてジムに行ってもいい日、みたいな感じ。メンバーにも「曜日によってモードを使い分けるといいよ」ってアドバイスしていますね。

5. うまくいかなかったとき、どうした?

基本は2パターンかな。まずは周りに相談します。自分の中に答えはあるんだけど、何となく誰かに背中を押してほしいことってあるじゃないですか。正解を求めて相談するというより、私の気持ちを聞いてもらいたいというか。

相談する相手は上司ではなく、自分以外のチームのリーダーたちですね。セールス担当の舟橋さん(舟橋 純/SPEEDA China IS &FS Team Leader)や人事の馬さん(馬 雲川/SPEEDA China Culture and Talent Team Leader)、Business Developmentの宮内さん(宮内 匠/SPEEDA China BDT Leader)。私とは別の角度から「こういう視点もあるよ」って意見がほしいので、この3人に相談することが多いです。

お客様に関することなら舟橋さん。彼のチームがお客様と一番コミュニケーションを取っているからです。メンバーの育成や組織課題に関しては、馬さんに今までどんなパターンがあったか教えてもらうし、新しい業務をつくろうとして壁にぶつかったときは宮内さんに相談します。彼はユーザベース歴も長いし、新規事業の立ち上げに知見を持っているので。

宮内さんに限らず、みんな私よりSPEEDA歴が長いので、いつも適切なアドバイスをもらうことができます。すぐ頼れる状況なのはすごくありがたいですね。

リーダーのみんなに相談すれば80%は解決できるんだけど、残り20%は安斎さんに聞く必要がある場合。それがもう1つのパターンです。「自分は無理だと思うんだけど、安斎さんならどうしますか?」ってアドバイスをもらうイメージです。

6. メンバーと話すときに意識していること

2つあって、1つは「プロダクトありき」になっているか。前職のアクセンチュアもPwCもプロジェクトベースで仕事をしてきましたが、SPEEDAはコンサルティングファームとは違って、プロダクトありきがベースになっています。なのでメンバーと話すときも、プロダクトに還元できるか? を軸にしているんです。

もう1つは「コレは本当にお客様の役に立っているか?」を聞いています。SPEEDA JAPANと比べてChinaは人数も圧倒的に少ないので、プロダクトの理解が前提にあるだけでなく、お客様からのさまざまなニーズに応えていかなければなりません。メンバー本人のwillももちろん大事ですが、それがお客様のためになっているか? は必ず見るようにしています。

7. 1on1のときに気をつけていることは?

メンバーの数も少ないし、日常的にコミュニケーションをとっているので、頻繁にはやっていません。明確に1on1としてやるのは月1回くらいかな。その際は終わりの時間を決めずにやっています。基本的には金曜の17:00以降が多いですね。その時間であればお客様からの問い合わせも少ないし、自分も週末に向けてオフモードで本音が聞きやすいと思うので。

特にトピックがなければ10〜15分くらいで終わることもありますが、その1ヶ月間でモヤモヤしていることなどがあれば、お互いに納得できるまで話すイメージです。これまでだと入社して間もないメンバーと2時間やったのが最長かな。

入社したての頃って、自分の思いが溢れていると思うんですよ。私もそうでした。当時は「プロダクトありきだ」「お客様ありき」って誰も言ってくれなかったので、いま思うと空回っていた時期があったんです。メンバーには同じ思いをしてほしくないので、時間はたっぷり設けています。逆に入社歴の長いメンバーになればなるほど、30分とかでサクッと終わることが多いですね。

8. メンバーと意見が対立したとき、どうしているか?

