ユーザベース・ニューズピックスを愛する皆様へ

2018.10.26

この度、私、新野良介は2012年に発病した免疫系の疾患の療養に本格的に取り組むため、一旦、ユーザベースの取締役を退任する決意をしましたのでご報告いたします。今回の意思決定は、私には非常に難しいものでしたが、最後は、これまで同様、どの道が長期的にみてユーザベース・グループのミッション・バリューにかなう道かを考えて決断しました。

ユーザベース・グループは私にとり最高に魅力的でマジカルな会社です。世界中の才能あるメンバーが、自分たちが掲げるミッションとバリューに向けてまっすぐ挑戦を続けている会社、それがユーザベース・グループです。創業当時、オフィスとして借りていた品川のマンションの一室で、梅田、稲垣と「どんな会社を作りたいか」、よく話しました。ある日、梅田が「会社にかかわる人すべてが幸せになるような会社をつくりたいよね」と言っていたことが強く印象に残っていますが、いまも現経営メンバーの思いはそこから変わっていません。

メンバーの一人ひとりが人間性を抑圧されることなく大いに自分の固有性や才能を発揮できる会社、それにより次々に革新的なプロダクトやサービスを生み出せる会社、結果としてメンバーのご家族、お客様、お取引先、投資していただける方々など、ユーザベースをとりまくステークホルダーのすべてが、「この会社に関わってよかった」と心から思える会社、そんな会社を作りたいと活動してきました。

すべてのステークホルダーが長期的に経済的に豊かになることは、会社が経済活動を行う上で、すべての大前提であり、それを決して揺るがせることはしない。しかし、同時に、ステークホルダーが幸せになるということは、それだけではなく、メンバーが大切にする価値観と実現したい世界観をあらゆる活動を通じてステークホルダーに理解してもらい、この会社が存在する意味そのものを共有できるということです。

この道だけが、この事業に情熱をもつメンバーが努力する意味を日々感じることができ、妥協のない仕事を生み出し、ステークホルダーの皆様の長期的に応援したいという気持ちにつながり、そうしたファンに囲まれていることが、より一層メンバーの情熱を本物にする。自分たちを含むすべてのステークホルダーが幸せになる素晴らしい循環を生み出すと信じています。

もちろん、私が経営に携わった2008年からの10年間、すべてのステークホルダーの皆様の要求を満たせたとは到底言えません。むしろ、どの場面でも、すべてのステークホルダーの短期的な要求を100%満たせない中で、自分たちの力不足を痛感しながら七転八倒してきた、というのが本当の姿です。ただ、強く自信をもって言えることは、すべての要求を100%満たせない場面でも、長期的にみて自分たちが掲げるミッション・バリューにかなう選択肢が何なのかを真剣に議論し、ミッション・バリューに向け意思決定を行い、まっすぐ行動するようベストを尽くしてきましたし、現在の経営メンバーはそれを日々続けていることを私自身が一番よく知っています。これまでどんな壁もこの方法で乗り越えてきましたし、むしろ、常に困難を通じてユーザベース・グループは更に力強く成長してきたと実感しています。

ユーザベースのバリューの第一は、「自由主義でいこう」です。これは、一人ひとりが人間性を抑圧されることなく、自分の固有の才能を発揮できるためには、何より自分が常に最善と信じる道を選択することこそ、最高の結果を引き出すという価値観です。そして、自分たちが自由であることと、ステークホルダーと約束した責任を果たすことはコインの裏表のように同義です。自由であるためには、何よりも責任を果たさなければならない。創業以来10年間経営に携わる中で、ユーザベース・グループの全メンバーにそれを求めてきましたし、特に経営メンバーには妥協なくそれを求めてきました。

