「誰もがビジネスを楽しめる世界」を探索するコーポレートマガジン
神輿を担ぐより、支える側でいたい──NewsPicks Creations 渥美奈津子

2021/09/24

神輿を担ぐより、支える側でいたい──NewsPicks Creations 渥美奈津子

ユーザベースはDiversity & Inclusion(以下、D&I)の推進を加速するためのコミットメントを発表しました。それに共感したメンバー発で生まれたのが、「Diversity Empowerment Community」。女性管理職比率が27%と、全従業員における女性比率43%にまだまだ乖離があるユーザベースには、Gender問わず「本当はリーダーになりたい、でも一歩踏み出せない」というメンバーが少なからずいることがわかってきました。 

そこで、ユーザベースの多様なリーダーに光を当てる新企画、「Diversity Empowermentシリーズ」をスタート。社内外で迷っている人を「このスタイルならできるかも!」とそっとエンパワーします。10+αの質問から、新たなリーダー像を探っていきます!

第3弾は、AlphaDrive / NewsPicks for Businessの渥美奈津子が登場。意外と寂しがり屋だと言う彼女は、最高のチーム・仲間といることを大切にしていると語ります。直近ではユーザベースグループ全社のセールスメンバーをつなぐ会を企画するなど、とにかく仲間を思う気持ちが強い彼女は、なぜそう思うに至ったのか。じっくり話を聞きました。

渥美 奈津子

渥美 奈津子NATSUKO ATSUMIAlphaDrive / NewsPicks for Business セールス

宮城県生まれ。法政大学卒業。2009年仙台放送に入社し、政治経済担当記者として報道に携わったのち、新規事業開発担当に。...

MORE +
目次

1. リーダーを打診されたとき、どう思った?

初めてリーダーを任されたのは前職のリクルートでした。当時まだ26〜27歳で、右も左もわからず「どうしよう!」と思ったのを覚えています。当時部下だったメンバーとは、仕事だけではなく人生相談に乗るような関係を築くことができました。同じチームのメンバーや一緒に働いていた周囲のメンバーが2人、いまNewsPicksで一緒に働いています。

NewsPicksでリーダーになったのは2018年頃。当時はまだ全員でセールスする野武士集団のような組織で、戦略もほぼなかったんですが、予算額の多いクライアントが増えてきたタイミングで、大手クライアント担当と新規開拓営業を分けることになったんです。

リクルートでのリーダー経験もあったので、当時の上司からユニットリーダーを任されました。その前からリーダーのような業務もやっていて、いずれはリーダーになってほしいと言われていたので、二つ返事で引き受けました。

2. NewsPicksで実際にリーダーをやってみてどう?

NewsPicksに入った当初はセールス手法が属人化していて、それを組織にしていく必要がありました。メンバーの管理や成長支援と同時に、仕組み化も進めなきゃいけなかったんです。いま振り返ればいい経験だったけど、当時は大変でしたね。

リクルートでは全社の方向性も決まっているし、ヨミ表などの管理手法も整っていたけど、ニューズピックスではそれをゼロから試行錯誤してつくる必要がありました。そもそも私がBrand Design Team(広告営業チーム)に入ったとき、セールス担当は2人しかいなくて、ヨミ会(進捗共有のミーティング)自体なかったんですよ。

その会議をつくるところから始めましたが、当時の先輩たちからは「なんでやるの」とか言われながら無理やり会議体をつくっていきました。

ルールはある程度つくらなきゃいけないけど、ルールにしたくない。そのバランスが難しかったですね。たとえば以前は値引き交渉は、各セールス担当の裁量でやっていました。でもそのままではダメ。どこで線引きをするかを考えるのと並行して、オペレーションチームとの連携や生産性向上も考えなければなりませんでした。

