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目指すものが一緒なら、国籍や人種、ロケーションを超えたチームはつくれる(SPEEDA Asia コンサルタント 大鹿琢也)

目指すものが一緒なら、国籍や人種、ロケーションを超えたチームはつくれる(SPEEDA Asia コンサルタント 大鹿琢也)

ユーザベースグループで働くメンバーを紹介する社員紹介インタビュー、第7弾はSPEEDA Asiaの大鹿琢也です。

大鹿 琢也

大鹿 琢也TAKUYA OSHIKASPEEDA Asia Consulting チームリーダー

2013年入社。ユーザベース初の新卒社員。SPEEDA Asia Consulting チームリーダー。入社以来、SP...

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大鹿さんはユーザベース初の新卒社員ですよね。なぜユーザベースに就職しようと思ったんですか?

大学では国際政治を専攻しており、官僚ではなく民間で国際政治に関わる仕事がしたいと考えていました。石油などのエネルギー関連の仕事に興味があり、ロシアに留学。帰国後の就活はエネルギー関連企業や商社を中心に応募していました。

でも、徐々に「自分には合わないな」と感じるようになったんですよ。そのタイミングで、新卒向け人材エージェントから最初に紹介されたのが、当時まだ社員が30人ほどしかおらず、海外展開の影も形もないユーザベースでした。

ユーザベースに就職を決めた理由は2つあって、1つは梅田さん(梅田 優祐/ユーザベース共同創業者)との面接に最高にワクワクしたから。というのも、かなりショッキングな面接だったんです(笑)。別の人との面接中にいきなり部屋に入ってきて「どこ受けているの?」って聞かれて、理由を答えたら「へー、それ間違ってるよ」って言われて。

内心ムッとしつつ「梅田さんならどこを受けるんですか?」って聞き返したら、「スタートアップだよ!」って即答され、正直「そんなポジショントーク無いわ……」と思いました(笑)。「梅田さんの思う良いスタートアップって? それをどう見極めるべきですか?」と聞いたら、「プロダクトと人。プロダクトに共感できるか、会う人に納得感があるかどうかを確かめるといいよ」と答えてくれたんです。

そこから梅田さんとプロダクトの話になって、僕も「ここが課題だと思います」とか「ここはどうなっているんですか?」って質問していきました。そのディスカッションの時間がすごく楽しかくて。梅田さんもたぶん「こいつ面白いな」って思ってくれたんじゃないかな。

それまで受けた面接は「あなたの志望理由を教えてください」みたいな質問に、一問一答で答えていく一方的なものでした。それって本質的じゃないなと思っていたんです。ユーザベースの面接は純粋な疑問を投げかけ、それに対して対等にディスカッションできた。しかも企業のトップと、フラットな議論できる──そのことに、すごくワクワクしました。

就職を決めたもう1つの理由は、メンバーのみなさんがすごく優秀で、しかもめちゃくちゃ自由だと感じたから。実は僕、当時CTOだった竹内さん(竹内 秀行/現 株式会社イエソド代表取締役)から「僕は、ユーザベースはまだ新卒を採用するフェーズではないと思っているので絶対反対だ」と言われたんですよ。

すでに経営陣は推してくれていたようなんですが、「僕の判断は採用には関わらないけれど、僕自身が納得したいから面談させてほしい」と言われ、1時間くらい面談しました。

これって、みんな自由だけど、裏を返せば自分の意思をしっかり持って働いているからこそのエピソードだと思うんです。それぞれがいろんな思いを抱えてはいるけど、みんな基本的にビジネスという「コト」に向かって働いている。そこに自分が加われるのはすごいことだと思い、二つ返事で入社を決めました。

現在の仕事内容と、仕事でワクワクしていることを教えてください。

SPEEDA Asiaのコンサルティングサービスチームのマネージャーをやっています。ロケーションとしては、上海・シンガポール・スリランカの3拠点分かれており、自分を含め12名のチームです。

