昔から経済や国際情勢など、世の中で起きている難しいニュースが全然理解できず、見るのが苦手だったんですよ。学生時代までならそれでいいのかもしれませんが、社会人になって「このままじゃヤバい!」と思い、新聞を購読したり、頑張ってニュースを見たりするようになりました。でも、報道ってこれまでの背景知識がない状態で見ても、全然わからなくて、ますます苦手意識が高まってしまって……。
どうして報道はこんなに複雑なまま伝えるんだろう? と思いつつ、そんな自分でも楽しく読める経済メディアがないか、常に探していました。NewsPicksはアプリが立ち上がった当初から見ていましたが、当初は既存メディアとそんなに変わらない印象を持っていたんですね。
でも櫻田さん(櫻田 潤/NewsPicks チーフ・ソーシャルエディター)の作ったインフォグラフィックの記事を目にして「あ、コレだ!」って思って。要点がコンパクトにまとまっていてわかりやすく、シンプルなんだけど楽しく読めるようなポップさもあって、文字の配置も読みやすい工夫がされていて──経済メディアがこういう記事を始めたんだ! と感動したんです。
この記事に出会ったことで、今までのニュースが読みづらいなら、自分も櫻田さんのような記事を作ればいいじゃないか! と発想の転換が起きました。
そうして徐々にNewsPicksを意識し始めた頃、たまたまWantedlyを見ていたらデザイナーの募集があったので、すぐに応募を決めました。デザインのスキルは、前職でオウンドメディアの立ち上げを担当することになった際、本を読んだりデザイナーが書いたブログを探したりと、独学で身につけてきたくらいの状態でした。だから、やりたいと思ってもできるわけない、でもせっかく募集があるんだから、挑戦するだけしてみようという気持ちでしたね。
今は編集部のオリジナルコンテンツを作成しています。突発的なニュースなどではなく、何かテーマを決め、それを深掘ってっていくタイプの特集的記事がメイン。
記者と組んで、一緒に企画を考え、企画が決まったら記事のテーマをリサーチし、構成を決め、全体のストーリーを作り、最終的にどんなイラストをどの部分に使うのか、ビジュアルを決めるところまで担当しています。1つの特集記事が出るまで、だいたい2週間ちょっとかかるイメージです。
今年に入ってからは、先輩記者と組んで「モノから見るビジネス教養」という特集をはじめました。身近なものから世の中を知ろうという企画で、「今回は○○にしようか」など、ディスカッションしながら企画を詰めていきます。
リサーチするときは大型書店で大量の本を買い込み、ひたすら読むことで各書籍の共通する点や重要なポイントを把握していきます。あ、もちろん書籍代は経費ですよ(笑)。
そこから記者が取材してきた内容とあわせて、一緒にストーリーを練っていきます。そのときにまず意識するのは「経済が苦手な自分がまず読みたいか」「楽しい経済記事になっているか」です。
私と同じように、ニュースを苦手意識を感じている方にも記事を読んでもらうためには、記事の核となるストーリーが一番大事ですし、そのストーリーをなるべくわかりやすく、読みやすくするためにデザインが必要で、その両方をやっていくことに意義を感じています。
どちらか一方ではなく、両方やることが重要だと思っているので、デザイナーではなく、グラフィックでストーリーからつくっていく人──そういう意味で、勝手に「グラフィックストーリー作家」という肩書を作っています。
記事が出るまでは大変だし、しんどいこともありますが、記事が出たときは達成感があるし、嬉しいです。コメントが付くことで読者の反応がすぐに分かるので、次の企画にも活かしやすいし、自分の成長につながる一番のフィードバックをもらえているなと感じています。大変だけど、とにかく毎日仕事が楽しいです!
