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新聞でいうなら一面と速報を考える人──NewsPicksの顔をつくる編成(コンテンツ・キュレーション)チームの仕事

新聞でいうなら一面と速報を考える人──NewsPicksの顔をつくる編成(コンテンツ・キュレーション)チームの仕事

「経済を、もっとおもしろく。」をミッションとして掲げる、ソーシャル経済メディア「NewsPicks」。人々の発見と理解の欲求に応え続けるため、国内外の最先端の経済ニュースをタイムリーに厳選し、整理・発信しているのがコンテンツ・キュレーション(編成)チームです。今回はチームマネージャーを務める田井明子とメンバーの足立真莉に、仕事のやりがいや難しさ、ニュース好きが集まるチームの特徴、新聞社の経験を持つ2人が転職先としてNewsPicksを選んだ理由などについて話を聞きました。

田井 明子

田井 明子AKIKO TAI NewsPicksコンテンツ・キュレーションチーム マネージャー

NewsPicksコンテンツ・キュレーションチームのマネージャー。2003年に新卒で読売新聞大阪本社に入社し、記者と編...

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足立 真莉

足立 真莉MARI ADACHI NewsPicksコンテンツ・キュレーションチーム

2016年2月に読売プラスに入社。朝刊の編成業務を経験するも、もっと社会を知る必要性を痛感し、2017年7月にリクルー...

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目次

数ある中からどのニュースを大きく取り扱うかが腕の見せどころ

NewsPicksコンテンツ・キュレーションチームの仕事内容を教えてください。

田井 明子(以下「田井」):
まず、NewsPicksに掲載するニュースや、アプリユーザーに対してPush通知として届けるニュースを選定するのが重要な仕事です。日経新聞さんやNHKさんなどの国内メディアや、主要な海外メディアが大きく取り扱っているものだけでなく、今後話題になりそうな話題や問題を想定し、先んじて大きく扱うこともあります。このあたりの判断は腕の見せどころですね。

足立 真莉(以下「足立」):
NewsPicksは各分野の専門家である「プロピッカー」と、一般ユーザーであるピッカーが、自由にコメントできる仕組みになっています。基本的に私たちは黒子として、いいコメントや参考になるコメントをピックアップしています。これも仕事の1つです。コメントはニュースに対する理解を深め思考を広げていくことにもつながる、NewsPicksを構成する大切な要素。自分の知識を共有してくださるユーザーさんには、日々感謝の気持ちでいっぱいです。

田井:
新聞でいえば、一面から経済面、政治面、さらに社会面やスポーツ面など、ほぼすべての分野の記事の配置を決定する仕事、といえばわかりやすいと思います。NewsPicksは扱うテーマも幅広く、コメントも大切にしているので、対象となるニュースは膨大にあります。その中から何を選び、何を重要ニュースとして扱うか、最初はその判断がとても難しかったです。ただ、メイン担当とサブ担当による2人体制で進めるので、迷ったらすぐに相談できます。最終的にダブルチェックも行うので、徐々に勘どころをつかめるようになりました。

この業務は時間を区切って担当を決めているんですが、担当外のメンバーもニュースに気を配っていて、「この記事が入ってないよ」「速報で扱ったほうがいいのでは?」など、気づいたことはすぐにSlackで伝えるようなチームワークの良さがあります。

足立:
ニュース選定は今も難しく、自分としては「これが話題になる!」と思っても、実際は世の中の好みとズレていることも。新人のときに先輩からは「厳しいかもよ」と指摘を受けつつ、あえて挑戦してPush通知で届けたニュースがありましたが、結果はほとんどコメントが付かず……。ニュースは点ではなく、前後の流れを含めて把握していくことが大事です。経験を積んでいくにつれて、盛り上がりを予測して選定できるようになってきたかなと感じています。

編成チームならではの特徴や、メンバーの共通点などはありますか?

田井:
とにかく何をおいても「ニュースが大好き!」という人間の集まりです。そのレベルは、ツイッター廃人とも言えるくらい(笑)。以前、足立が「普段から情報収集がライフワーク」な人が編成に向いていると話していて、その通りだと思いました。実際に新しいニュースをキャッチアップしていないと気が済まない人ばかりですね。

足立:
仕事だけでなく、普段の雑談のネタもほとんどがニュースなんですよ。それぞれが自分の興味のあるニュースを共有したり、「あの動物園で可愛い赤ちゃんが産まれたんだって。癒しにどうぞ」なんてリンクを送ったり。すぐに他のメンバーから反応があるのが嬉しくて、お互いの好奇心を尊重し合っているのを感じます。

NewsPicks 足立真莉

経験よりも、「ニュース好き」の素養が大事

2人とも新聞社での経験がありますが、NewsPicksへの入社を決めた理由は?