細かいことが苦手だというのもありますが、大量の仕事をこなしていたので、仕組み化しないと私が一番ミスしそうだったってのもありますね(笑)。

いま所属しているNewsPicks for Businessには、NewsPicksプレミアムやMOOC Enterpriseなど、いくつかの商材があります。今までは商材・サービスドリブンでセールスやマーケティングを行ってきましたが、クライアントの課題に基づき、複合的かつ一気通貫に提案できるようにならないといけないフェーズに来ています。

仕組み化は私のミッションではないけど、やらなきゃいけないと思っているので、今後提案していくつもりです。みんな良くも悪くもグチを言ってくれるんですよ。それを聞きすぎるのもダメだけど、その「不」を放っておくのもダメですよね。みんなをどうやって営業に集中させてあげられるか、考えていければと思っています。

AlphaDrive / NewsPicks for Businessに異動して、ニューズピックス全体をより俯瞰して見れるようになったと感じています。いまだにBrand Design在籍時のクライアントからもお問い合わせをいただくことがあり、今いるメンバーにつなぐこともできます。NewsPicksの商材とAlphaDriveの商材、どちらも提案できるのは強みだと思います。

最近SPEEDAのメンバーと話す機会が増えたんですが、SPEEDAにNewsPicksの法人プランの問い合わせが来ることもよくあると聞きました。まだできていないけど、他事業について問い合わせがあったとき、誰でも応えられるような状態にしたいと考えています。その第一歩として、ユーザベースグループ全社のセールスメンバーをつなぐ会も始めました。もっとユーザベース全体で一体感を持てるようにしていきたいですね。

3. 何を大事にしているの? 仕事だけでなく、人生でも。

2つあって、1つは「多くの経験を積むこと」です。私、幼稚園の頃からめっちゃたくさん習い事をやっていたんですよ。その中で、Aで習ったことがBでも活用できる、みたいなことが生まれる経験があって、ちょっとでも興味があったら手を出してみることを大事にしています。いつかどこかで繋がるかもしれないと思っているんです。

もともと趣味が多すぎると言われることがあるのですが、ゴルフ、フットサルもやるし、相撲もサッカーも、野球も観に行きます。最近はバスケに行こうと友だちと約束しています。趣味というより経験値を増やしたい気持ちが大きいんですよ。より多くのものを得られるといいなって。

もう1つは「最高のチーム・仲間といること」。意外と寂しがり屋なので、「この人たちといると幸せだな」って思える人たちと一緒にいたいんです。周りの仲間が困っていたら助けたいし、私が困っているときは助けてほしい。一緒に喜ぶのはもちろん、「ここが課題だったから、もっとこうすればよかったね」と素直に言い合えるチームが幸せだと思うし、そういうところにいたいですね。

自分がというより、みんなが活躍できるようにしたいと思っています。今のチームではリーダーではありませんが、役職問わず神輿に担がれるより、担ぎたいんです。

チームミーティングの様子

チームミーティングの様子

4. ワークライフバランスについて、どう考え、実践している?

新卒で入ったTV局の報道記者時代が、1番大変でしたね。24時間、常に臨戦態勢でした(笑)。その反動もあって、NewsPicksに転職した当初は、ワークライフバランスを考えていたんですが、今は「融合型」がいいのかなと思っています。

もちろんLV(ロングバケーション制度。年2回、連続5日間の特別休暇が支給される)はしっかり休みます。LV中にSlackとか返しちゃうと、他のメンバーが「自分も働かなきゃ」って思っちゃいますから。

でも自分的には、1日の中で仕事と遊びの時間が混じっているほうがバランスがいい感覚があって。午後半休を取って午前中に集中してメール対応するなど、仕事と遊びを分けすぎず、融合した時間の使い方をしています。

ただ、会社として課題感があるとしたら、夜遅い時間にSlackでメンションすべきか問題。コロナ下でプライベートとの境目なく働いてしまいがちだけど、自分で働く時間を決めたうえで反応しないことが大事です。私は結婚していないし、遅くまで働けちゃうけど、相手もそうとは限りらないですよね。お互いがどれだけ思い合えるかが大切なんだろうなと思います。

