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ミッションとバリューを軸に、1人ひとりが自走している組織をつくる──ユーザベースのカルチャーチームが目指す未来

ミッションとバリューを軸に、1人ひとりが自走している組織をつくる──ユーザベースのカルチャーチームが目指す未来

ユーザベースには「The 7 Values」をはじめとする強いカルチャーがあり、採用においてもミッションへの共感だけでなく、バリューフィットが求められます。その浸透を担い、ミッションやバリューに紐づく組織開発を担うユーザベースのカルチャーチームは、「ミッションとバリューを軸に、1人ひとりが自走している組織を作る」というミッションを掲げています。今回はカルチャーチームの3人に、1人ひとりが自走できる組織をつくる難しさや葛藤、今後目指していきたいチームのあり方について聞きました.

村樫 祐美

村樫 祐美YUMI MURAKASHI カルチャーチームリーダー / think beyond事務局長

東京大手自動車メーカー系商社の経理財務部にて資金調達や子会社の財務分析などに従事。2011年、株式会社ユーザベースに入...

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髙橋 恵里子

髙橋 恵里子ERIKO TAKAHASHI

2013年、SPEEDA事業のContents & Global Partnership Teamに参画後、世...

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長谷川 紗依子

長谷川 紗依子SAEKO HASEGAWA

新卒で百貨店のアシスタントバイヤーとして従事した後、人材紹介会社にて営業事務を経験。2018年ユーザベースに参画。Cu...

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目次

ユーザベースのカルチャーチームの役割は「組織軸のCOOになる」こと

カルチャーチームの役割と、立ち上げからの経緯について教えてください。

村樫 祐美(以下「村樫」):
現在のユーザベースのカルチャーチームは、「組織軸のCOOになる」ことを役割としています。カルチャーチームが出来たのが2015年。稲垣さん(稲垣 裕介/ユーザベース代表取締役Co-CEO)が率いるチームとして3人でスタートしました。当時はまだSPEEDAとNewsPicksの2事業しかなく、ちょうど海外にも進出し始めた頃でした。カルチャーチームが立ち上がる2014年以前は、基本的に稲垣さんが人事制度や評価制度などを設計してきたのですが、海外はマーケットも違えば労働環境も法律も違います。

また事業も組織も拡大フェーズにあった中で、兼任でユーザベースのカルチャーをつくっていく、採用や組織開発を推進していくには限界を感じていたこともあって、専任のチームができた。それがカルチャーチームでした。当時は労務以外の人事領域を担う形、当時も今も最重要課題である採用と、採用して入社した人のパフォーマンスを最大化するための人材開発の2つの領域を担う形でスタートしました。

長谷川 紗依子(以下「長谷川」):
カルチャーチームの立ち上げ期から2019年の中盤頃までは、採用も研修も担当する守備範囲の広いチームでした。でも組織が大きくなり、各事業部それぞれにリクルーティングチームを立ち上げたこともあり、カルチャーチームとしての存在意義をどこで発揮していくのか、指針を持っておこうとチームで話し合いを重ねてきました。

何かきっかけがあったんですか?

村樫:
きっかけというより、以前から抱えていた課題感からですね。たとえば2020年、ニューズピックスのGS/FB(ゴールセッティング/フィードバック)研修を実施している中で、課題が見えて対策を打ちたくても、各事業にHRBPがいるので遠慮してしまうことがとても多くて。カルチャーチームとして何か支援できることはあるか現場に聞いても「ない」と言われてしまうこともありました。

労務であれば「退職や休職時に面談に入ってサポートできます」と言えるし、それは明確でエッジのある業務で、現場の人も頼りたい部分だと思うんです。そういう意味で「ユーザベースのカルチャーチーム」だからこそ提供できる価値って何だろう? と考え続け、それについて2020年末から頭を悩ませていました。

HR領域では先端を行く海外の事例を調べたり、他社にヒアリングをさせてもらったりして、これが正解かは分からないけど「組織軸のCOOになる」という役割を定義しました。チーム内でも話し合いをして、この役割に見合った価値を出せるようにチームで仕事に取り組んでいます。