田井:
新聞社では記者と編成部で仕事をしました。振り返ってみると、約1年という短い期間でしたが、編成部にいた頃が一番プレッシャーを感じず、楽しく仕事をしていたんですよ。編成は次々と決断が求められる仕事で、それが苦ではないタイプだったからかなと思います。

家族の転居を機に新聞社を退職しましたが、出産を経てもう一度働きたいと相談に行った人材紹介会社で勧められたのが、NewsPicks編成チーム(当時)の募集でした。元記者の経験を活かすライターの道しかないかなと思っていたので、こんな仕事があるというのは大きな発見でしたね。

当時NewsPicksはまだ社員数も少ない頃で、いきなり社長面接だったんですよ。めちゃくちゃ緊張したのは、今となってはいい思い出です(笑)。魅力を感じたのは、オープンコミュニケーションのカルチャーです。もともと率直にしか話ができないタイプで、面接でも社長に「経済には強くない」と正直に伝えたんですが、それも受け入れてもらえました。現在もありのままの自分で仕事ができて、それが否定されない社風には助けられています。

足立:
私は新聞社での経験があると言っても1年ちょっとなので、未経験に近いと思います。編成の仕事は好きでしたが、当時はまだ社会のことをあまり知らなかったんですね。だから現場で何が起こっているのか、手触り感がないまま記事を選定することに抵抗を感じていて……。

もっとビジネスパーソンとしての力を身につけたいと考えて、人材業界に転職。求人メディアの法人営業として、2年間で幅広い業界の新卒採用を支援しました。再び転職を考えるきっかけになったのは、日産のカルロス・ゴーン氏逮捕のニュースでした。ちょうど当時の同僚と飲み会をしているときに速報が入ってきて、驚いてすぐにみんなにシェアしたんですが、反応がほとんどなかったんです。自分の中にあるニュースに対する熱量と、周りとの差を実感した出来事になりました。

「ニュースの世界に戻りたい」「ダイレクトに情報発信できる仕事がしたい」と思うようになり、もともとユーザーとして愛読していたNewsPicksに応募。まさか自分にキュレーションの仕事ができるとは思ってもいなかったので、入社が決まったときは嬉しかったですね。

ほぼ未経験から、どのように仕事をキャッチアップしていったんですか?

足立:
入社後はまず「シャドーイング」といって、ニュースを探す先輩の仕事を隣で見ることから始めました。ちょうど私の研修の日に新元号「令和」の発表があり、先輩たちがPush通知で速報を届ける様子を見ながら、コミュニケーションスピードの速さに驚いたのを今でもよく覚えています。

それから、あらゆるニュースアプリを自分のスマホにインストールして、速報が来るように設定するのも最初の大切な仕事の1つ。どんな時間帯にどんなニュースが届くのかを知り、どうやって操作するのかを実際に体験していきます。同じニュースでもメディアによって伝え方が違うので、どこが早くわかりやすく丁寧に伝えているのかを見比べることで、記事を選ぶ目も養われます。

ニュースをキャッチし始めたら、自分なりに気になる記事をピックアップしてチーム内にレコメンドしたり、定時にユーザーへお届けするPush通知のニュースを選定する、チームの話し合いにも参加したり。最初はなかなか議論に入れず緊張していましたが、毎日根気強くニュースを追いかけていくことで、徐々に自分の意見も発信できるようになっていきました。

田井:
私たちはたまたま新聞社での経験がありますが、チーム内には前職で銀行員やメーカーの営業担当だったメンバーもいます。共通するのは、NewsPicksのヘビーユーザーだったこと。未経験の方でもニュースが好きでライフワークにしたい方であれば、全く問題ありません。

最初のうちはニュース選定の判断に迷うこともあると思いますが、実はこの感覚を持ち続けることが大事で、自信を持ってしまったら終わり。自分の判断が絶対に正しいということはないので、常にユーザーの反応やチームの意見に耳を傾けながら学び続ける姿勢が必要だと思っています。

NewsPicks 田井明子

多角的なコメントが生まれるニュースを提供したい

日々のやりがいや、仕事の難しさはどんなところですか?