私自身、昨年、免疫系の持病が一時的に悪化し、ユーザベース・グループの代表者として全身全霊で経営に取り組むことが難しくなってきた中、自分の状態を見極め、その役割にともなう責任を安定的に果たせないと判断した際、可及的すみやかに適切な人に指揮権を渡すことが代表者として責任を全うすることであると結論づけました。そして、この1年、持病への養生をおこない、久しぶりに家族や友人とゆっくり時間を過ごす中で、体力も通常の日常生活に支障がないくらいには回復してきましたが、残念ながら、免疫系疾患の性質上、どうしても季節の変わり目や天候不順で体調を安定させることが難しく、今回、よりこの難病にまっすぐ取り組むため取締役退任を決意した次第です。

これは取締役の重責を安定的に果たせないことでチームに迷惑をかける事態をさけると同時に、私個人にも家族にもさらなる体調悪化を避ける最善の道と判断しました。当面は、完全には安定しない体調を前提としつつ、できうる限りユーザベース・グループの皆を支援する経営顧問として会社に貢献していく所存です。

幸い、ユーザベース・グループはバリューに従い、創業以来、チーム経営をすすめてきました。そのおかげで、私が代表者を降りたのちも、経営チームはこの1年、より力強い経営を行ってくれていました。むしろ、「迷ったら挑戦する道を選ぶ」、「渦中の友を助ける」を体現した全メンバーが、この難局に奮起し、これまで同様、試練をさらなる成長へとつなげる働きをしてくれました。

昨年の代表退任時も、またこのたびの取締役退任にあたっても、何が最善か悩みましたが、経営メンバーに相談した際は、いつも「新野さんが長期的にみて人生で一番よいという道をまっすぐ進むことだよ。それがユーザベースのリーダーらしいバリューにかなう姿勢だし、何より、新野さん自身、創業以来、他のメンバーには常にそう言い続けてきたじゃないか。いまは、そのバリューを受け継ぐメンバーが本当に力強く育っているから、どんな道でもユーザベースは大丈夫だよ」と笑って背中を押してくれました。

退任にあたり私が言うのも僭越ではありますが、創業以来、皆で大切にしてきたバリュー、一人ひとりの自己実現を大切にする、そのためにチームで助け合うという理念を旗印に、次なる経営チームも、メンバーも、この1年で以前よりはるかに力強くなっており、その力強さに私自身が助けられ、ユーザベース・グループの素晴らしさを再認識しています。

もちろん、課題は、これまで同様、無いわけではありません。特に、本年のQuartz社とのM&Aをはじめ、ユーザベース・グループの挑戦が、日本、アジア諸国から更には米国にまで広がる中、引き続き、全世界のメンバーが自分たちのミッション・バリューを心から信じることができるか、それを単なる理想ではなく、毎日、毎日の行動の中で体現する挑戦を続けられるかが最も重要な点です。

世界中のメンバーが、今後も事業成長のダイナミズムだけに目を奪われたり、市況や環境の激変に右往左往したりするとなく、常に、一人ひとりのメンバー、お客様、お取引先を大切にする。つまり、自分たちのあらゆる日々の行動や意思決定において、常に最初に掲げた原点であるミッション・バリューに忠実に真摯に向き合う。これを続ける限り、ユーザベース・グループは、自分たちを含むすべてのステークホルダーを幸せにするマジカル・カンパニーであり続けると確信しています。

実際、現在の経営チームは、創業して10年間で最強のチームになっており、ミッション・バリューにまっすぐで、困難をものともしない多くのメンバーがいますので、私自身、未来のユーザベース・グループが楽しみでなりません。

創業して10年、私は本当に心から素晴らしいと思えるメンバーと、心から素晴らしいと思える仕事をさせていただき、最高の時間をユーザベースで過ごさせてもらいました。一旦、取締役からは身を引き、ユーザベースの経営顧問として、そして最大のファンの一人として、私自身、持病の治療に前向きに取り組みながら新しい生活に挑戦してまいりたいと思っています。

これまでユーザベース・グループを応援してくださったすべての皆様に、改めて、言葉では言い尽くせない感謝を申し上げますとともに、ぜひ引き続き、世界に挑戦するユーザベース・グループの若き才能を応援していただけますと幸甚です。

 

株式会社ユーザベース 取締役・共同創業者
新野良介

  • <掲載情報>Media Day Tokyo 2018
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