正直、最初から壁しかなかったんですよ。実は私、そもそも最終面接で一度落とされていて……。たくさんのメンバーと面接したので、内定をもらえるだろうと思っていたら、最終段階で2人残っていると言われ、梅田さん(梅田 優祐/共同創業者)の最終面接の後、「もう1人のほうを採用することにしました」と言われて。すでに前職も辞めてしまっていたので、どうしよう……と途方に暮れました。
でも、どうしても諦めきれなかったので、梅田さんに「もう一度チャンスをください」ってメッセージを送ったんですよ。それでもう一度面談の機会をいただけて、どうにかBrand Designチーム(広告事業)に契約社員として入社しました。入社時に「3ヶ月後に正式採用するか、不採用にするかを判断します」と言われて、本当に怖かったですね。
デザインスキルも、先ほど述べた通りツールには一応触れるけど、ほぼ未経験状態だったので、自分に自信もなくて、未経験者の自分は誰にも歓迎されないと思っていました。上司の櫻田さんは放任主義なところがあって、当時はかなり孤独でした。
でも、せっかくチャンスをもらえたんだからと、とにかくやれる仕事は全て引き受けたんです。「根性と体力は誰にも負けない!」という思いで、がむしゃらに打席に立ち続けたことで、無事に正式採用が決まりました。
もともと編集部に応募していましたが、契約社員でBrand Designチームのデザイナーをやっていたので、正式入社後もそのまま同じチームに配属されました。でも、やっぱり自分の問題意識──経済ニュースの難しさを解消できるのは編集部だと考え、正式入社して半年後に櫻田さんに「どうしても編集部でやりたいんです」と泣きながら直談判しました(笑)。
櫻田さんは放任主義ではありますが、やりたいことをやるのが一番だという気持ちが根底にあると感じます。櫻田さんはすぐ快諾してくれて、ようやく編集部での仕事をさせてもらえるようになりました。
編集部でもとにかく量をこなし、記者と一緒に議論をしながら仕事をすることで、スキルもどんどん上がっていっているのが自分でもわかって。その結果、異動した年には新人賞を獲得することもできました。入社当初は大変でしたけど、おかげで今はとても楽しく仕事をしています。
記事作りの観点では「異能は才能」で、働き方の観点だと「自由主義で行こう」ですね。
「異能は才能」を感じるのは、記者と一緒に仕事をするとき。彼らの記事作りの熱意にまず驚かされます。どんなに忙しくても、とにかく楽しそうに仕事をしているんですよ。妥協せず、常にチームで協力し合ってクオリティアップを目指している姿を見て、いつも自分も頑張ろうと元気をもらっていますし、記者についていく努力をしようという気持ちにもなります。
異なる分野の人同士が関わることで、個人では作り得ない深いコラボレーションが生まれ、それが記事に反映される──お互いの強みを尊敬しつつ、対等な立場で仕事ができるのは、ユーザベースグループの良いところだなと日々感じています。
「自由主義で行こう」に関しては、そもそも何で始業時間とか就業時間が決まっているんだろう? と学生の頃から思っていたんですよ。通勤電車には絶対に乗りたくないと思っていて(笑)。人それぞれライフスタイルも全然違うのに、それを同じ枠にはめるのは、仕事のパフォーマンスを絶対に下げるだろうなと思っていました。
昨年出産し子どもができてからも、よりUBの自由を尊重する社風に助けられています。自分に合った時間やスタイルで仕事ができるので、育児と仕事、どちらのパフォーマンスを下げることなく、うまく両立できていると思います。
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入社前にやりたいと思っていた「ストーリーを紡いで、ニュースを自分事化できるような記事をつくる」ことはでき始めているんですよ。
ただ、結局記事を作って問題提起しても、読者の行動につながるかは別問題じゃないですか。これにはずっと課題感を持っていて、解決方法も分かっていないし、そもそも解決できることなのか分からないけど、今後挑戦したいこととして、記事を読んだ人が何か具体的な行動につながるような仕組みができるといいなと考えているところです。
これは長期スパンの話なので、今は世の中にある難しいテーマを見やすい記事として発信していく――私ができることを1つひとつやっていくしかないと思っています。今後はもっとストーリーからコンテンツを作る場数を増やし、質をどんどん高めていきます!