子どもがいて夕食後に戻るメンバーもいるけど、そうするかどうかは自由だし、遅い時間まで働くことが偉いわけでもない。みんながそういう考えのもとで働けるようになったら、メンションされた/しちゃったという意識はなくなる気がするんですよね。

LV中のメンション問題は、スマホからアプリごと削除する必殺技を使えばいいんです(笑)。本当にヤバいときはfacebookメッセンジャーとかで連絡が来ますから。

でもユーザベースグループは中途入社のメンバーが多いので、何時まででも働かなきゃって思っている人もいるんだろうなって。働く時間は自分で決めていいということが、どうやったら伝わるかなと最近よく考えています。

TV局で報道記者をやっていた頃は、最悪の場合、自分が報道しなかったら最悪人命に関わる可能性もありました。でもユーザベースでは自分の仕事で人が死ぬ可能性はほぼないと思うんですね。

だから無理しなくていいよって思うし、一度遅い時間にSlackを返してしまうと「その時間でも対応できる人」って勘違いされかねません。限界なら限界だと言ってほしいし、みんなが上手くバランスを取れるようになるといいなと思っています。

5. うまくいかなかったとき、どうした?

1人で考えていても答えが出ないので、たいていメンター的な人に相談します。ユーザベースでいうとFORCASの田口さん(田口 槙吾/FORCAS事業CEO)がそうです。たとえば「佐久間さん(佐久間 衡/Co-CEO)みたいな人を動かすには、どうしたらいいと思います?」とか気軽に聞ける存在ですね。数字管理や組織運営など、いろいろな相談に乗ってもらっています。

ただ、「田口さんが言ったから」という結論にはしません。あくまで決めるのは私。そうじゃないと後で後悔してしまうかもしれないから。ほぼ同期なんだけど、すごく大好きな先輩で、たくさんお世話になっています。

6. メンバーと話すときに意識していること

本音でぶつかってきてくれること、語ってくれることを大事にしています。「現場の声を聞きすぎる」「現場と近すぎる」みたいなことをフィードバックを書かれることもあります。それでも本音でぶつかってきてくれるのは大事ですね。

自分の部下に限らず、女性ならではの悩みを打ち明けてくれる人も結構多くて。たとえば「今の働き方を考えると、この会社にいて普通に子どもを育てることができるのか不安です」とか相談されたことがありました。その時にならないとわからないけど、まずはその準備で働きやすい環境をつくろうと思いましたし、そう言って労働時間の改善を勧めました。

相手が本音でぶつかってくれるから、私も本音で返す。それは常に意識しています。

7. 1on1のときに気をつけていることは?

まずは「相談したいことある?」ってところからスタートして、最近困っていることなどを聞いていきます。1on1は「Mustと本人のWillの結びつけを行いながら動機づけする」場、そして「自分では解決できなさそうだけど、言っておいたほうがよさそうなこと」を伝えてもらう場だと考えているんです。

Brand Designに在籍していたときは、メンバーと数字や営業活動の話はほとんどせず、「○○をやりたいって言っていたじゃん。それと今やっていることって、2年後どうやったらつながるかな?」とか、個人のwillと現在をつなぐような話をすることが多かったですね。

先日このD&Iシリーズに出ていた佐久間さんとも、月1回ペースで1on1をやっていました。彼は営業のプロなので、メンバーの育成課題を指摘してくれたり、組織視点の話をしたり。

異動してからは、数年ぶりにメンバーがいないので、今はだいぶ自由にやっています(笑)。先輩社員としての1on1みたいなことはやっているし、いずれは以前のような1on1もやることになるとは思いますが、今はAlphaDrive / NewsPicks for Businessのみんなのことを知るフェーズですね。

8. メンバーと意見が対立したとき、どうしている?