仕事内容は大きく分けて2つあります。SPEEDAを使っているお客様から、いろいろなリサーチのリクエストをいただくので、それを1つずつ解決していくコンサル&リサーチが1つ目。もう1つはカスタマーサクセスで、SPEEDAを使ったお客様の業務支援とニーズ促進を行ってます。

僕は昔からずっと「海外で働きたい」という思いがめちゃくちゃ強いんですよ。海外で国籍やジェンダーの関係ない、幻影旅団みたいなチームをつくりたいと考えていて。幻影旅団って分かりますかね? 『HUNTER×HUNTER(作 冨樫義博)』に出てくる集団です(笑)。彼らのように、アイデンティティが確立されているメンバーの集まるチームをつくりたいと考えていました。

今、それが達成されている感覚を強く持っているので、とてもやりがいを感じています。拠点が分かれていて、メンバーも多様です。でも、みんなひたむきで、何か起きたときにも凹むのではなく、「何とかしなきゃ!」とすぐに動いてくれるメンバーばかり。

もちろん最初の頃は紆余曲折あったし、チームの土台ができるまでは、多くの失敗もしました。まだ足りない部分はありますが、周りの力を借りながら今のチームをつくれたことを誇りに感じています。

仕事で忘れられないエピソードはありますか?

最初に思い浮かぶのは、香港で働いていた頃のことですね。

SPEEDAをアジアの営業するにあたって、当時はまだ格納している情報が十分ではありませんでした。だからお客様から欲しいデータのリクエストをもらったら、アナリストチームにこっそり依頼して、リサーチしてもらっていたんですよ。

それを正式なサービスとして提供することになり、僕はその基盤をつくる役割を任されました。それまで以上にお客様の要望を受け止めることになったんですが、僕はリサーチをやったことがなかったので、そもそもお客様の言っていることが分からないし、もちろん解決方法も分からなくて。

たとえば、当時の中国にはコンビニチェーンが100以上あると言われており、そのTOP30に関して、1社ごとの情報が欲しいというお客様がいたんですね。調べる量が膨大なのは分かるけど、何からどう手を付けたらいいか分からず、途方に暮れていました。そういうメールが2日1回くらいのペースで来るんですよ。今だから言えますが、当時は毎日「メール来るな!」って祈っていました。

もうどうしたらいいか分からなくて、よく5分間の現実逃避で外の喫煙所にタバコを吸いに行っていました。当時の香港メンバーは1人ずつ役割が決まっていたので、この業務を担当するのは僕しかいなかったんですよ。逃げるわけにはいかなくて、とにかく自分を強く信じるしかなかった……。短くなっていくタバコを見つめながら「お前ならできる」って自分に無理やり言い聞かせていました。

アナリストチームのメンバーに、ひたすら「お願いします」って依頼して、出てきたデータをもとに資料をつくって、当時アジア事業の責任者だった岩澤さん(岩澤 脩/現 UB Ventures代表取締役)からは毎回ご指摘&お叱りを受けて、でもどう修正したらいいか分からなくて……1年くらいそうやって格闘しましたが、本当に大変でした。

とにかくみんなに支えてもらいました。いつもお願いばかりしていた上海のアナリストチームのメンバーが「大鹿さんのために頑張りますよ!」って言ってくれたのは、本当に嬉しかったですね。この経験が、国籍や人種、ロケーションなんて乗り越えられると思う僕の原体験になりました。もちろん歴史や文化的な背景もあるので一概には言えませんが、お客様の役に立ちたい気持ちは同じなので、仲良くなれるはずだと考えています。

今のチームをマネジメントする際も、メンバーには「本質的に何が課題なのか」を考えてほしいと繰り返し伝えています。あらゆるビジネスは課題から始まるので、常に課題はあります。ただ、本質的ではない課題──たとえば人間関係の問題は難しいですが、ビジネスを進めていくうえで、本当にお客様の課題なのか? と言ったら、違いますよね。

人間関係で問題が起きたとしても、お客様のほうを向いていれば折り合えるはずなんです。メンバーには「人」に向けて感情を発するのではなく「コト」に向けて感情を発してほしい。「このサービス、全然ダメだ!」はいいけど、「このサービスをつくっている人がダメ」というのは違う。とにかくイシューから考えるよう、メンバーには口を酸っぱくして伝えています。

The 7 Valuesの中で、一番好きなバリューは何ですか?