いま話した1on1のやり方、宇佐美さん(宇佐美 信乃/元SPEEDA JAPAN執行役員)に相談してアドバイスをもらったやり方なんですよ。宇佐美さんからは、「とにかくメンバーとのコミュニケーション量を確保したほうがいい」って。

日本にはいわゆる「飲みニケーション」があるけど、中国にはそういった慣習がなくて……業務時間内に、飲みニケーションで会話するようなことを話さなきゃならないんですね。でもさっき話したように、2時間もあればお互いに不一致な部分、なぜ対立しているか見えてきます。

対立しているポイントさえ共有できれば、あとはどう解決していけばいいかアイデアを出し合い、腹落ちするところまで話すだけですよね。私がリーダーを務めるConsulting Teamのメンバーは、みんな業界レポートを書いているし、分析能力も高いメンバーなので、時間をかけて話せば分かってくれると思っています。

ただ、チーム内ではなく会社の方針などと対立するケースは、2時間では解決までたどり着かないこともあります。時間をかけて問題解決に向かっていこう、じゃあどうすればいいのか自分で考えてみて、と話すことが多いですね。自分が問題意識を持っているんだから、私や他の人の意見を使うのは違うよね、まずは自分の考えをまとめてみてほしい、そこから一緒に考えていこうって伝えています。

9. ユーザベースのD&Iについてどう思う?

めちゃくちゃやる意義があると思います! SPEEDA Chinaでは最近2021年4Q(10〜12月)のフィードバックをしたばかりなんですが、リーダーになってほしい人材も出てきました。彼らに「リーダーになるにはどうすればいいか意識してみてほしい」と伝えたところ、「給料は上がるけど、荷が重い」って言われてしまったんですよ……。

もちろん私からも「リーダーって楽しいよ」「達成感があるよ」って伝えています。でも身近な人に言われるだけでなく、いろいろなリーダー像を知ってほしいし、ユーザベースにはいろいろな人のエピソードを伝えてほしい。このD&I Empowermentシリーズも、まさにそうですよね。

冒頭で話した通り、私自身リーダーにすごく憧れていたものの、実際になってみたらすごく難しいと感じたんです。リーダーになるまで、メンバーの採用や育成、事業を大きくするにはどうすればいいか? みたいなことを考えた経験がなくて。だから「巨人の肩の上に立つ」じゃないですけど、私も自分より上のタイトルの人の話をもっと聞いてみたいなって思います。

10. D&Iを実践することのメリットは?

多様な強みをもつメンバーがいるからこそ、SPEEDA China全体として補完関係ができているんだと思います。他の専門家に頼らなくても、Chinaメンバーだけで網羅的にアイデアが集められるのは大きなメリットですね。

SPEEDAの機能の1つである「FLASH Opinion」も、1つの質問に対していろいろなアイデアを集め、お客様に提供するものですし。

とはいえ、ChinaにはD&Iのことをあまり意識していないメンバーが多いんじゃないかな。Chinaのメンバーにとって、ユーザベースで働くこと=外資系で働くことなので、多様なのが当たり前なんですね。なので、あえて意識していないというか。

多様性があるほうがいいとは思うけど、多様性「だけ」ではダメというか……リーダーが重要なのかなと思うんです。安斎さんがChinaのリーダーになる前、メンバーが多様であるがゆえに、アイデアが多すぎて「コレでいこう」って決める人がいなかったんですよ。

そういう「方針を決める人」──リーダーがいないと延々と物事が進まない、多様であることがデメリットになってしまうケースがあるのではと思います。「アイデアがたくさん出てくるのはいいよね!……で?」みたいな(笑)。

<私にとってのD&I>

THM(Town Hall Meeting/ユーザベースグループメンバーが一同に集まる会議)かな。ユーザベースのD&Iの話も、THMで知りました。THM、Chinaメンバーは時差もあって任意参加なんですよ。だから普段あまり参加していないメンバーも多いかもしれません。やっぱり日本とは少し距離を感じるところがあるのかな。

私は100%参加しているわけではないけど、稲垣さんや佐久間さんがメインで話す回は基本的に参加するようにしています。距離が離れているからこそ、自分たちの代表が今どんなことを考えているのかを知るのは、リーダーに限らず大切なことだと思うので、メンバーのみんなにもなるべく参加するよう促していきたいです。

執筆・編集:筒井 智子
Uzabase Connect