高橋 恵里子(以下「高橋」):
カルチャーチームとしてのミッションは「ミッションとバリューを軸に、1人ひとりが自走している組織を作る。」です。2020年末のチーム合宿の際に改めて言語化をしました。今後カルチャーチームとして何をしていくのかを決める前に、自分たちの存在意義について共通認識を持ったほうがいいと思ったんです。そこがカチッと決まったことでその後決めた施策との接続もクリアになりました。

長谷川:
自走する組織をつくるポイントの1つが、GS/FBだと思っています。フィードバックを受けることが自己認知と他者認知のギャップを埋めることにつながると考えているからです。私は新しく入社してくれた人にGS/FBについて説明する際、どうやるかの説明だけではなく、「なぜやっているのか」という背景を必ず伝えます

そのメンバーと会社にとって、どうすればユーザベースで働くことがお互いのハッピーにつながるのか? をすり合わせた上で、納得感を持って走ってほしい。そういう想いがあるんです。それをひたすら伝え続けることで、1人ひとりがフィードバックを書いたり、ゴールセッティングをつくったりする際に、何を目指しているのか、なぜやるのかを思い出してくれる──だからこそ、そこに血の通ったコンテクストが生まれる。そこに意味があると思っています。

「The 7 Values」を浸透させていくのもカルチャーチームの役割ですよね?

村樫:
The 7 Values」は本来、それぞれのメンバーの判断の基準となる指針として、方向性を指し示すものです。でもそれが、いつしか行動を縛るものになってしまったと感じる時期がありました。たとえば「あの人の行動って、バリュー違反だよね?」みたいな会話が、社員間のコミュニケーションで出る──自分たちが当初想定していなかった使われ方をしていることに危機意識を持ったのも、カルチャーチームができたきっかけの1つです。抽象度の高いものを言語化し、みんなに適切に伝える。伝える場をつくる。こういった仕事も私たちの役割ですね。

「カルチャーチーム」という名前の由来はどこからですか?

村樫:
正直、そんなに深い意味はなくて(笑)。カルチャーに専任で向き合っていくチームだから、仮の名前で「カルチャーチーム」としていたら、いつの間にか社内に浸透しちゃいました。とはいえ、最近は他社でも人事や労務機能を扱うチームを「カルチャー & タレント」と称しているのをよく目にするので、結果的には良いネーミングだったのかなと思います。

「ユーザベースらしさ」を体現するチームに

コロナ下によって、さまざまなことがオンライン前提になりました。どのような変化がありましたか?

高橋:
私はNew Joiner(新しく入社したメンバー)のオンボーディングを担当していますが、入社初日のタッチポイントとして、私1人だけでウェルカム感を出すのは限界があると感じていました。新しく入ってくる人たちに「会社から歓迎されている」ことをちゃんと感じてもらいたいなと思って、2020年9月から12月までは受け入れ担当のチームリーダーやメンバーからビデオメッセージをもらい、それを入社オリエンテーションの冒頭で流していたんです。New Joinerからはカルチャーを大事にしているユーザベースらしさが伝わった、感動したとの声をもらい、つくった甲斐があったなと感じました。

その後オフラインの場でのWelcome Dayをスタート。マネジメントメンバーからのWelcomeスピーチや、受け入れ担当のチームリーダーよる期待を話してもらうなど、歓迎していることを伝える場を設計してきました。コロナが収束したら1日も早くWelcome Dayを再開したいですし、オフラインでの研修も徐々に増やしていきたいです。

長谷川:
私は研修時に参加者が飽きてしまわないように、スライドを見直しました。エピソードごとにスライドを細かく分解して、画面転換を多くするようにしたんです。あとオンラインだと参加者の表情が見えにくいので、反応をもらいやすくするために最初にチャットで一言もらうとか、合間にチャットで話しかけるなど、気兼ねなくコメントをもらえるようにいろいろ工夫しています。

60分の研修でずっと話者1人でのプレゼンが続くと、参加者の集中力が途切れてしまうんですよね……。なので、私は司会の立場から合いの手や野次みたいなのをちょいちょい入れて(笑)、ラジオのように対話している空気感を演出して、みんなが飽きないように、疲れないように心がけています。

カルチャーチームは、オンボーディング、全社サーベイ、コンピテンシーのアップデートなど業務範囲が幅広いですが、どのように担当を決めているんですか?