最近は「ユーザーの理想から始める」が好きですね。僕の仕事柄、ユーザーの理想から始めるのは大前提なんですが、単にユーザーの言うことを聞くだけでなく、「理想から始める」のが肝です。

SPEEDAはSaaSなので、ユーザーが増えれば増えるほど個別の課題に応えるのは難しくなってきます。また、ユーザーの方々は今すぐに情報が欲しいんだけど、それを僕らが与えることが本当の意味で「ユーザーの理想」になるかといったら、そうとは限らないと思っていて。

SPEEDAは「意思決定を支える」のが重要なコンセプトの1つ。ただ、ニッチな業界も含めるとユーザーの意思決定を支えるには足りない情報もあります。それを調べ、ユーザーのリクエストに応えるために今のリサーチサービスがあるわけですが、僕はある意味ユーザーを「甘やかしている」とも言えると思っているんですよ。

本来お客様が自分で調べ、最終的に意思決定をしなければならないものですが、それを僕らが担っていると、お客様はずっと僕らに依頼し続けなければならないわけです。それはユーザーの理想とは違うのでは? と感じるようになったんです。目の前の情報を与えることが、本当にお客様の力になるかを考えつつ、今は仕事をしている感じですね。

SPEEDA自体、リサーチするのに適切なプラットフォームになっているので、リサーチができる人から見れば、手前味噌ですがSPEEDAは非常に効果的なはずなんです。一方、リサーチに慣れていない人、リサーチをアウトソーシングしている人たちからすると、自分の欲しいものがダイレクトに手に入らないので「SPEEDAは物足りない」と思われる部分がある。

なので最近は、僕が香港時代にゼロから培ってきた、リサーチのノウハウを伝えるイベントを開催することもあります。リサーチのスキルを身につける過程で、必ずSPEEDAの価値を見直してもらえるはずだと思っています。

The 7 Values:ユーザーの理想から始める
今後挑戦したいことは?

実は僕、今年いっぱいでSPEEDA Asiaから異動する予定なんです。年内は引き継ぎをして、年明けからは別の部署で、新しいチャレンジをしようと思っています。

まだ何をするか具体的には決めていませんが、中長期的なキャリアとして考えている思いが2つあって。1つは、このままアジア事業をやっていても、「海外にいる日本人」というバリューで勝負していくことになりそうだなと思ったんですね。

アジア市場では日本企業の影響はまだまだ大きいので、日本人であることが一定のバリューになります。もちろんSPEEDA Asiaでも現地法人のニーズには応えていますが、もし僕が日本人じゃなかったら今のようなバリューは出せなかったかもしれません。

僕は、グローバルで戦いたい、日本人以外のバリューで勝負したい。そのために、日本人であることがバリューとして通用しない、日本人しかいない日本で、純粋な自分のバリューをつくろうと考えています。

純粋な自分のバリューを3年くらいで身につけて、また日本以外の場所でチャレンジしたい。これがもう1つです。僕がこれまで培ってきた価値──たとえばマネジメントのノウハウや、リサーチのスキル、プロジェクトマネジメントなど、一定あるとは思いますが、もっと自分だけにしかないスキルを身につけ、研ぎ澄ませていきたいんです。

これまでの7年で培った価値の上に、残り3年でグローバルで見て一定の価値あるユニークなスキルをつくっていきたい。今後の自分自身に乞うご期待! ですね(笑)。

執筆:筒井 智子
Uzabase Connect