田井:
やりがいを感じるのは、自分の選定したニュースに多角的なコメントがたくさんついたときです。NewsPicksのロゴはシマウマなんですが、これは「News is not always black and white. (1つのニュースでも、人によって多様な捉え方がある)」というコンセプトから来ています。

同じニュースでも、現場の人、経営者、投資家、アナリストなど、見る人によって捉え方は異なります。それぞれに正義があり、どの意見も正しい。こうした多角的な意見に触れることで私自身も思考が広がりますし、ユーザーにもいい体験を提供できているのではないかと感じます。

足立:
難しさであり、やりがいでもあるのが、情報のバランスを取ることです。メンバーそれぞれに得意分野があるんですが、「自分はこれを伝えたい」というWillと、世の中の関心がズレている可能性があることを理解したうえで画面を作ることを意識しています。ときには「入れちゃえ!」と思い切ることもありますが(笑)。

面白いのは、NewsPicksに並ぶニュースを見るだけで、今日の担当がチームの誰なのかわかってしまうこと。その人らしさが画面に出るんですよね。たとえば田井さんの特徴は、重要なニュースを抜けもれなく網羅しつつ、ニッチなニュースもきちんと拾い上げているところでしょうか。

田井:
元新聞記者なので、鮮度の高いトピックをいち早く届けたいのかもしれません。なので読みもの系の記事よりもストレート・ニュースが多めかなと自覚しています。他のメンバーもスポーツに強い人、一風変わったガジェット系の記事に強い人などさまざま。足立さんは前職の採用系と、最近クーデターが起きたミャンマーに関するニュースに強いよね。

足立:
大学時代にビルマ語を専攻していたんです。まさかここで役立つとは思ってもいませんでした。ミャンマーの現地のタイムラインや情報を追うことができるので、新たな情報を見つけた際にはチームにシェアするようにしています。ニュースはどんなことにも関わりがあるので、意外な特技や趣味でも活かせます。この仕事ならではの魅力ですね。

編成チームで身につくスキルや、将来どのようなキャリアに広がっていくと思いますか?

田井:
キャリアとしては、コンテンツ・キュレーションで専門性を究める人が多いんですが、中には営業部門や動画チームに異動した人もいます。チーム名にもなっている「キュレーション」というのは、情報収集して整理しバランスを取って選定していくことで、情報をメディアの価値につなげていく仕事だと考えています。SNSマーケティングなどさまざまな分野でも、ニーズや汎用性のあるスキルなのではないでしょうか。

足立:
入社してから情報感度は間違いなく上がりました。世の中の動きを上流から下流まで知り、日本と世界の動きを日々追いかけていくので、自分自身の視野が広がった実感があります。

コンテンツ・キュレーションチームは誰よりもNewsPicksを見ているし、ユーザーにも一番近い存在だと思っています。今後はそこで得た知見やユーザーの声を社内に接続して、NewsPicks全体の価値向上にも貢献していけたらいいですね。もちろんこの仕事は大好きなので、ずっと続けていきたいです。

対談風景

フィットするのは、情報収集が好きすぎる人

どんな人と一緒に働きたいですか?

田井:
「心は熱く、頭は冷静な方」、そして「たくさんの正義を尊重できるバランス感覚がある方」です。私自身の根底にあるのも、やはり「ニュースを伝えたい」という強い想いなんです。ニュースとは、良くも悪くも「人間が生きて何かに取り組んだ結果」をメディアが伝えるもの。それを多くの人に届けたいんです。

すべてのニュースは誰かの生活に直結した大切なものであることを理解しつつも、NewsPicksやPush通知で伝えられる情報には数に限りがあります。だからこそ、そこで何を大きく取り上げるべきなのかということを、バランス感覚を持った冷静な頭で判断していくことが求められると考えています。

足立:
「ニュースや経済に反応し、情報収集がとにかく大好きな人」ですね。ニュースは「流れ」で捉える必要があるので、ちょっと情報から離れてしまうだけで、感覚を取り戻すのが大変になってしまうもの。私たちは常にメディアやSNSのタイムラインを更新しながらニュースを追いかけ続けていくので、これがしんどい方にはちょっと難しい仕事かもしれません。逆にニュースが好きな人にとっては、同じ感覚を持った仲間たちとニュースを共有しながら仕事ができるなんて、これ以上ないくらい幸せな場所です。

執筆:関口 朗子 / 編集:筒井 智子
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