とにかく話し合います。Brand Designでユニットリーダーをやっていた頃、「渥美さんがやっている戦略会議は、戦略じゃないです」みたいにハッキリ言ってくれるメンバーがいたんですよ。そのときの事情や背景を伝えて、「じゃあどうやったらいいかな?」って率直に話し合っていました。

他のメンバーもいろいろ話してくれて、裏でグチグチ言われるより直接ぶつかってきてくれて良かったと思っています。良い意味で心理的安全性というか、「言ってもいいんだな」って思ってもらえている感覚があって。新卒のメンバーも「もっとこうしたらいいと思います」って言ってくれますし、みんな楽しいときは楽しい、大変なときは大変って言ってくれていましたね。

9. ユーザベースのD&Iについてどう思う?

難しいですよね……。そもそもの前提として、私はD&Iをほとんど意識していません。意識しないことが良いことだと思っています。

それには理由があって、私、ちょっと特殊な小学校に通っていたんですよ。東京でいうと歌舞伎町みたいなところにあって、2クラスしかないのに1年で25人転入して、25人転校するみたいな学校でした。スナックのママの子もいれば、東北大学病院の教授や医者の子もいる。でも誰もそのことを意識しないような環境で。

「やれることを一緒にやればいい」って方針の学校で、自分のアイデンティティみたいなものはそこで培われたと思っています。ブラジル人や中国人、韓国人、ハンガリー人も同じ学年にいたので、外国人だからどうとか、転入してきたからどうとか、そういった差別は自分の中にない。そもそも人種や性別が異なることを意識していないんです。

ユーザベースでいうと、Brand Designって実は女性が圧倒的に多いチームだったんですが、「女性が多い」と感じたことはありません。男女がお互いに性別を意識せず働ける環境っていうのが、ユーザベースの良いところだと思います。

「女子は女子らしく」みたいな扱いをされる会社って、日本にはまだまだありますよね。友人の会社では、女性だけが来客時にお茶を出さなきゃいけない慣習があるそうです。ユーザベースにはそういう差別は基本的にないです。出張のときに一緒にお風呂に入れない以外は(笑)、全部平等。「男だから」「女だから」みたいなことはないですね。

10. D&Iを実践するメリットは?

以前はスリランカオフィスのメンバーが来るなど、グローバルを感じる機会がありました。でも最近はコロナで来日が難しいので、ドメスティック企業感が出てきちゃっているなと感じています。特にニューズピックスはそうですね。

日本語が当たり前で働いているけど、そうじゃない人もいることを肌で感じる機会が減っているというか。無理やり英語を喋るのも違うけど、多様さを感じる・知る機会がもっと増えるといいなと思います。

障がい者雇用もしていますが、他人にわかりづらい障がいを持つ人もいます。その中で何ができるのかを一緒に考えていきたいし、それは相手にとっても良い機会になるんじゃないかな。何か限定された仕事を任せだけでなく、一緒に仕事を生み出すところまで考えたいですね。

障がいのある人や働く時間が限られている人に対して配慮することが、逆に差別になってしまうこともあります。状況が分かれば、ユーザベースのメンバーはみんなフォローしてくれるので、お互いのことをもっと分かり合えるようになるといいですよね。そのためにも、繰り返しになるけど、本音で話す、話してもいいんだよって思えることが大事なのかなと思いますし、これからもそういう環境をつくっていきたいです。

<私にとってのD&I>

そもそもD&Iを意識していないので難しいな……先日、サンリオピューロランドに「ハローキティ歌舞伎」を友人と観に行ったんですよ。昨年もチームのメンバーと行ったんですが、その中の1人が号泣していて「は?」って思って(笑)。でも今回その理由が分ったんです。

キティちゃんが鬼ヶ島へ鬼退治に行く話なんですが、「鬼が悪い人とは限らないじゃない! 鬼さんだって踊りたいの!」って一緒に踊るんですよ。決めつけはよくないなとハッとさせられました。めっちゃオススメです!

執筆・編集:筒井 智子 / デザイン:金子 華子
Uzabase Connect