村樫:
数ヶ月ごとに担当する仕事のプライオリティーが変わることが多いですね。役員とNew Joinerが食事をする会やWelcome Dayなど、オンボーディングに関わる仕事は基本的に高橋さんがオーナーとして推進してくれています。それ以外のチームとして担っている仕事と、個人が単独で持っている仕事があり、定例ミーティングでそれぞれの進捗状況や感想、相談事を共有・解消しています。

長谷川:
カルチャーチームは総合力が求められるので、組織としてはジェネラリストでも、1人ひとりはオンボーディングや研修など、ファンクションごとにスペシャリストがいる状態が理想なんですよね。

村樫:
そうそう。とはいえ、個々がスペシャリストとジェネラリストのどちらを目指すのかについては、葛藤することもあります。以前、「組織開発の専門性とは?」と思うことがあって、他社や海外の求人をチェックしてみたことがあるんですよ。でもJob Descriptionにはメンバー理解ができる、コーチングができる、メンタリングができる、マネジメントができる、みたいなことが書いてあって、結局総合力なのかと(笑)。求人名も「HRジェネラリスト」みたいな。

なので、HRのスペシャリストって何だろう? と。ユーザベースのカルチャーチームのミッションを達成する、価値を発揮するために、専門性を持つことは必要だよなと思いつつ、一方で組織の課題を解消するには総合力も必要なんじゃないか? など、正直模索しながら走っています。

ただ、チームメンバーそれぞれの強みや視点、考え方や育ってきた環境で個性が形成されていることは間違いないので、ミッションを達成するためにインタラクティブに議論を交わし、課題やプロジェクトに対してフォーメーションを変えながら、チームとしてのパフォーマンスがきちんと出せるようにしたいなと考えています。

今後カルチャーチームが目指す方向性は?

高橋:
私は自分の担当している1つひとつの仕事のクオリティを高め、ユーザベースで働くメンバーが自走でき、かつハッピーに働けるよう貢献していきたいです。結果を出さないと周囲からの信頼も得られないと考えているので、あまり先々のことを考えるより、目の前の課題をきちんとクリアしていきたいです。

長谷川:
ユーザベースは変化が激しいので、今描いた目標が半年後にどうなっているかわからないんですが(笑)、私個人としてはユーザベースらしさを表現できる人であり続けたいと思っています。自分の働き方がユーザベースらしいか。ユーザベースがどんな会社か、どんなカルチャーかを伝えられているか、体現できているか。常にそれを表現し続けている人でありたいですね。

カルチャーって本当に1人ひとりの努力で継続されていくもので、逆に人のずるさみたいなもので壊れていくこともあると思うんですよ。だからこそちゃんと守っていきたいですし、アップデートもしていけたらなと思っています。

村樫:
先日、佐久間さん(佐久間衡/ユーザベース Co-CEO)から「アジャイルに何でも動かして、プロジェクトをどんどん立ち上げて推進していくユーザベースを象徴するようなチームにしてもいいんじゃない?」という話があったんです。アジャイルであることが強みというか、実際そうなっているなと思って。

私たちのチームはオペレーションに特化しているというより、その時々の課題に対して、それを実現するためのオペレーションを立ち上げる部分をアジャイルにやっているチーム。そういう意味では、たしかにユーザベースの組織の進め方として象徴的なチームなのかもしれません。

いろいろな状況、環境の変化に順応できる組織というのが、「ミッション・バリューを軸に1人ひとりが自走している組織」だと思うんですよ。その象徴的なチームになる──どうやるかのHowが役割や専門性で、お互いの強みと弱みを尊重し合いながら、たとえば「この新規プロジェクトは高橋さんの強みが活かせると思うからオーナーになってもらって、長谷川さんと私は全力でバックアップするね」みたいなことが自然とできるチームでありたいなと思います。ユーザベース全体がそういう組織だと思うし、その象徴というか縮図みたいなチームでありたいと考えているんです。

執筆:鈴木 健介 / 編集:筒井 智子
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